近い親戚で、東京にもらわれていった子が初めて妊娠した。お腹の中で既に、心臓に奇形があることが分かった。さすがに妊娠中に手術は出来ないから、生まれて体力がついてから行うことになった。しかし自力でおっぱいを吸えないほどなので、頑張って吸うのだけれど、そのために体力を使って体重が減る。
そんな状態で複数回、手術した。
酸素ボンベ持参なら、里帰りして良いと言うことで、鼻に酸素チューブを付けたまま、こまちで帰って来た。前に赤ん坊。後ろにボンベを背負った恰好で、ベビーカーを引っ張って来る。
おじいさまに似て、髪の毛は濃くないが、眼光は鋭い。この世界を興味深く眺めている。一旦観察したら、目を離さない。実際に顔を見るまでは、おそらく芯の強い子なんだろうと思っていた。
なぜなら、こんな境遇のもとに、進んでやって来た子だから。
あのお母さんの元に行く、と決めてやって来た子だから。
だがそんな芯の強さは微塵も見せない、おっとりした顔をしている。すでに幾多の、常人では経験できない体験をしているのに。
この子の魂は、迷うことなく母の元にやって来た。
しゃベるようになったら、じっくりその話と、前世での体験を語ってもらおうと思う。
帰りも赤い電車で帰って行った。向こうでは、次の手術が待っている。
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