山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

公明を引き込むための無限定の武力行使3要件

2014年06月15日 16時10分39秒 | Weblog
 自民党の高村副総裁は13日、集団的自衛権行使を可能にするための新たな「武力行使3要件」を自民、公明両党にしめした。
 従来の3要件は、1954年のものだ。➀日本に対する急迫不正の侵害、すなわち武力攻撃が発生していること、②これを排除するために他に適当な手段がないこと、③必要最小限度の実力行使にとどまること。
 もうひとつ、1972年の政府見解では、武力行使は「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態に対処し、国民のこれらの権利を守るための止むをえない措置としてはじめて容認されるものである」「わが憲法の下で武力行使を行うことが許されるのは、わが国に対する急迫、不正の侵害に対処する場合に限られる」「他国に加えられた武力攻撃を阻止することをその内容とするいわゆる集団的自衛権の行使は憲法上許されない」
 ところが、こんどの3要件は54年と72年のものからつまみ食いでつくりあげたものだ。
➀日本に対する武力攻撃、または他国に対する武力攻撃が発生、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがあること
②これを排除し、国民の権利を守るために他に適当な手段がないこと
③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 高村副総裁の提案は、専守防衛の原則すなわち、急迫不正の侵害=わが国への武力攻撃があった場合に、国連が必要な行動を起こすまでの間、必要最小限の武力行使が可能だとするものを、つまみぐいして覆すものだ。また72年の政府見解は、集団的自衛権行使は憲法上許されないという結論をみちびくためのものであって、それを集団的自衛権行使の論拠につまみ食い的に利用するなど許されない。高村氏が、春以来、1959年の砂川事件最高裁判決をつまみ食いして、判決が言ってもいない結論に導こうとして、きびしい批判を浴びていわなくなった。そこでかわりに持ち出したのが72年見解の恣意的利用だ。72年見解の利用は、公明党の要望でもある。
 武力行使の要件に、日本に対する武力攻撃に加えて、「他国に対する武力攻撃」をくわえた。すなわち集団的自衛権行使ということだ。さらに、「日本の存立が脅かされる…おそれがある」「生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆されるおそれがある」ことを武力行使の要件とした。従来の要件は、「武力攻撃が発生していること」(54年)「権利が根底から覆される急迫不正の事態」(72年)としていたのを「おそれがあること」としたのだから、時の政権によってどんなことでも「おそれ」に指定できる。もはや「限定ではなく、実は無限定」(13日、共産党志位委員長)の武力行使となる。
 おまけに、「同盟国」といわずに「他国に対する武力攻撃」としたことは、日米安保の範囲を越えてどこの国の紛争にも日本が手を出す道をつくった(14日『朝日』指摘)。
 1954年見解、1972年見解のどこからも集団的自衛権行使の論拠はでてこない。でもその文言の一部を恣意的に使うことで、木に竹をつなぐどころか木に鉄パイプをつないだものであっても、それで安心する公明党のためにやっているのだ。ちなみに、自民・公明協議の代表格の高村氏も北川氏も弁護士資格をもっているというのだから、いったいどこの国の憲法学を学んだのかききたい。

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