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YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

オバマ大統領の近況

2013-08-29 22:43:23 | アメリカ政治
オバマのフォローは続けているものの、最近余り書かなくなっている。最大の理由は自分でもつまらないからだ。

良くも悪くも期待を裏切るような言動が無い上に、大統領として成長した気配すらない。私のような素人に読み切られるような人物がアメリカ大統領なのは、本当に世界にとって不幸な事である

完全に読み間違えたのは再選果たした事だ。大統領の立場を最大限に活用して2年間も再選キャンペーンを行った影響を正しく理解出来なかった。元々実行力が無い上に再選を果たした事で我慢が効かなくなっており、国内でも外交問題でも影響力の低下が激しい。

未だ3年も任期が残っていると考えると気が重い。


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今年のコーンは豊作!?

2013-08-08 16:05:09 | アメリカ政治
6月は出張でほぼ不在、7月後半も休暇で猛暑のフロリダで過ごしたので、今年のミシガンの夏がどんな感じなのかさっぱり感じられなかった。(挙句の果てに休暇から帰ってすぐ連日ゴルフをしたので疲労がどっとでたのか蕁麻疹がでて、そんな事に思いも行かなかった)

昨日インディアナ州、今日オハイオ州と、いつものルートをドライブ出張したが、去年に比べて格段にコーンの背がが高いのに気がついた。そういえば、ずっと涼しい。

どうやら今年のコーンは豊作になりそうだ。


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アメリカ中西部は大旱魃(らしい)(7-22-12)

キャロライン・ケネディ、駐日大使に

2013-07-30 22:50:13 | アメリカ政治
日本では好意的に受け止められているようだが、日本にとってもそしてアメリカにとっても好ましく無い選択であろう。

大使ポジションの約4分の1は大統領選の功労者に与えられるらしい。この人選からオバマ大統領が日米関係そして外交全般を軽視している事が透けて見える。

キャロライン・ケネディは、2008年には早々とオバマ支持を打ち出した事でオバマが民主党大統領候補になる時から貢献しているし、2012年も引き続き支援を行なっているので、どうしても報いておきたい事情があるのだろう。

彼女は弁護士資格はあるものの働いたことは無く、基本的にJFKの娘というだけの肩書きしかない。最近になって公職に興味が湧いてきているようで、ヒラリーが国務長官になり空席となったNY州の上院の民主党候補に意欲を見せていた。

非ヨーロッパでは一番重要な同盟国である日本の大使の肩書きは、何の実績もないが名声だけは高いケネディ家の看板娘にとっては打って付けだ。

議会承認で外交経験の無さをネチネチ追求される事もまず無いであろう。(そんな共和党議員が居たら見上げたものだ)

日本政府としても、人寄せパンだとして親密な日米関係の象徴として使えるだろう。(オバマとのパイプは必ずしも強固ではないので過大な期待はしない方が良い)

任期中の数年間が平穏である事を祈るが、アメリカの西太平洋戦略変換という大事な時であり、中国、韓国、北朝鮮、ロシアと話題も関連国も多い地域なので、突発的な事件で難しい調整をしなければならない可能性が高い。

やらしてみなければ実力はわからないが、このタイミングでド素人はありえないだろう。

疑獄までもう少し、あと一歩、50マイルくらい!?

2013-05-26 13:27:01 | アメリカ政治
昨日、なんであんな曲を思い出したかというと、オバマ政権をめくるスキャンダルがいくつも同時に火を噴いてきており、どれもこれも状況証拠は充分なのに、共和党も攻めが甘いし未だに大半の報道機関は真剣に追求する気すら見せていない体たらく状態で、オバマにとって致命的になるかすら見えてきていない状態を表現する言葉を探していたからだ。

ベンガジ事件では国が事件の因果関係を意図的にねじ曲げる、IRS スキャンダルでは法のもとの平等を政治思想によって差別する、AP. Fox News への捜査に至っては言論の自由、報道の自由を侵害する、と言った言語道断の事態なのに、オバマ大統領自身は事前には知らなかったと言い(これは怪しい)、オバマ政権、ホワイトハウスの関与が少しづつ明らかになってきている段階である。

