松美の言絵(いえ)

私は誤解されるのが好きだ。言い訳する手間が省けるから。

新任式のあいさつが、好きだった。

2019-04-05 09:28:00 | 日記・エッセイ・コラム

 最初の学校で、事務職員として6年と3か月も在職してしまった。

 秋田からの出稼ぎ組は普通、2~3年で戻りたがる。

  随分お世話になったので、離任式は出なくちゃなと思った。

 ちょうどオレと良く似た生徒が居て、菅野君というんだが、そいつをダシにして挨拶をした。大学校だから異動する先生方は10人以上。順番から行って管理職、教諭、講師、最後に事務職員となる。好きな先生のあいさつは必然的に生徒も真剣に聞き、長くなる。誰も知らない事務職だが、あの頃は授業料で大分顔を覚えられた。

  挨拶の最後に、菅野君を呼んで、壇から降りて、制服の上着を交換し、記念写真を撮った。これがことのほか、先生方にもウケた。

  それから癖になった。3年生が卒業したとはいえ、800人からの生徒がどっと沸く。あの快感を知った。なるほど、これだから先生はやめられない。

  今日はたいがい始業式がある。今日が新任式の日だ。初めての生徒を前に、何をしゃべってやろうか。タバコを吸うなら、後始末をきちんとしろ、と言ったこともある。トイレに流すと浄化槽が詰まるし、火事になったら校長がクビになる。なんてね。

  先生方と違ってオレはアドリブが利かない。だから綿密に内容を考える。それがウケた時は、最高に楽しい。

 挨拶が好きと言うほどではない。順番が遅いだけ、ドッキドキは続く。ウケると楽しいが、失敗した時はスゴスゴと降りてくる。

コメント (2)
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