大佛次郎『天皇の世紀』1555回の軌跡@大佛次郎記念館
平成30年も残り僅かとなった。
来年には平成天皇が譲位され,新たな年号となる。
今年は明治150年となるが、明治100年の企画として朝日新聞に連載が始まった大佛次郎『天皇の世紀』の執筆開始から50年。
後に明治天皇となる祐宮の誕生から始まり、ペリーの黒船来航から戊辰戦争に至るまでの激動の幕末維新の時代を膨大な歴史資料を駆使して描いたノンフィクション。
著者の病気のため第1555回をもって休載となった著者の渾身の作品。
得てして、この時代を描く小説は旧幕府側か新政府側か、どちらかに肩入れ・思い入れをしてしまうことが多いが、大佛は是は是、非は非と、両者を平等・公正に扱っている。
司馬遼太郎のような著者の感情移入もあまりなく、抑制の利いた筆致はできるだけ歴史を客観的に見ようという著者の姿勢だ。
著者は明治天皇についても当然に言及するつもりであったに違いないが、それも果たされぬままで、著者の死が惜しまれてならない。
病気で入退院を繰り返しながら作品に取り組んだ6年半に及ぶ。
歴史の舞台となった日本各地を訪れ、約1000点に及ぶ資料に依拠しながら執筆を進めた収集品などが展示されてある。
水戸藩関連では、尊皇攘夷思想の基となった会沢正志斎の『新論』。
徳川光圀によって開始され、光圀死後も水戸藩の事業として二百数十年継続し、明治時代に完成した『大日本史』
1871年史上初めての人民自治を実現したパリ・コミューンの歴史的経緯を、克明に調査し現地を踏査してまとめた一大叙事詩である『パリ燃ゆ』の原稿など。
自宅の書斎を復元した部屋。
鎌倉の自然保護のため、イギリスのナショナルトラストに習った組織を立ち上げた日本の創始者でもあった。
こよなく猫を愛した。
水戸からの訪問者と知った学芸員が、天狗党の悲劇を題材とした長編小説『夕顔小路』を読むことを勧めてくれた。
200頁にわたる大著だ。後日、県立図書館で借りて読むことにする。
時代小説『鞍馬天狗』で有名な大佛次郎だが、幅広く多くの著作がある。
渾身の大作『天皇の世紀』は明治天皇に関することで、今上天皇の話ではないが、奇しくも「天皇誕生日」の訪問は新たな課題を背負った感じがした。
平成30年も残り僅かとなった。
来年には平成天皇が譲位され,新たな年号となる。
今年は明治150年となるが、明治100年の企画として朝日新聞に連載が始まった大佛次郎『天皇の世紀』の執筆開始から50年。
後に明治天皇となる祐宮の誕生から始まり、ペリーの黒船来航から戊辰戦争に至るまでの激動の幕末維新の時代を膨大な歴史資料を駆使して描いたノンフィクション。
著者の病気のため第1555回をもって休載となった著者の渾身の作品。
得てして、この時代を描く小説は旧幕府側か新政府側か、どちらかに肩入れ・思い入れをしてしまうことが多いが、大佛は是は是、非は非と、両者を平等・公正に扱っている。
司馬遼太郎のような著者の感情移入もあまりなく、抑制の利いた筆致はできるだけ歴史を客観的に見ようという著者の姿勢だ。
著者は明治天皇についても当然に言及するつもりであったに違いないが、それも果たされぬままで、著者の死が惜しまれてならない。
病気で入退院を繰り返しながら作品に取り組んだ6年半に及ぶ。
歴史の舞台となった日本各地を訪れ、約1000点に及ぶ資料に依拠しながら執筆を進めた収集品などが展示されてある。
水戸藩関連では、尊皇攘夷思想の基となった会沢正志斎の『新論』。
徳川光圀によって開始され、光圀死後も水戸藩の事業として二百数十年継続し、明治時代に完成した『大日本史』
1871年史上初めての人民自治を実現したパリ・コミューンの歴史的経緯を、克明に調査し現地を踏査してまとめた一大叙事詩である『パリ燃ゆ』の原稿など。
自宅の書斎を復元した部屋。
鎌倉の自然保護のため、イギリスのナショナルトラストに習った組織を立ち上げた日本の創始者でもあった。
こよなく猫を愛した。
水戸からの訪問者と知った学芸員が、天狗党の悲劇を題材とした長編小説『夕顔小路』を読むことを勧めてくれた。
200頁にわたる大著だ。後日、県立図書館で借りて読むことにする。
時代小説『鞍馬天狗』で有名な大佛次郎だが、幅広く多くの著作がある。
渾身の大作『天皇の世紀』は明治天皇に関することで、今上天皇の話ではないが、奇しくも「天皇誕生日」の訪問は新たな課題を背負った感じがした。