「西の谷緑地公園」を美しく!

「公園都市水戸」の街造りを考える人達と協働したいと思っています。

『古陶小集』山上鎭夫(1962年発行・私家版)

2021年02月26日 20時23分59秒 | 山上鎭夫さん
『古陶小集』山上鎭夫(1962年発行・私家版)



骨董・古美術の世界に入門した(1970・昭和45)頃、水戸の骨董界で著名だったのは彫刻家の後藤清一さんと眼科医の山上鎭夫さんのお二方だった。
どちらも雲の上のような存在で、お会いすることやコレクションを拝見するなどは夢の世界であった。
しかし、骨董商の古川敏郎さんを通じ、先ず後藤さん次に山上さんの自宅に伺う機会を得た。
山上さんを訪ねた際に『古陶小集』(昭和36年5月校了・昭和37年1月発行)を戴いた。

A4判・96㌻の蒐集品の図録で撮影は坂本写真研究所。
坂本万七(1900年 - 1974年)は民藝品や仏像の撮影に定評があった。
モノクロだが、お気に入りの4件についてはカラー。

序文に続いて掲載68件について、時代・品名・寸法・感想文が附されてある。



1.  殷 青銅平底爵       高さ16.0㎝




2.  殷 青銅鬲(れき)     高さ16.6㎝

ko4_20210226193116c04.jpg


8. 六朝 加彩婦人俑       高さ59.7㎝



12.六朝 石仏(響堂山)     高さ47.0㎝



14.六朝 石仏(雲崗)      高さ20.5㎝

晩年まで診療されていたので、午後あるいは日曜日にお伺いした。
発行から10年以上を経過していたから蔵品にも移動があり、図録の全てを見てはいない。
しかし、その他の多くの品々も拝見できた。



原色版1.北宋 均窯紫波斑文百合口梅瓶  高さ41.0㎝



原色版2.南宋 赤絵蓮花文小壺      高さ 9.5㎝



原色版3.明天啓 赤絵椿文花瓶      高さ38.7㎝



原色版4.古九谷 色絵鳳凰文皿      径34.1㎝ 高さ6.3㎝

*モノクロが主流の時代、お気に入りの4件は原色版(カラー印刷)で挿入し製本されている。
特に「古九谷 色絵鳳凰文皿」山上コレクションの白眉でアメリカでの展覧会にも出品されたことが有る。
私も手に取って拝見する機会に恵まれたのは良い思い出だ。
現在は「石川県立美術館」の蔵品となっている。
*昭和20年代から「古九谷」と呼ばれるやきものが、有田産か九谷産かをめぐって激しい論争が巻き起こった。今はこれらの色絵磁器を「古九谷様式」と呼ぶことが多いが。



19.北宋 磁州窯 鉄画牡丹文梅瓶  高さ 38.5㎝



36.高麗 青磁陰刻徳利       高さ 29.5㎝

*戦前から収集を始めたが、序文に「戦後間もない頃、私の最も古九谷と埴輪であった」とあるが、中国や朝鮮半島の磁器、ペルシャの陶器など広範囲にわたる。



54.埴輪 武人首      高さ23.8㎝ (那賀郡静村出土)



55.埴輪 鳥        高さ43.5㎝ (群馬県出土)



53.埴輪 農人       全高75.0㎝(群馬県新田郡宝泉村出土)

*武人首は造形力に優れた東海村の窯で作られたと推測できる。
*鋤を担ぐにこやかな笑顔の農夫、京都国立博物館の常設展示品。

「古陶小集」掲載の後に、内外の美術館に収蔵された品々もあるが、多くは散逸し行方は知れない。
この様な図録として纏められたので、コレクションを偲ぶことが出来るのは幸いだ。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山上鎭夫さんの遺作展

2021年02月25日 08時07分54秒 | 山上鎭夫さん
山上鎭夫さんの遺作展



1994年2月2日~13日迄(今から27年前)水戸市大町のNHK水戸放送局1階のギャラリー「すいとぴあ」で「山上雑林子展」が開催された。







(当時の水戸放送局は、現在とかなり異なり、1階が貸ギャラリーだった。
眼科医で古美術蒐集家、クラッシック音楽愛好家、山歩き、俳句や陶芸など幅広い分野に興味を示した山上鎭夫(俳号・雑林子)さん=1993年2月、96歳で没=遺作の絵画や陶芸作品を集めた展覧会。







会期中に、生前の山上さんと骨董・古美術などを通しての知人が沢山訪れた。
模様がお昼の関東ローカルニュースで放送され、会期中に1度雪が降ったにもかかわらず、前橋から訪れたお客さんもいた。

山上さんは津山藩の藩医の家系で、軍医だった父親の任地、長崎県佐世保に生まれた。東大医学部を卒業後は水戸日赤病院に勤務。1943(昭和18)年に水戸市三の丸に「山上眼科医院」を開業し地域の診察に従事した。
その傍ら、古美術の収集に取組まれ、美術展へのアドバイスや展示協力など公的にも寄与した。近世の水戸を代表する南画家・林十江の「白桃図」、立原杏所の書簡十数通などを県立歴史館に寄贈している。



理想の形を求め、手練りで陶器のようなものも作っていた。
焼き物に見えるが、芯を金網で作り、石膏を固め絵の具で着色したのだが、普通なら存在しない色や形などの素敵な作品も並んだ。





自然を愛し、山川を題材とした絵を描き、具象とも抽象とも呼べないが面もある。
四季折々の山や樹木はあたかも「曼荼羅の世界」とご本人は感じていたようだ。
この様な山上さん独自としか言いようのない書き方のスタイルを「筋金入りの素人画家」と寺門寿明さんが評したのも頷ける。

