YS Journal アメリカからの雑感

政治、経済、手当たり次第、そしてゴルフ

葬式仏教、結婚式キリスト教

2012-11-24 21:24:50 | 雑記
今回の大統領選挙で一番感じたのは、アメリカにおけるキリスト教の顕著な衰退である。

オハイオ州をロムニーが獲る場合の大きな要因が、2008年には投票率の高くなかったエバンジェリカルが反オバマ票として躍進するという推測であった。ロムニーがモルモン教徒であることがマイナスである事は否めないものの、結局、蜃気楼のような浮動票であった。(ブッシュ当選そして再選に大きな影響があったとされるが、再考の余地があると思う)

オハイオ州はミシガン州の隣りであるし、自然環境、経済環境ともに似ている。個人的にも、仕事でも馴染みがあり、アメリカ人の友人、知人も多い。しかし思い起こせば、所謂エバンジェリカルと呼ばれる様な人は思い浮かばない。イメージだけが先行しているのだろう。又、保守系の考えを持つ人々の間でも、ゲイへの容認や条件付きの中絶には理解を示している人々が殆どである。

よって、社会的な問題で民主党も共和党も実質的な差は無い様のである。だからこそ、民主党にこれらの社会問題を論点にされると、共和党、特に右派から極端な意見が飛び出たりして、ニッチもサッチも行かなくなるのである。

日本における典型的な宗教が葬式仏教と揶揄される様に、アメリカでの一般的な宗教は結婚式キリスト教へと既に変容している。神の前で誓ったのに離婚率が50%を超えるのは、アメリカ人気質ではなく、キリスト教自体がそれを許す様になっているからであろう。

宗教心というのは、日本でもアメリカでも薄れてきており、Way of Life (生き様ではちょっと大げさ、生活規範という感じ)として、そこはかと無く残っているというかんじであろうか。

共和党には熱心なキリスト教徒が多いので、この辺を思い切り勘違いしていると思われる。民主党の中には中絶を支持するカソリックがいたりして、宗教の縛りから自由になっている。共和党は中絶を違法に仕様とした事は無いのであるが(補助金を出さないというだけ)、常に民主党のイメージ戦略にやられっ放しである。

ObamaCare に反対を表明したカソリック教会が選挙に何らの影響を与えられなかった事は、決定的な意味を持っていると考えざるを得ない。

ゲイについては結婚を認めるかどうかという一線を守る必要があると思うが、社会的な問題で共和党と民主党は同じ様に考えているという認識を広める必要があるだろう。そのうえで、中絶や避妊薬への補助金は出さないという財政政策的な議論をする必要があると思う。

キリスト教が力を無くしている事を正しく理解する事で、現代アメリカを素直に分かるのではと思うこの頃である。