元々リベラル色の強いのがジャーナリズムではあるが、オバマに肩入れした事で、政府側となったリベラルの親玉が権力を使ってトンでもない事をしているにの、未だに擁護しているのは、悲劇を通り越して滑稽である。

疑獄まであと50マイル、遠い様な近い様な。

IRS Scandal

2013-05-19 21:26:37 | アメリカ政治
最大で唯一の関心は、オバマ政権にとってのウォーターゲートになるかどうかだ。

オバマ辞任、罷免に至らなくても、官僚もしくはホワイトハウスの上級スタッフが辞任に追い込まれる事態になれば、IRS に限らずオバマが目指す大きな政府、つまり連邦政府のやり過ぎに警戒気運が高まるであろう。

まず今回の IRS: Internal Revenue Service(内国歳入庁と訳してあるが日本で言う国税局)のスキャンダルであるが、非営利団体の申請審査で Tea Party, Patriot などキーワードとして使い、保守系グループに対し税金申請とは無関係の政治信条や必要以上な情報の開示を求め、そのうえ通常数ヶ月で終了する審査が2年以上経っても処理さえされない。

IRS は当初は否定、その後下級職員によるものとしていたが、苦情が広がり収束を急ぐオバマ政権は責任者を更迭させるている。

保守系グループをターゲットにし始めたのが 2010 年であり、ObamaCare への反対が盛り上がり草の根グループが多く誕生した頃である。非営利団体の認定を受けると寄付金集めや活動が格段にしやするなる。そして IRS は2012 年つまり大統領選の時まで、続けていた事が明らかになっている。

まだ、ホワイトハウス、オバマ自身の関与については何も出てきていないが、オバマの再選キャンペーンのウェブページでロムニーへ寄付をした人達を個人攻撃した事があるのだが、そのうちの何人かには IRS の意図的と思われる監査が入っている事実もある。

この IRS スキャンダル以外にも、リビアのベンガジ領事館襲撃の真相、そして 司法省による AP 通信社の盗聴問題が噴出している。

オバマ陣営は共和党が極端に政治問題化させていると非難し、オバマ大統領に至っては IRS Scandal に憤慨していたりすのだが、ホワイトハウスが関与している可能性は高そうだ。

叩けば必ず埃が出そうなので、共和党が連邦下院の公聴会等を上手く使って、どこまで追求出来るかが今後の展開の鍵であろう。これまでオバマにたいして厳しい批判をして来なかった大半のマスコミも、司法省による AP 通信社の盗聴問題が明るみになった事で少し風向きが変わった様にも見受けられる。

どちらにしろ、アメリカ政治は暫く停滞する事になるだろう。(この状態は 2010 年の民主党中間選挙大敗から少しも変わっていないのだけれど)

Everything Political

2013-05-12 19:49:50 | アメリカ政治
先週、連邦下院で昨年9月11日のリビアのベンガジにあるアメリカ領事館襲撃の公聴会があった。

焦点は、事前にテロ活動が活発になっている情報があったのになぜ警備強化がされなかったのか、襲撃は長時間続いたのだがなぜ救援部隊を直ぐ出動させなかったのか、国務省、オバマ政権はなぜうそ(テロではなく、デモがエスカレート)の説明をしたのか、の三つだ。

最初の2点については、現政権(特に国務省)の能力不足を表してはいるが犯罪ではないと思われる。問題は最後の、なぜオバマ政権が(アルカイダ系グループによるテロと知りながら)うその説明をしたのかと言う事である。

一番考えら得るのは、昨年9月は大統領選を2ヵ月後に控えていたオバマ再選活動との関連であろう。オバマ再選キャンペーンは、昨年3月にオサマ・ビンラディン殺害によりアルカイダは敗走状況であり、テロの可能性は大きく後退したと宣言していた。そんな時に、計画的と思われるテロ、それも大使が死亡する事態が発生した事をありのまま伝える事は、山場を迎えていた選挙戦にダメージを与えると考えた可能性が高い。

意図的に誤った情報をアメリカ政府が行った事がどのように処理されるのかが、今後の焦点になるだろう。

オバマとその側近は、全ての出来事を政治的という色眼鏡を通して見ている。アメリカ領事館が襲撃され大使が殺されたという事さえ政治的にしか捉えられない。だからこそアメリカ政府としてうその情報を流して乗り切ろうとしたのであろう。

