OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

ストーンズ名盤プートの再発♪

2010-03-31 17:33:27 | Rolling Stones

Lonely At The Top / The Rolling Stones (Dog n Cat = Bootleg)

昨夜はホームページビルダーの新しいソフトを買いに行ったんですが、あれこれ迷って決められず、結局、またまたCDやDVDによる散財モードでした。

そして本日ご紹介は、その次第で入手してしまった、ストーンズの古典的な名盤ブートの拡大再発盤です。最初に出たのは確か1983年頃、当然LPでした。収められていたのはミック・テイラーが在籍していた末期の1974年と隠れ人気盤「エモーショナル・レスキュー」制作に繋がる時期だった1978~1980年頃のスタジオアウトテイクを収めた優れもの♪♪~♪

まあ、今となってはそのLPも、また後にCD化されたブツも、ピッチの狂いがモロでしたし、音質もイマイチの統一感が足りませんでしたが、当時は感涙して聴いていたものです。

それが今回、ピッチの修正と新規リマスターよる音質の向上、さらに同時期の音源の追加によって更なる感動を呼ぶ、というプート屋のお兄ちゃんの売り文句は本当でした。

 01 Living In The Heart Of Love (1974年3~4月録音)
 02 Drift Away (1974年3~4月録音)
 03 Sweet Home Chicago (1979年1~2月録音)
 04 Dancing Girls / Linda Lu (1979年1~2月録音)
 05 Munioch Reggae (1975年&1981録音?)
 06 Lonely At The Top (1979年1~2月録音)
 07 Munich Hilton (1979年1~2月録音)
 08 What's The Matter (1979年1~2月録音)
 09 Gangster's Moll (1979年録音)
 10 Hang Fire (1979年録音?)
 11 Claudine (1978年1~2月録音)
 12 We Had It All (1979年録音)
 13 Let's Go Steady (1979年1~2月録音)
 14 Save Me (1972年録音?)
 15 Drift Away (1974年3~4月録音)

まず前半の9曲は前述LPに収録後、さんざんCD化されてきた音源ながら、流石に色あせない魅力があります。

まずミック・テイラー参加の「Living In The Heart Of Love」は如何にもイッツ・オンリー・ロケンロールという、実にファジーなストーズノリが全開! 次の時代へ繋がるヘヴィなビートは快感です。

また同じく「Drift Away」はご存じ、黒人ソウルシンガーのドビー・グレイが1973年に放った大ヒット歌謡R&Bというよりも、今ではロッド・スチュアートのバージョンで有名でしょう。実はストーンズがカパーしようとしていた矢先、そのロッド・スチュアートがレコーディング中という情報からのオクラ入りが裏事情のようです。今回のブツでは、トラック「02」がリハーサルっぽいラフなテイク、そしてトラック「15」は後に発掘された、かなり完成されたテイクなんですが、ふたつともミック・ジャガーの歌いっぷりは味わい深く、おそらくはミック・テイラーと思われる小技の効いたギターが良い感じ♪♪~♪ リズムのアレンジもなかなかストーズらしいので、何時の日か公式バージョンが出ることを祈りつつ、このブートを楽しむのも素敵な時間の過ごし方だと思います。

その意味では、おそらくは1972年頃の音源と思われる「Save Me」が、完全な「メインストリートのならず者」しているのは、高得点! この猥雑なロックフィーリングはストーンズでしか醸し出せないでしょうねぇ~~♪

次に1978年録音と言われる「Claudine」は強烈な問題を含んでいるとして、オクラ入りが当然となったものです。それはタイトルどおり、1960年代後半に人気があった美人シンガーのクロディーヌ・ロンジェを歌ったもので、その内容は彼女が起こした愛人射殺事件と密接な繋がりがありますから、公式発売されれば裁判沙汰は必至!? しかも録音時期が例のキースのドラッグ問題でグループがガタガタになっていた時期とあれば、尚更にアブナイ雰囲気が横溢しています。ただし残された幾つかのテイクの内、ここに収められたのは軽快なR&R風味の強いものが選ばれていますから、聴きとれる歌詞の中身がそれほどシリアスには感じられないかもしれませんね。まあ、色々とあるわけですが……。