日課のように描いていたので、膨大な枚数だ。
お気に入りの作品を額装・軸装し、水戸と東京で三度の個展を開いた。
85歳の頃にピアノを購入し、独学のクラッシック風の即興演奏も愉しんだ。

藩医の家系で藤田嗣治とは母方の従弟という血筋、審美眼と権威に流されず、知識に溺れない独歩の生き方を貫いた自由人であった。

山上雑林子展実行委員会のメンバーは(50音順)
網代茂・伊藤和夫・大須賀発蔵・大曾根克彦・小川知二・川又南岳・軍治直次郎・小泉博・後藤道夫・正村稔・鈴木重次・高橋洋一・墳本喜久蔵・寺門寿明・林一郎・福地靖・吉田光男/協力・相馬画材
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

鋼と色金-茨城の刀剣と刀装- @茨城県立歴史館

2021年02月24日 00時49分16秒 | 博物館
鋼と色金-茨城の刀剣と刀装- @茨城県立歴史館
2021年2月20日(土)~4月11日(日)







「鋼」とは鉄と炭素を主とする合金で、語源は「刃金」、文字通り刃物の原料。
「色金」は馴染みのない言葉だが赤銅や真鍮など多種の金属の総称。金属ながら
深い黒色や黄土色、朱色など多彩な色合いを呈する。
中世以降に色金の利用が活発化して、日本の金属工芸における色彩表現の幅が大きく広がった。

刀剣と刀装の歴史は、古くは大和(奈良)、山城(京都)、備前(岡山)相模(神奈川)、美濃(岐阜)周辺が名産地で、近世以降は江戸・大坂なども有名になった。
近世以降、これら以外の茨城も優れた刀工・金工師が活躍する。









今回の企画展では国宝の鹿島神宮の直刀(奈良~平安時代)をはじめ、大正時代までに作られた216点の刀剣・刀装・刀装具を展示。





一橋徳川家記念室では「一橋徳川家の名品Ⅳ」として、同家に伝来した刀剣類を、その伝来とともに展示している。


骨董・古美術の世界に足を踏み入れて約50年。
入門時は土器や陶器や民芸品だったが、後に仏教美術などにも関心が広まった。
奈良や京都に通い、更には中国やアジアにも目が行くようになった。
歴史にも興味を持つようになって、多くを知りえたことは生涯の宝とも言える。

水戸の金工師がかなりの水準であったのを聞いてはいたが刀剣・刀装・刀装具などには縁がなかった。
今回は作刀や金工の歴史を知り、茨城県にゆかりのある刀剣類を見ることが出来、勉強の種がまた一つ増えた。


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

K・SHOPのお雛様@水戸市中央2-5-24

2021年02月22日 21時25分08秒 | 水戸の今と昔
K・SHOPのお雛様@水戸市中央2-5-24







水戸駅南の桜川と逆川が合流する辺り、楠の大木とレンガの壁に蔦が絡まる「K・SHOP」は婦人衣料のセレクトショップ。
姉妹店のカフェ・レストラン「K'S CLUB 」と共に街のシンボルで、創業から40数年が経つ。

選び抜かれた商品と家族的なスタッフの対応と、季節を感じる装飾は楽しさに溢れている。



3月3日「ひな祭り・桃の節句」の内裏雛(だいりびな)。


 
クリスタルの器に活けられた黄色のチューリップ。



この季節なのに、珍しい。



窓越しに逆川の土手と駅南のビルが望める。



レジの後ろの壁面に武藤光篷(むとうこうほう)作「内裏雛」の色紙



紙で作られた「立ち雛」が描かれてある。

◎武藤光篷(1899~1941)那珂市本米崎生まれ、本名・質三。
同郷の先達・佐川華谷(1867~1946)の勧めで荒木十畝に師事。

◎お雛様の「雛」は、紙や布で作った人形「雛(ひいな)」に由来。
「ひいな」とは「ひな」の古語で「ちいさくてかわいらしい」という意味。

コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「昭和浪漫 思い出の宝石箱」@水戸市立博物館

2021年02月09日 19時39分37秒 | 水戸の今と昔
「昭和浪漫 思い出の宝石箱」@水戸市立博物館
2月9日(火)~3月14日(日)












新型コロナウイルス感染症に伴う、茨城県による独自の緊急事態宣言の発令をうけ休館していた水戸市立博物館が2月9日(火)より再開された。
開館40周年記念展「昭和浪漫 思い出の宝石箱」展が3月14日(日)まで開かれる。









1945年(昭和20年)に第二次大戦が終結し、焦土と化した日本は混乱を乗り越え復興が進んだ。十余年を経た昭和30~40年代には白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫の家電3品目が『三種の神器』としてもてはやされ人々の生活様式は目覚ましく変化した。
水戸の街や市民生活も大きく変わり現代に通じる基となったが「昭和レトロ」と呼ばれ、忘れ去られかねないモノやコトが沢山ある。
本展は「昭和浪漫・思い出の宝石箱」と題し、交通体系の変化/街中の賑わい/子供たちの楽しみ/食の変化/生活様式の変化などのテーマごとに写真・模型・人形・電化製品の現品・ポスター・チラシ・8ミリ映像など多岐にわたる資料が展示されている。



展覧会図録「昭和浪漫 思い出の宝石箱」と「追憶の水戸街なかアルバム」(昭和45年に大森多喜雄氏が撮影した水戸市内アルバムの一部で、今回展示された銀杏坂から泉町にかけての商店街の写真アルバムに昭和30年~40年代の年表も添えてある)2冊セットが800円で販売されている。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする