『名主の滝公園』 東京都北区王子
水戸地方に初雪が降った。一面うっすらとした白に覆われたが、間もなく雨になり消え失せた。今年一番の寒さかもしれない。観梅の時期は天候不順で、前日との温度差が10度近い事も多いし雨・風・雪もある。
先ほど、偕楽園の観光ボランテアをしている友人に出会った。「今日は如何でした?」の問いに、「寒いのにも関わらず、お客様は大勢でした。雪の偕楽園を観る機会に恵まれ、幸運でした。と喜んでましたよ」とのことだった。
所用で東京に1週間過したが、出歩く機会が少なかった。新宿の寄席『末広亭』で12時から午後9時まで通しで落語や演芸を十二分に堪能した。
上京した際、“西の谷がどう在るべきか”を考える参考に、何処かの庭園を観る様にしている。今回は北区王子の『名主の瀧公園』を訪ねた。
東京は広大な武蔵野台地に在るから沢山の谷と台地がある。
台地は、境目に湧き水や滝が出現する事がある。
西の谷も2箇所の湧き水が在り、流量の多い時は、小さな滝の状況を呈する事もある。
しかし、殆どが舗装されてしまった都市部は地下水の流れは少ない。
案内板に拠れば、名主の滝は王子村の名主・畑野家が屋敷内に滝を開き、一般の人たちも利用できる避暑施設として誕生した。
安藤広重の『絵本江戸土産』《1850(嘉永3)年》にも描かれているとある。その後、昭和に入り『上野精養軒』の経営する施設の時代もあったが、現在は北区の管理だ。
園内には3箇所の滝があるが、流れる量は少ない。夏場のシーズンにはポンプによる循環水で滝の景観を生み出しているようだ。
明治18年松平俊雄著の『常磐公園覧勝図誌』は神崎(現在の西の谷の場所)に『妙法滝』が描かれている。地下水の流量が増えれば滝の出現も夢ではない。
現在の街造り、全ての雨水は排水管を通して流されてしまうが、自然に地下に浸みこませる方法も有っても好いのではと思う。
梅が過ぎれば、西の谷の桜が咲き始めるのも間もなくだ。