YS Journal アメリカからの雑感

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Fiscal Cliff 回避法案可決

2013-01-01 23:10:03 | アメリカ政治
ついさっき、超党圧倒多数で可決された上院案が下院で可決された。基本的に、年収40万ドル(夫婦で45万ドル)以上を除きブッシュ減税が(時限的ではなく永遠に)延長され、歳出削減発動の2カ月先送りとなった。

民主党の大半と共和党の約3分の1が賛成で可決された。民主党が過半数を持つ上院案を民主党の下院が団結して支持し、共和党の下院は同じ党の上院議員のやり方に反発した形だ。(尚、今回の採決が現下院議員の最終採決であり、来週からは新たに選出された下院議員での議会となる)

共和党は割れてしまった。

クリスマス、元旦を挟んでのドタバタで、Fiscal Cliff が回避された訳だが、最終交渉に望んだ両党上層部には、当初から落し所の認識があり、結果を見ると出来レースの可能性が高い。

共和党の下院議長は今回の上院で可決された法案を審議しないという作戦もあった。その上で、ブッシュ減税の延長を改めて可決し、元旦に遡って適用と言う手もあった。そうすれば、上院もオバマ大統領も賛成せざるを得なかったであろう。

どうしても年収25万ドル以上の増税に拘ったオバマ大統領としては、拒否権を使う事も出来るのだ。(絶対にやらないし、奇妙な勝利宣言をして署名するだろうが)

2ヶ月後には同じ茶番が繰り返されるのだ。今度は歳出削減発動だけではなく、国債発行上限問題がある。現在の財政状況では絶対に上限をアップせざるを得ないので、共和党がどのような戦略を編み出すかが鍵であろう。

財政問題では、共和党は危機の元凶にされるのと不景気を恐れて後手後手に回っている。オバマ政権、民主党はちょっとだけ妥協すれば、共和党がなし崩しで折れるのを待つだけで良いのだ。危機が回避された後で共和党を非難し、自分をヒーローとして宣伝するだけだ。

こんな単純構造を分かっていながら何も出来ない共和党は、そろそろ起死回生の策を考え出さねばならない。いっその事、強制的な歳出削減発動と国債発行上限をアップせずに連邦政府を数週間干してみてはどうか?

そうでもしないと誰も真剣にならないだろう。