山上俊夫・日本と世界あちこち

大阪・日本・世界をきままに横断、食べもの・教育・文化・政治・歴史をふらふら渡りあるく・・・

介護保険改悪、根拠データごまかし法案は廃案にすべきだ

2014年06月09日 09時10分49秒 | Weblog
 安倍内閣は、医療・介護の分野でも改悪法案をごり押ししてきている。19本もの法案をひとつにしてまとめて押し通そうとしている。医療・介護総合法案だ。
 要支援1、2の人の訪問・通所介護を介護保険給付から外す、利用料を1割から2割に引き上げることが含まれている。医療・介護関係者、患者・利用者が大反対運動をしてきた。
 すでにこの法案は参院にまわされているが、共産党小池晃議員の追及で大問題が発覚した。厚労省が2割負担の論拠として提出してきたことが、データにごまかしがあり、田村厚労相がその論拠を撤回するという前代未聞の事態となっている。
 収入359万円のモデル世帯は支出より収入が60万円多いから2割負担は十分できると説明してきた。このモデル世帯は、夫の年金280万円、妻は基礎年金で79万円、計359万円で、可処分所得307万円とされている。
 可処分所得とは、所得から税や医療介護保険料を差し引いたもので、じっさいに使える金額だ。可処分所得から消費支出を引いた残りが貯蓄となる。可処分所得は消費支出と貯蓄を合計したものだ。これが教科書的説明だが、年金生活者の実際はこれとはちがう。可処分所得では生活ができず、可処分所得を上回る消費支出をしているのだ。つまり貯蓄を切り崩して生活費に回している。可処分所得は消費支出とマイナスの貯蓄を合計した形になっている。
 話しを法案論拠にもどそう。政府はモデル世帯の人の介護サービス利用料を2割に引き上げようというのだが、このモデル世帯の可処分所得307万円と、収入250万~349万円の世帯の平均消費支出247万円を比較して、可処分所得から消費支出を引くと60万円が貯蓄に回されている、したがって2割負担は十分できると説明していた。
 ところがこれにはごまかしがあった。可処分所得は消費支出と貯蓄の合計だとされるが、この250~349万の層の可処分所得は政府統計で197万円なのだ。つまり可処分所得をうわまわる支出をしている。貯金を取り崩して。厚労省は359万円の層の人も、349万円以下の層とおなじ247万の消費支出をすれば、307万円の可処分所得との差60万円の貯蓄ができると考えた。この計算はやはりおかしい。359万の人の値上げをするのに違う数字を差し引いて60万の余裕があるという。可処分所得は消費支出より多いという思い込みで変な計算をしたのか。
 6月3日、小池議員の追及で厚労相は答弁に立てず、「根拠を含めて答えをつくるので、今日のところは許していただきたい」としか答えられなかった。5日には、「やりくりしていただければ60万円の余裕がうまれるので負担できる」という趣旨の説明をした。だが小池さんは、60万円の余裕がある人に負担していただくというこれまでの説明と全く違う、これまでの説明が間違っていたということだと批判。ついに田村厚労相は「60万円の余裕があるとしたのは撤回する」と答弁した。
 法案の論拠がごまかしだったと政府が認めたものをごり押しで通すなど認められない。絶対に廃案にすべきだ。
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