未だにホワイトハウスは一連の出来事を政治的なものであると考えている節があり、共和党がこの事件を必要以上に追求しているというコメントまでだしている。

国務省、ホワイトハウスが積極的に報告事実を歪曲した事が暴露されつつあるし、今回は4人も死亡者が出ているので、そのうちにウヤムヤとはいかないだろう。

本当に情け無いのは、大部分のマスコミが現政権にうそをつかれていたのに大問題にしていない事だ。


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2014年中間選挙までのアメリカの政局

2013-03-01 22:11:37 | アメリカ政治
本日ホワイトハウスでオバマ大統領と連邦上下院の民主党、共和党のリーダーの5人で協議が行われたが何も進展せず、"Sequester" (米歳出の強制削減)が実施される事になった。

オバマ2期目の最初の山場であったが、"Sequester" に至る展開の分析と状況を考え併わすと、今後2年のアメリカの政局が見えてくる。

結論はシンプルである。

オバマは2014年中間選挙での民主党勝利だけを考えて活動していくという事だ。目指すのは上院のスーパーマジョリティ(60議席)と下院の過半数だ。つまり、第1期当選直後の状態を復活させ、最後の2年でやりたい放題をしたいのだ。

今年に入ってオバマの個人的支援団体である "Organizating for Action" から頻繁にメールが来る様になった。昨年の大統領選挙直前かと錯覚する位である。なんで今更キャンペーンを熱心にやるのか理解に苦しんでいたが、大統領という立場そして個人支援団体の連携で、2014年の中間選挙に向けてのキャンペーンを既に始めていると考えるとスッキリする。

政局、経済であれ、何でも悪いのは共和党だとしか言わないのだ。"Sequester" はオバマのアイデアであったのだが、そん事実関係には全く触れずに、兎に角共和党を悪者として糾弾し続けている。全くもってけしからんのは "Sequester" による歳出削減では、市民の生活に影響が出そうな所からカットしていきそうな気配すらあるのだ。散々脅したので何も起きないと格好がつかないのだ。

今の所、共和党は珍しく妥協していないが、どうなる事やら。3月末には予算延長、その後には公債発行上限の引き上げが控えている。直面している問題ばかりに目を奪われていると、オバマの術中に嵌まる可能性がある。

妥協してもしなくても、オバマが共和党非難の手を休める事は無いのだ。

キャンペーンに関してオバマは天才と認めざるを得ない。大統領の立場を最大限に利用して、過去2年は再選活動ばかりしていたし、今後2年は民主党の勝利の為に甲斐甲斐しく活動するのだ。それはオバマが最も実力を発揮出来るだけに厄介である。

Sequester

2013-02-23 00:33:26 | アメリカ政治
昨年暮れ(正確には今年の元旦)に "Fiscal Cliff" (財政の崖)を回避する為に暫定法案を成立させ2ヶ月の時間稼ぎをしたのだが、結局その間に何も進展せず、再び "Fiscal Cliff" が迫って来ている。(施行予定日は3月1日)

前回、年収40万ドル(夫婦で45万ドル)以上を除きブッシュ減税が(時限的ではなく永遠に)延長されたので、今回は自動的な予算カット "Sequester" が話題となっている。

"Sequester" は、2010年の中間選挙敗北の後、2012年の大統領選挙まで予算、国債発行額の上限アップでゴタゴタしたくないオバマが持ち出したアイデアであり、このアイデアに基づいて法案が成立している。

先週末タイガーウッズとやったゴルフが芳しくなかったのか、週明け火曜日にいきなり共和党を非難する会見を行い、"Sequester" を回避しないと一気に景気が後退すると、得意の脅し戦術 (Scare tactics) を全開で始めている。

これまでオバマの術中に嵌まって分断寸前だった共和党も、今回は少しだけまとまっている様に見受けられる。理由としては、この法案自体に増税の要素が無く、予算カットだけであると言う事が大きいと思われる。予算カットといっても政府の特殊な計算方法なので、実際の歳出額は増えるのである。

オバマとしては世論を味方に付け共和党を揺さぶろうとしているのだが、今回はちょっと効き目が悪い感じだ。まず、元々オバマ自身が署名した法律のせいで危機が訪れると矛盾した事を主張している事、このまま "Sequester" が実施されても急激に景気が悪くならないとの読みが共和党にある事が挙げられる。