そして1979年のセッションは、前述したキースの麻薬裁判が結審した後とあって、一応の前向きな姿勢による、なかなかに充実した創作活動がここに証明される音源です。

それは1977年頃から引き続くパリでのセッションを起点に、1978&1979年に行われたバハマのコンパポイントスタジオにおける最終仕上げセッションまでを包括していますから、以降のアルバム数枚分の秘密が解き明かされる楽しみに満ちています。

中でも「Lonely At The Top」は後にミック・ジャガーがソロアルバム「シーズ・ア・ボス(CBS)」で公式発表した人気曲ですが、それが都会的な仕上がりだった事に対し、ストーンズのバージョンは、如何にも「らしい」ルーズなノリが最高にマニアック♪♪~♪


また「Hang Fire」は1980年代のストーンズでは決定的な名盤「刺青の男」に収録の公式バージョンに限りなく近いものですが、ミック・ジャガーのボーカルが別物の未完成テイク!?! ちょいと個人的には録音時期の推定が難しくもあって、実際、ブートで確認出来るだけでも3~4テイクが残されているようです。

つまり、それだけこの頃はストーンズにとっての充実期だったはずで、特にキース・リチャーズは曲作りと自らの歌の世界を確立する味わい深さが素晴らしく、例えばスワンプ系シンガーソングライターとして評価も高いドニー・フリッツの「We Had It All」で聞かせるシブイ歌い回しには、涙がボロボロこぼれます♪♪~♪

あぁ、最高のカントリーバリード♪♪~♪

そしてさらに泣けてくるのが、サム・クックの「Let's Go Steady Again」を変則カパーした「Let's Go Steady」の燻銀♪♪~♪ なんとストーンズとも繋がりの深いクリス・キムゼイ(key) の妻だったクリッシー・キムゼイと最高のデュエットを聞かせてくれるという仕上げがニクイ限り! ミディアムスローなR&Bの世界を時に情熱的に、あるいは刹那の甘さで歌いあげていくキース・リチャーズの意想外の素晴らしさには感涙する他はありません。ちなみにキース&ロンのプロジェクトだったニューバーバリアンズのステージでも歌われていますが、このデュエットバージョンは、微妙にうらぶれたムードがクセになると思います。

こうしたカパーの上手さは、ストーンズのひとつの魅力であって、ロバート・ジョンソンがオリジナルのブルースの古典「Sweet Home Chicago」をドロドロのブルースロックに変換する手口は決して悪質とは言えないでょう。キメしか歌わない詞の解釈は流石だと思います。

一方、オリジナル曲の冴えも秀逸なものが多く、最初は「Linda Lu」と表記されていた「Dancing Girls」のダイレクトなロックビート感、ブルースロックがど真ん中の「What's The Matter」、さらに完成度が高いストーンズ流儀の歌謡ロック「Gangster's Moll」は何度聴いても飽きません。

ただし、ここに収められているのは、あくまでも未完成テイクということですから、尚更に公式完成バージョンが聴きたくなるという我儘を押さえきれなくなるのです。

それは「Munioch Reggae」や「Munich Hilton」といったスタジオジャムからストーンズが自分達の曲と演奏を捻り出していく過程を窺い知るという、まさにファンの喜びと裏腹の欲望かもしれません。

ということで、ディープなストーンズ中毒者にとっては既発の音源ばかりかもしれませんが、なかなか秀逸なリマスターが施されていますから、捨て難い魅力がいっぱいだと思います。

ちなみに全曲がステレオミックスで、これまで耳ざわりだったヒスノイズは極力排除され、ピッチも正常だと思われますが、これは公式テイクを聴いたことがありませんから、独断と偏見ですし、音質そのものはマスターの状態から決して良いとは言えないものも含まれています。

しかし聴き易さは、これまでで最高じゃないでしょうか。

濃存じのとおり、「エモーショナル・レスキュー」関連のブートは夥しく出回ってきましたが、ブートの世界では決定的な名盤となっていたこの仕様での再発は、リアルタイムを未体験の皆様にも楽しんでいただけると思います。

そして公式盤の世界では近々、あの「メインストリートのならず者」のデラックスエディションで幾つかの未発表曲が世に出る予定とあれば、さらにブートの世界も活性化するものと推察する次第です。

あぁ、凄く楽しみだぁ~~~♪

コメント
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