嫁の野暮な用事で、象潟へ行った。行くともちろん実家に寄るが、漁港にも寄る。
それは引退したジサマが番小屋にいる、ということもあるが、こっちの動機の方が大きい。
おそらく日本一幸せな野良猫かも知れない。何しろ新鮮な魚を人間より早く、しかも
調理したやつも、サービスしてもらえるからだ。
この子が一番若い。捨て猫でほんとの親はいない。この白と黒が、育ての親で、連れ去られ
ないか警戒しているところ。
今日一番のアイドルだろう。片目が開かないところが、また母性愛をくすぐる。
親の心配をよそに、のびのびくつろいでいる。きのうは鳥海山という大きな屏風の
おかげで象潟はほとんど雨が降らず、おまけに暑いくらいだった。
遊佐方面から上昇気流に乗って、山頂から雲が下りてくる。典型的な「ダシ風」だ。
これを「フェーン現象」という。
庄内ナンバーの常連がいて、なべに魚と、ネコじゃらしで遊ぶ。
この子らも、この前来た時はかわいい子猫だった。
ネコが住み着いてからは、冬場にしまって置いた網が、ネズミにかじられることは
なくなったそうだ。しかし慣れすぎて、車が往来しても、どかない。短気な漁師には
引かれてしまう。だから番小屋と船の間には、遊びに行かない。
ここは、外海のすぐ前。番小屋の裏に当たる。
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