"Sequester" が実施されても大きな変化が無ければ、オバマのオオカミ少年振りが炙り出される事になる。

しかし、オバマは運が良い。現在、ガソリン価格が過去最高価格近いし、Social Security の税率が元の6%に戻った事で可処分所得の減少が顕著になりつつあり、不況の入り口感が出てきている。共和党がこの辺をどう見るかである。

個人的には共和党が妥協し、何らかの "Sequester" 回避法案が成立する可能性が50%という所であろうか。


過去のエントリー

Fiscal Cliff 回避法案可決 (1-1-13)
Follow the money (12-14-12)
余りに政治的なアメリカの Fiscal Cliff (11-27-12)

ジューイッシュロビー

2013-02-17 10:44:08 | アメリカ政治
アメリカ連邦上院にて共和党は、次期国防長官の承認を議事妨害(フィリバスター)の否決という議会上の手続きで拒んだ。

候補である Chuck Hagel は、元共和党の上院議員であるが、ブッシュ政権後期に外交政策への批判を強めていた。特にイラク戦争そに反対していた事で、大統領候補であったオバマと繋がりを深めた。

上院での承認公聴会で過去の発言が問題になっている。傑作なのは「アメリカ上院はジューイッシュロビーの影響を受けており、その圧力に屈する議員がおり、イスラエルよりの法案が作られている」というものである。具体的に誰の事を、どの法案の事を指しているにかとの質問に、ひとつも思い付かないという何ともお間抜けな回答をしている。

アメリカ政治のユダヤ人の影響については、その強大さ、陰謀がよく語られるが、実態はこんなものだろう。連邦上院議員が信じる程その幻想は大きいとも言えし、受けを狙っての発言であったりもするのだろう。

現実をきちんと把握しない人が「ジューイッシュロビー」などと実態不明なオドロオドロしい集団を持ち出して、考えを止めてしまう時のパターンだ。

最終的には Chuck Hagel は承認される見通しのようだが、共和党には断固として拒否して欲しいものだ。

Fiscal Cliff 回避法案可決

2013-01-01 23:10:03 | アメリカ政治
ついさっき、超党圧倒多数で可決された上院案が下院で可決された。基本的に、年収40万ドル(夫婦で45万ドル)以上を除きブッシュ減税が(時限的ではなく永遠に)延長され、歳出削減発動の2カ月先送りとなった。

民主党の大半と共和党の約3分の1が賛成で可決された。民主党が過半数を持つ上院案を民主党の下院が団結して支持し、共和党の下院は同じ党の上院議員のやり方に反発した形だ。(尚、今回の採決が現下院議員の最終採決であり、来週からは新たに選出された下院議員での議会となる)

共和党は割れてしまった。

クリスマス、元旦を挟んでのドタバタで、Fiscal Cliff が回避された訳だが、最終交渉に望んだ両党上層部には、当初から落し所の認識があり、結果を見ると出来レースの可能性が高い。

共和党の下院議長は今回の上院で可決された法案を審議しないという作戦もあった。その上で、ブッシュ減税の延長を改めて可決し、元旦に遡って適用と言う手もあった。そうすれば、上院もオバマ大統領も賛成せざるを得なかったであろう。

どうしても年収25万ドル以上の増税に拘ったオバマ大統領としては、拒否権を使う事も出来るのだ。(絶対にやらないし、奇妙な勝利宣言をして署名するだろうが)

2ヶ月後には同じ茶番が繰り返されるのだ。今度は歳出削減発動だけではなく、国債発行上限問題がある。現在の財政状況では絶対に上限をアップせざるを得ないので、共和党がどのような戦略を編み出すかが鍵であろう。

財政問題では、共和党は危機の元凶にされるのと不景気を恐れて後手後手に回っている。オバマ政権、民主党はちょっとだけ妥協すれば、共和党がなし崩しで折れるのを待つだけで良いのだ。危機が回避された後で共和党を非難し、自分をヒーローとして宣伝するだけだ。

こんな単純構造を分かっていながら何も出来ない共和党は、そろそろ起死回生の策を考え出さねばならない。いっその事、強制的な歳出削減発動と国債発行上限をアップせずに連邦政府を数週間干してみてはどうか?

