秋の虫

　ゆうべ、サスケが脱走した。トイレの窓を開けた透き間から逃げた。

　誰かがドアをちゃんと閉めなかったからだろう。それに気が付いたのが０時頃。

　玄関を開けて見たが、出て来なかった。さらに３時。目が覚めたので、玄関に行って見た。サスケ～と小声で呼んでみた。すると階段の下に寝転んでいた。別のネコが去って行った。

　その時、気が付いた。虫が鳴いている。すぐ近くだ。コオロギかウマオイか、どっちかだろう。

　それで首を振ると、アサガオのツルが伸びた生け垣の中から聞こえる。鋭い音色だった。１ｍあるかないかの距離で聞くと、素晴らしい迫力だ。コンサートだね。日本人には。

　時々、開いたアサガオの花がギザギザに食われていることがある。これが秋の虫ならいいなと思いながら見ている。

　あれから眠れなくて。九州に居座る台風１０号のナウキャストを開いたまま、眺めていた。

　渦を巻く、赤や黄色の筋を見つめて。ここでエラい事が起こっているんだと考える。

　午前２時半頃、台風の中心がぼやけて、特定出来なくなっていった。あの頃すでに、海岸線に接していたんだと思う。

　最初の予想では、大曲の花火のある土曜日がまさに、ピンポイントで進路予想の中心だった。

　それが毎日ずれていくから、多分花火は上がるだろう。予報では昼に雨だが。オレは一日降らないと思う。

　ＢＳで中継があるみたいだから。被害を受けた人たちも、テレビで見て欲しい。打ち上げ終了後の、花火師と観客の「エール交換」は感動するから是非。