日本の心・さいき

日本の文化を通じて、世界平和を実現させましょう。

医療訴訟・・・

2008-01-14 20:18:51 | Weblog
 へき地に行くと、当直をしないといけない。で、専門外も診ない訳にはいかないことになる。いろんな疾患の患者さんが来る。外科や内科だけでなく、精神科領域や耳鼻科や整形外科まで。で、何とか自分では出来たと思っても、経過が悪いと、後でクレームの付くこともある。
 へき地の病院で、毎日、当直医が24時間体制で医療が出来ることが如何に大変なことか、一般の人には理解できないだろう。当直した医師は、翌朝から全く普通通りに仕事をしている。外科の先生も、ちゃんと翌日の手術をこなしている。
 今の患者さんは、どこにいても最高の医療を受けないと納得しない傾向にある。しかし、時間外は、それは無理と言うモノだ。訴訟まで行かなくても、よくトラブルのは、時間外の診療の場合だ。で、産科と小児科に関しては、時間を決めたりして、産婦人科医と小児科医がそれなりに診ている所が多いと思われる。
 (当院の場合)小児科医2人いても、大変だ。私は、体のことを考えて、当直はしていない。しかし、現在、(2人の小児科医で平等に2等分して)年の半分は(休みも含めて)、しっかりと拘束されてきているし、それなりに(深夜以外は)診らざるを得ないことが多い。も一人の小児科の先生は、月に2~3回、全科の当直をされている(それなりに、スゴイと感心しているが)。
 当院の場合、麻酔科の常勤の先生はいないが、週に1回、外部から来てもらっている。
 200床程度の全国の救急指定病院のアチコチで、産科と小児科と麻酔科のドクターが不足して問題になっている。この3つの科に共通する点は、医療の中でも専門領域のケースになることが多いこと(特に、新生児や2歳までの子どもの場合)、患者さん(の病状の説明)に気を使うこと、急変すること、患者さんペースで時間外に仕事をすることが多いこと、それに、拘束時間が他の科と比べて長いことである。
 日本の乳児死亡率は、世界一だ。しかし、その陰で多くの産科医や小児科医が体を壊している。しかも、そんな中で、医療訴訟で精神的に追い込まれていることだ(産科医の場合は、統計上、50年に1回、医療訴訟に巻き込まれている。その一歩前も含めれば、スゴイ数になるだろう)。
 こんな状態では、もう、日本の未来はないのでは!と言いたいです。
 もちろん、私も、大きな訴訟を2つ抱えて、弁護士相手に難儀した経験ありますし、この30年余年の小児救急医療生活では、訴訟一歩前の数は、その10倍以上にもなるかと思います。
*平成20年1月14日の朝日新聞には、「救急中核病院2年で174施設減」との見出しで、大きく1面に掲載されていた。又、2面にも、詳細に記載されていた。
 その中で、「当直医の専門外の患者さんが来る救急は、訴訟のリスクが高い」と解答した病院があったことや、「国は病院を集約化したいのだろうが、住民がをそれを認めるわけがない」との地方の幹部の意見や、更には、ある親は子どもの頭のすり傷に、脳外科や眼科の専門医、CT検査まで要求した例などが記載されていた。
 又、最後に、現場の医師からは、「医師不足が根本の問題なのに、(対症療法的な政府の方針では)うまくいかないのでは」との疑問の声が上がっていることが紹介されていた。

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続・年賀状

2008-01-14 18:52:33 | Weblog
 上手な絵を描いて毎年送って来る人もいます。
 初めのは、へき地で内科を開業している赤髭って感じの先生の作品。ある年の暮れに食事に呼ばれて行ったら、先生の患者さんが沢山いて、皆で鍋料理をおいしく食べた(そこで、篠笛と和太鼓をして喜んで頂けたが)。
 次の作品は、美術の先生が描かれたもの。その子どもさんが、肺動静脈瘻となって大学で手術された。それ以後、ずっともらい続けている。
 たった一言が、とても重みを感じるものが多い。
 愛媛で皮膚科勤務(大学で同級生)の一言、「お元気でしょうか、五十肩になって手があがりません」
 内科開業医(高校の時に同級生)の一言、「90Kg以上あった体重が75Kgまで減り、脂肪が筋肉に変わりました。趣味は、体重測定」。
 佐伯で内科勤務医(大学で同級生)の一言、「佐伯に帰ってきたら飲み方をしましょう」。
 更には、私がアチコチ行くものだから、ある開業医からは(彼が学生の時に私が宮医大で指導教官だったが)、「忍者のような田原先生ですが、今はいずこへ?」何てあった。
 家内へ来た中には、(大学病院の時に、同じアパートに住んでいて、その後、行ったり来たりしていたのだが)
 「・・・開業して5月でまる5年になります。早いものです。私ののんびりした生活も一変し、忙しい毎日です。お友達と会えなくなったのがとても寂しいです。・・・」とあった。
 又、激務で内科開業医のご主人を亡くした人からは、
 「・・・あれからの日々優しいお心遣いをいただいて本当に感謝しています・・・」と。

 毎年来ていた人から来なくなるケースも多々ある。その多くは、病気か
死。
 上手な版画が毎年来ていた。一人は、ある病院の病院長。名誉院長後に、そこを退職された。毎年、暑中見舞いと年賀状のハガキに、立派な版画が描かれ、感動していたが・・・。又、ある大学の先生(現在、教授、彼が大学生の時に、私が指導教官だったが)からも、毎年、力作の版画を頂いていたが、昨年奥さんが亡くなられた為に、もらえなかった。

 年賀状に、沢山のことが集約されている様な気がしてならない。

http://blog.m3.com/syumi-syounikai/20080114/1

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