そうでもしないと誰も真剣にならないだろう。

オバマ政権、第一期の総括

2012-12-30 10:58:37 | アメリカ政治
もしオバマが落選していれば、自分の予想が大当たりとなり、無意識に希望的観測が入った独り善がりな見方が正しかったと増長する所であった。オバマ再選で、自分自身と保守系メディアに対して懐疑的になった事で、今後もう少しアメリカ政治を冷静に観察出来る気がする。

いろんなエントリーで散発的に書いて来ているが、自分なりにオバマ政権の第一期を総括しておこう。

一言で言えば、無能政権がピッタリであろう。政権運用能力、現実的な法案作成能力の欠如が著しい。

オバマ政権の第一期は、民主党が連邦両院の過半数を持っていた前半(上院が絶対過半数を持っていたが、マサチューセッツ州上院議員テッドケネディーが死去により一票足りなくなった)と、2010年中間選挙での歴史的敗北で共和党が過半数をしめ、ねじれ状態になった後半に分かれる。

大型景気刺激策 (American Recovery and Reinvestment Act of 2009)、ObamaCare、金融改革法案 (Dodd–Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act) の大きな法案は前半に可決しており、後半は目立った成果が無い。

まず、大型景気刺激策であるが、法律が成立したのが2009年2月17日、大統領就任から一ヶ月も経っていない。よって、大統領が法案自体に大きく関わってはいない。2008年リーマンショックのドサクサで民主党のやりたい放題法案であった。特筆すべきは共和党の賛成票が皆無であった。

ObamaCare は、審議途中でマサチューセッツ州上院議員テッドケネディーが死去した。補欠選挙で共和党が議席をとった事で民主党は上院の絶対過半数を失い、通常の法案可決手続が出来なくなった。そこで既に可決していた上院案を下院で修正する事も出来ず不完全なまま可決され、歪なまま法律となった。国民健康保険制度(日本とは違うが)は民主党の長年の夢で有り、民主党が、大統領と上下院で過半数を持っている非常に稀な状況での出来事である。最終的には強引で巧妙な議会運営手腕にお陰で法案可決がなった。

就任当時から、法案に無駄が有ればチェックして拒否権を使うと綺麗事を言っていたが、大型景気刺激策そして皮肉にも ObamaCare の内容を理解していない事は、当人の法案に対する不勉強と行政の長としての真剣さに欠けるを如実に物語っている。

金融改革法案についても、当初は共和党賛成が一票も無かったが、両院協議会での修正案追加で3人の共和党議員(メイン州2議員とマサチューセッツ州議員)が賛成に回った事で成立している。

こうやってみると、オバマ政権の前期は、民主党両院議長 (Nancy Pelosi, Harry Reid) の政権と言っても過言ではないであろう。下院で過半数を失ってからは、結局何も出来ていないのである。民主党が上院で過半数を持っているので、リーダーである Harry Reid が審議優先権を悪用し、下院で成立した法案の審議さえしないという異常事態が続いており、オバマはこれを放置している。

移民法改正、財政改善については、2010年中間選挙後に大統領キャンペーンのリップサービスだけで、ホワイトハウスの予算案、今回の Fiscal Cliff の顛末をみても、真剣に考えているとは到底思えない。一方で、Excutive Order と呼ばれる大統領命令を頻繁に出しているが、これは自分の支持団体へのおべんちゃらの域を出ない。(但し、環境問題等では、経済への実害が出ている)

あとは同性愛者間の結婚であったり、銃の規制に、口当たりの良い事を場当たり的にしているに過ぎない。

オバマは、イリノイ州上院議員を数年、上院議員4年の経験しか無く、政権運用経験は無く、連邦レベルの議会についても経験がなさ過ぎた。この事は余り騒がれていないが、やはり決定的だ。

第一期は前半は大統領の職務が何だか分からないなかで、民主党の絶対優位を悪用した手練手管の両院議長 (Nancy Pelosi, Harry Reid) に勝手にやられ、後半は議会のねじれ状態で運営がままならなくなり、何もする努力もしないまま再選のキャンペーンに熱中したというのが、単純であるが本質的な構図だと思われる。

