OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

バッファロー・スプリングフィールド最期の挨拶

2010-03-17 17:52:09 | Rock

Last Time Around / Buffalo Springfield (Atoc)

CSN&Yやポコ、そしてロギンス&メッシーナが人気絶頂だった1970年代、その通過儀礼として各々のルーツだったバッファロー・スプリングフィールドを聴くことは絶対条件でした。

実際、洋楽マスコミは挙ってバッファロー・スプリングフィールドという、それまで我国では全く無名に近かったバンドを持ち上げていましたし、確かに名盤「アゲイン」を聴けば、それは十分に納得されるのですが、むしろ前述のブレイクに直結したという意味では、本日ご紹介の最終オリジナルアルバムが有効でした。

 A-1 On The Way Home
 A-2 It's So Hard To Wait
 A-3 Pretty Girl Why
 A-4 Four Days Gone
 A-5 Carefree County Day
 A-6 Special Care
 B-1 The Our Of Not Quite Rain
 B-2 Questions
 B-3 I Am A Child
 B-4 Merry-G0-Round
 B-5 Uno Mundo
 B-6 Kind Woman

本国アメリカで発売されたのは1968年夏頃、既にバッファロー・スプリングフィールドは解散した後のことだったと言われています。

それゆえに収録された各曲はメンバー各人のソロプロジェクトのような雰囲気も濃厚ですし、中にはデモテープを強引に仕上げたようなトラックさえあります。またバンド全盛期のアウトテイクまでもが引っ張り出されたのは言わずもがなでしょう。

このあたりは契約履行の苦肉の策だったのかもしれませんが、ここで大きな働きをしたのが、以前から録音エンジニアとしてセッションに参加していたジム・メッシーナでした。

ご存じのとおり、バッファロー・スプリングフィールドは結成時の意気込みとは裏腹に、成功を掴んだ後は人間関係の縺れや悪いクスリ等々、お決まりの迷走を踏襲し、スティーヴン・スティルス(vo,g,key)、ニール・ヤング(vo,g,key)、リッチー・フューレイ(vo,g,key)、ブルース・パーマー(b,vo)、デューイ・マーティン(ds,vo) というオリジナルメンバーの出入りは激しく、ライプステージには助っ人が登場することも度々だったと言われています。

そしてその中のひとりだったジム・メッシーナ(g,b,vo) が正式メンバー(?)となった1968年頃、バッファロー・スプリングフィールドは崩壊したのですが……。

とにかく発売されたラストアルバムは、しかしなかなかポップでお洒落、グルーヴィな歌と演奏が満載♪♪~♪ しかも纏まりもそれなりに良く構成されていると思います。

まず冒頭、「On The Way Home」はニール・ヤングが書き、リッチー・フューレイが歌うという変則仕様ですが、ストリングまでも使ったポップなフィーリングに驚きます。と、書いたのも、ご存じのように、この歌は後にCSN&Yのライプ盤「4ウェイ・ストリート」で作者本人によるアコースティックなバージョンが披露され、サイケおやじにしても当然ながら、そっちを先に聴いていたのですから!?!

ここからはサイケおやじの完全なる妄想ですが、もしかしたら最初はニール・ヤングが歌ったバッファロー・スプリングフィールドの未完成バージョンが存在したのかもしれません。ところがニール・ヤング本人がグループを出たり入ったりの状態では完成させることが出来ず、リッチー・フューレイとジム・メッシーナが独断専行でポップに仕上げたのかもしれません。

もちろんそれに伴うスタジオミュージシャンの参加も各トラックに顕著で、そのあたりは後年に発売されたCD4枚組のボックスセットで明らかにされるのですが、その最高の成果がリッチー・フューレイ会心の「Kind Woman」でしょう。このポップでカントリーロックした優しいメロディと歌いまわしは、永遠に不滅だと思いますねぇ~♪ 彩りを添えるスティールギターは後にジム・メッシーナも加わって結成されるポコのオリジナルメンバーだったラスティ・ヤングですから、さもありなん!

一方、ニール・ヤングは全く自分の「節」と個性的なボーカルスタイルを決定づけた「I Am A Child」で存在感を示します。

そして侮れないのが、やはりスティーヴン・スティルスでしょう。

お洒落なボサロックの「Pretty Girl Why」は、なんと1967年2月の録音ということですから、実質的な2nd アルバムとなった「アゲイン」の制作過程、その極初期に出来あがっていたのです!?!

また、そういうジャズっぽさは「Four Days Gone」にも顕著ですが、しかし正調スティルス節が出まくった「Questions」、グルーヴィなラテンビートを使った「Uno Mundo」は、やっぱり最高! 十八番のギターフレーズも痛快至極ですよねぇ~♪

とはいえ、繰り返しになりますが、このアルバムはリッチー・フューレイとジム・メッシーナが主導権を握って作られたことは否定しようもありません。

夢見るようにポップな「Merry-G0-Round」はリッチー・フューレイのジェントルな資質が完全に発揮された傑作トラックでしょうし、「Carefree County Day」に至っては正式メンバーか否か、ちょいと問題があるジム・メッシーナの独り舞台なんですから!?!

そのあたりはニール・ヤングも相当に反発しているようで、このアルバムをバッファロー・スプリングフィールドの公式盤とは認めていないようですし、前述したボックスセットからも、この「Carefree County Day」は外すという措置が!!

しかし、それでもこのアルバムは魅力満点♪♪~♪ 特にLP片面単位の曲の流れの気持良さは最高だと思います。

掲載したジャケ写からもご推察のとおり、例によってニール・ヤングだけが反逆児っぽい自己主張をしているのも、なんとなく分かりますねぇ。

冒頭に書いたとおり、最初は通過儀礼のアルバムでしたが、今は必須の愛聴盤になっているのでした。

コメント
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