日本の心・さいき

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杞 憂

2008-01-29 08:25:30 | Weblog
 トリ型インフルエンザ、抵抗力の少ない乳児やお年寄りが沢山なくなっても不思議ではないと思われがちだが、今まで実際に亡くなった人を見てみると、抵抗力が最もないと思われる乳児やお年寄りの死亡者が意外と少ない。何故だろうか?
 今日本で流行しているインフルエンザにしても、急性脳症は、症状が出てその多くが24~48時間以内に起きる。しかも、乳児もインフルエンザに確かになるのだけれども、急性脳症の例は明らかに少なくて、その割合は、1歳>2歳>3歳とはっきりと差が出ている。お年寄りが亡くなる場合は、1週間経ってから、細菌の二次感染による細菌性肺炎で亡くなり、インフルエンザにより数日以内に起きるウイルス性肺炎ではない。何故だろうか?
 恐らく、これは、免疫が大きく関与していると思われる。事実、インフルエンザ脳症になった場合、脳内にインフルエンザウイルスが沢山いる為ではなく、過剰なサイトカインが出ていることが起因していると言われている。インフルエンザの筋肉痛にしても、そこにインフルエンザウイルスがいるのでなく、やはり、サイトカインが関係している言われている。
 スペイン風邪がかって大流行した時、子どもだけでなく、20代~30歳代の若者も沢山亡くなった。これが何故か大きなミステリーになった。お年寄りが、同じ型H1N1を過去に持っていたからと一応は説明されているが、本当だろうか?それもあるかも知れないが、お年寄りの場合よりも若い人の方が、異物に対してアレルギー反応が強く出て(異物に過剰に反応して)、その結果、(乳児やお年寄りよりも)沢山のサイトカインが出て、一番丈夫なはずの人が亡くなったのではないだろうか。トリ型インフルエンザも、そうなっている可能性が大きいと思われる。
 新生児では、抗生物質のアレルギーの検査をしなくていきなり使用する。免疫力が発達していない為に、異物と認識してアレルギーを起こす力がないからだ。歳を取ると、花粉症が軽くなる傾向にある。歳を取ると、免疫力が落ちて、異物を排除しようとする力が低下するからだ。
 気になるのは、インフルエンザ脳症が、外国ではあまり問題になっていない点である。何故、日本だけが。
 それも、やはり免疫学的なアプローチで解明できそうな気もしている。現在、きれい好きの親から育てられた日本の乳幼児の約半数が、何らかのアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、気管支喘息、食物アレルギーなど)で悩んでいる。
 その原因として、遺伝的要因よりも環境的要因が注目されている。(専門的になるが)乳幼児期に微生物に暴露されやすい環境で過ごすとアレルギーの発症を予防できるのではと思われる。つまり、乳幼児の免疫系は、TH2が優位で、TH1機能の成熟が遅れるとアレルギーが発症し、TH1機能の発達に(腸内細菌を含む)微生物が深く関与していると考えられるからである。
 小さい時から、周りが抗菌的なものばかりを与えたりすると、細菌にさらされることが少なくなるだけに、TH1の機能が衰えるのではなかろうか。又、安易に抗生物質を与えてしまうと、腸内細菌も乱れて、やはり、TH1の機能が低下するのではなかろうか。
 実際にインドネシアの子どもに接して見ると、どの子もアトピー性皮膚炎はなくて、きれいな肌をしていた。タイで現地の親から聞いてみても、最近、(農薬などを使っているせいもあるのだろうか、寄生虫はもういなくなってしまった様で)アトピー性皮膚炎の子どもが多くなってきていると言われていたが、しかし、小学校にはいると、その大部分は治り、日本の様に、大きくなるまでアトピー性皮膚炎が続くことはまずないと言われていた。
 0157の時、きれい好きな親御さんの子どもさんにひどい例が多かったらしい。トリ型インフルエンザが、ベトナムや中国やインドネシアでなく、きれい好きな日本だったら、アット言う間にバタバタと倒れてしまいそうな気も少ししている(杞憂にならなければいいが)。
 ヒトは、自然の一部。やはり、ウイルスや細菌とも上手に共存して行くべきかも知れない。現在、インフルエンザとして、ソ連型も香港型も流行していること自体、今までになかったこと。かっては、ある型が流行すると、不思議な様に、それまでの型が自然消滅していた。これも、予防接種を沢山の人がしたり、多くの人の免疫力が変化したせいではないだろうか?!

*例えば、Th2↑によりIL-4が出るが、IL-4は、IgG、IgEへのクラススイッチを誘導するが、過剰になるとIgEに多くがクラススイッチされる。Th1↑で盛んに出る様になるIFN-γが存在すると、IgEへのクラススイッチは少なくなる。



:写真は、サヌールの子ども達

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