2010年中間選挙後に目立った法案は、ブッシュ減税の延長と国債発行額の上限アップだけである。オバマはブッシュ減税の失効を目指していたが、中間選挙の敗北と再選を睨んで、ブッシュ減税の延長措置と財政削減の内容を先送りにして共和党との妥協をしている。これが Fiscal Cliff の要因である。

ホワイトハウスは議会に予算案を提出する義務が有るが、2013年度予算は余りにふざけた内容で上院で一票の賛成もなかった。民主党議員でさえ反対する程の惨憺たるものであった。

Fiscal Cliff をめぐる騒動は、今後最低でも2年間続く状態を暗示している。オバマには、本質的な意味でアメリカ再建、特に財政再建については、何一つ考えていないのである。よって、共和党が真摯な議論をし、妥協案を示しても、関係無いのである。やる気がそもそも無いのだ。

再選でオバマ政権はあと4年続くが、今後2年は過去2年と同じく予算や国債残高上限問題で危機的状況が何度も発生するであろう。2014年中間選挙でも議会ねじれ状態が解消しなければ、あとの2年も同様になるであろう。

オバマは再選された事で、決定的に史上最悪の大統領の汚名を着るのだ。

Smoke and Mirrors

2012-12-28 23:03:58 | アメリカ政治
"Smoke and Mirrors" とは目くらましの意味だが、Fiscal Cliff をめぐるホワイトハウス、連邦上下院の動きを見ていると全ては煙幕 "Smoke and Mirrors" の中で、実は出来レースなのではないかという気がして来ている。

クリスマス休暇前に、共和党の下院議長が "Plan B" と呼ばれていた代替案を可決しようとしたが、共和党議員の票をまとめられず流れてしまった。その上で、次は上院がやるべきだ、とケツをまくった形になっている。共和党が過半数を占める下院と違い、上院は民主党が過半数を持っている。

今日は、ホワイトハウスで、上下院の両党のリーダーがハワイでのクリスマス休暇を中座しているオバマ大統領を囲んで話し合いを行った。議会運営は上院、下院の順でやる事は決まったが、上院案を下院で成立するかは不透明なままだ。

法案は、時間切れと寸前という事もあり、とりあえず、ブッシュ減税を延長し時間稼ぎをするだけの内容になる可能性が高い。本格的な議論は年明けにやろうという事だ。

しかし、2010年暮れ、2011年夏に同じ様に時間稼ぎをしたなれの果てが、今回の Fiscal Cliff の原因だけに、結局は財政問題を先送りするだけで、2010年の中間選挙で共和党が過半数を取り返した以後2年続いている膠着状態が最低でも後2年は続くのだ。

増税と財政削減が話題の中心になっているが、国債発行残高の上限問題もある。大晦日頃に上限である $16.1T (約 1,370兆円)に達するのであるが、この引き上げ法案も可決されていない。

オバマ大統領は Fiscal Cliff 交渉当初は、今後上限を設けず政府が際限なく国債を発行出来る様にする項目を入れていた。あまりにふざけた提案だったので、その後話題にならなくなった。(オバマ大統領は、この提案についてはその後触れていない)

共和党は、ブッシュ減税の延長(年収 $1M 以上については税率アップ容認)と福祉削減をセットで考えているが、オバマ大統領は基本的に福祉削減がされない Fiscal Cliff が来ても構わないと考えているとしか思えない。共和党がいくらホワイトハウスと交渉しても妥協点はないのだ。

但し、民主党議員すれば、このままにしておく訳には行かず、上院が重い腰を上げたという状況であろう。上院案が下院で可決されればオバマもさすがに拒否権は使えないであろう。

民主党首脳とオバマ大統領が完全に一致しているのは、今回の危機は共和党のせいだと激しく攻撃する事だけだ。

もし、年内のブッシュ減税の延長以外の意味のある法案が成立するとすれば、既に共和党と民主党で手打ちが出来ている証拠で、やっぱり同じ穴の狢という事だ。

Follow the money

2012-12-14 21:46:39 | アメリカ政治
Fiscal Cliff から落っこちてしまうのか未だに予断を許さない。自分の税金が上がるのは嫌だが、自動的に政府の拡大に歯止めが掛かるなら悪くないかとも思う。

