松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

「紅白」の余韻

2015-02-06 07:43:06 | 日記・エッセイ・コラム

 「徹子の部屋」で動物たちが挙動不審に陥っていたことを知った。美輪明宏の「愛の賛歌」は人間のみならず、動物をも魅了しまくっていた。曰く「ネコが一緒に歌いだした」「ハムスターが、回し車から落ちた」「うちの犬が美輪明宏の昇天ビブラートに、びっくりして目を覚ました」テレビにクギ付けになる犬や猫たち。必ずしも賞賛の反応だけではなく、画面にパンチかましたり、低姿勢になったり、様々なようだが、いまいちわたくしの近辺では、人間の反応が良くなかった。

 この方、年齢のこと聞かれるとごまかすが、今年80歳になる。それであの声量。人間という範疇に収まり切れない。でも「黒蜥蜴(くろとかげ)」という舞台は、早変わりや長ぜりふがあって体力勝負だから、今回で最後にするそうだ。驚くべき体力。昇天ビブラートとは良く言った。褒めて遣わす。紅白見なかった方、ユーチューブの7分余り、残らず聞くべし。吉高のしどろもどろの会話から通して聞くべし。ありがたさが、身に沁みるべし。

 ダチョウ倶楽部の寺門ジモンの人生観にはびっくりしている。クワガタから始まって、白トリュフ。何でも興味を持ったものには、とことん追求する。トリュフの季節になると、イタリアまで休みを20日間程もらって出かける。最初は食うだけだったが、自分で採りにいくようになった。日本で食べるものは、香りの強さが全然違うという。本場のは、小ぶりの白トリュフ一個でスタジオ全部が素晴らしい香りに包まれるらしい。牛肉はもっと凄い。牛の育て方や流通まで探求して最後に、松阪牛のセリに参加するようになった。ある時まわりから「見ているだけかよ」みたいな視線を感じて仲買人の資格を取り、200万で競り落とした。その1頭分の肉を3日かかって百人単位で人を呼び、食べきった。蛭子能収が、どっからそんなお金が出るの、と心配すると、「お金じゃないんですよ。ボクは貯金ゼロ。自分が生きてきた経験が、ボクにとっての貯金だと思っています」つまり、芸のために金は使うもの、という感覚だ。落語家や歌舞伎の世界にそういう人がいる。これは独身だからできる事とも言えるが、その意気込みと探求心は素晴らしい。あの乾いた笑いからは想像もつかない人間性を見た。1個の人間として尊敬に値する。つたない漫画を描き、バスで旅してお荷物になる蛭子能収には絶対真似の出来ない芸当だろう。

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