仕分けの席上、こんなやり取りがあった。蓮舫議員は、はやぶさを意味のないプロジェクト、無能研究員だと批判した。
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蓮舫議員「で、それが国民の生活にどのような役に立つのですか?具体的にお答え下さい。」
JAXA 「イオンエンジンの実用化に向けた検証として・・」
蓮舫議員「具体的にお答え下さい。」
JAXA 「不況にあえぐ国民に希望を・・」
蓮舫議員「仕分け対象と致します」
「・イオンエンジンはすでにNASAやESAの探査機で実用化されており、何も目新しい技術
ではありません。
・惑星軌道からのサンプル採取も NASAのジェネシスとスターダストですでに成功しています。
・第一、はやぶさはミネルバ投下やサンプル採取に失敗している上、その原因はいずれも
プログラミングのミスというお粗末なものです。
・こんな意義の少ないプロジェクトに150億円も投資し、能力の無いJAXA職員に高給を払
い続ける意味は本当にあるのでしょうか? 具体的にお答え下さい。」
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蓮舫議員の言っている事に、あながち間違いはない。しかし・・。
「はやぶさ」が帰還し、海外から宇宙開発史上に残る快挙だ、世界で1番と褒め称えられると、態度は一変する。「仕分け結果を何が何でも守るべきだということではない。国民のさまざまな声は、次期予算編成に当然反映されるべきだ」と発言、菅首相も同様の発言をした。変わり身の速さは言うまでもない。(選挙対策なのは見て取れる。) だが、ロケット打ち上げには軌道などに最適の年があり、宇宙開発は中期、長期で考えねばならないと言われているのに。
この問題は奥が深い。まずは、JAXA内部で、旧NASDA(宇宙開発事業団)派閥と旧ISAS(宇宙科学研究所)派閥の力関係がある。有力なのはNASDA派閥で、はやぶさはISAS派閥のプロジェクトなのだ。打ち上げに種子島でないのが不思議に思われたが、そう言う事だった。
JAXAは自ら「はやぶさ2」の予算を5000万円計上し、仕分けの為3000万円の予算となった。「宇宙開発には、もっと予算がいるでしょう。」と上乗せしようとする役人に対して、そのような返事だったという。 「はやぶさ2」への圧力は、おそらくJAXAの経営計画立案のセクションから、予算が限られていることを 理由にかけられているのだろう。国際宇宙ステーション(ISS)の日本モジュール「きぼう」が 打ち上げられ、JAXAにはその運用と物資補給船の打ち上げという新たな負担がのしかかることになる。「はやぶさ2」に予算が廻れば、JAXA全体の運営にも響く事になる。
2007年の日経BPの記事 が、非常に興味深い。
さて話は変わって、私たちに馴染みの深いもう一つの仕分けの話をしたい。山形県の有機ELの研究だ。
私のブックマークに付いている
大学教授のぶっちゃけ話は、山形大学の城戸教授のブログである。この中で、山形県が世界的に有名なこの事業を仕分けして、研究所を事実上ストップさせている。弱り目に祟り目で、この施設の近くに落雷があり、あらゆる電源が落ちた。その様子を宮城の河北新報が6月16日付けで記事にしている。
河北新報
有機ELの研究は、日本がどんどん遅れてきたと、城戸教授は嘆いている。優秀な研究者は日本を見限って外国へ流れていると言う。資源のない日本で、何が重要なのかが判る政治家はいないのだろうか。