妥協が成立しなくて年を越しても、急に景気が悪くはならないと思う。

連邦議会予算局は、Fiscal Cliff から落っこちた場合(このまま自動的に Bush 減税と予算化カット(と言っても増え無い訳ではなく、ほぼ横ばいになるだけ)、2013年は、GDPはマイナス 1.5%、失業率は 9.1% と予想している。

そして財政赤字が半分(と言っても$641B!!(約52兆円))だけしか増えないらしい。(オバマ政権は毎年 $1T 近く(約100兆)の財政赤字を続けている)

一方でメジャーな福祉政策 (Medicare, Social Security) 改革は手付かずとなる。

真綿で首を絞められるように、嫌な感じで不況に突入するのだ。

これまでの様に、土壇場で奇妙な妥協がオバマ政権と共和党の間で成立する気がしていたが、今回はちょっと違うようだ。

オバマ政権は、常に金持ち層を目の敵し、今回もブッシュ減税を延長するがトップ 2% の納税者の税率はアップさせたいと大統領選挙戦でも公約していた。また、現在キャピタル・ゲインに対する課税は一律 15% であるが、キャピタル・ゲインを所得と計上とする事で実質増税、それも金持ちにより重くなる。

Caterpillar, Wal-Mart 等が年明けに予定していた配当を今年中に繰上げたり、年内に特別配当を出す事を決定している。Fiscal Cliff が避けられない場合、少しでも株主にメリットを出そうとしているのだ。

お金を追いかければ、何が起こっているのか見えてくる。


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アメリカにおけるユダヤ教

2012-12-09 16:20:58 | アメリカ政治
オバマ再選でアメリカにおけるキリスト教の衰退を書いたが、ユダヤ教の衰退も著しい。

イスラエル建国やその後の紛争の歴史について詳しい訳では無いが、アメリカのユダヤ人が大きく関わりずっと支援を続けてきている事くらいは知っている。

ユダヤ人はなぜか民主党を支持しているので、民主党政権になっても共和党とは違った意味で親イスラエルで、外交方針も基本的に安定していた。しかし、オバマ政権になって、特にイランの核兵器開発を巡って、関係が急速に悪化していた。

今回の大統領選で、ユダヤ教徒のオバマ離れがあると思っていたが、結果的には民主党支持に変化は無かった。つまり、アメリカのユダヤ人達はイスラエルの事を特別な国だと思っていない事が判明した。

ロムニーがモルモン教徒である事は、基本的に共和党の大統領候補予備選で影響が無かった。そして、大統領選ではキリスト教(エバンジェリカルもクリスチャンも)もユダヤ教も影響力が無い事が明らかとなった。

どう考えても無神論者 (atheist) であるオバマを再選させるアメリカは、既に、建国の理念であるジュデオークリスチャニティー(judeo-christian)の基盤が崩壊しつつあると考えざるを得ない。


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余りに政治的なアメリカの Fiscal Cliff

2012-11-27 04:37:50 | アメリカ政治
ここに来て Fiscal Cliff が騒がれているが、結局は2010年の中間選挙で共和党が下院の過半数を奪還したで、オバマ政権がブッシュ減税と国債残高引き上げで妥協をした副産物である。

民主党、共和党とも2012年に大統領選に勝てば、これをネタに攻勢と読んでいた節がある。で、オバマが再選されたので、共和党としては最悪の事態となっている。

大統領選の時からオバマは連邦議会を批判していたが、本格的に議会、特に過半数を占める共和党下院を攻撃している。共和党はこの妥協まみれの現状を打破する為に、妥協の妥協をしようとしており、自分の首を絞めている。

大統領選で増税をしないとロムニーを始め共和党全員が公約していたのに、既に上院の有力議員は微妙な発言をし始めている。民主党の思う壷だ。

共和党上層部は本当に情け無い。オバマや民主党に小突き回された挙げ句に妥協をしてしまうのだ。その上、現時点で共和党が妥協していないのを、ティーパーティを中心とする党内右派勢力のせいだと喧伝している。2010年の歴史的な中間選挙勝利の大きな要因も風前の灯火である。

ここは一切妥協せず、ブッシュ減税の打ち切り、政府予算20%カット(但し、福祉関係、軍関係は除外)のアメリカを出現させれば良いではないか。これって基本的には共和党公約に近いのだから。(ミドルクラス減税を除けば、民主党公約にも近い。だから妥協案だったのだ)


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