暘州通信

日本の山車

◆左甚五郎の獅子

2010年02月13日 | 日本の山車 左甚五郎
◆左甚五郎の獅子
 左甚五郎が伯耆の国を西に向かって旅をしていたが、折から雨季で、道はぬかるみ難渋していた。淀江の旅籠に泊まったが、雨が上がらず困り果てていた。自分の傘を京都の知恩院に忘れて来てしまったのである。そのうち宿賃がかさみ、支払いができなくなってしまった。旅籠の向かいは傘屋だった。店先ではあるじがせっせと仕事に励んでいたが、甚五郎は何とか傘を一介を手に入れないものかと思案していたとき、耳寄りな話がもちこまれてきた。神社の獅子舞につかう麒麟獅子が貸した先の神社の祭のあとで紛失してしまったという。旅籠の主人も思案していたが、「おまえさんも飛騨のほとなら、獅子でも彫ってくれたら、宿賃くらいは負けてやってもいいのだが」、結局宿賃と傘を交換条件に甚五郎は腕を奮い一頭の獅子頭を彫り上げたが、お世辞にも褒められたものではないお粗末至極なものだった。宿屋の主人はかんかんに怒って甚五郎を放り出してしまった。そのとき傘もとりあげ、こんな出来損ないの獅子の代金ならこの破れ傘で充分だ。まだ酒手の代金が残っている。あるじは、ほとんど紙の破れた傘を抛ってよこした。甚五郎はべりべりと傘の骨をむしると、一本の竹竿を杖について、そぼふる雨に濡れながら宿場町を出て行った。
 旅籠のあるじは腹が収まらずむしゃくしゃしていたが、腹立ち紛れに、甚五郎の彫った獅子を囲炉裏で燃やしてやろうと、ふとみると、そこにあったはずの獅子がなくなっているので驚いた。あとでわかったことだが、獅子は甚五郎を追いかけて出て行ったものらしい。そのあと甚五郎が雨宿りした淀江神社の拝殿には、たくさんの獅子の泥足のあとが残っていたが、肝心の獅子はどこに行ってしまったのか影も形も無かったという。
 のちの話だが、出雲の某寺では、住職が死去し、あとにおかみさんと子供が3人の子供が残されたが、生活がたたずに困っていた。甚五郎は、淀江の旅籠であるじが投げてよこした破れ傘の柄に雨龍を彫っておかみさんにあげたが、本道に飾られた傘は、左甚五郎の龍だということで評判になり、遠方から訪れる参詣者があとをたたなかったという。
 のちになって出雲にでかけた飛騨高山の名工、松田亮長(まつだすけなが)も、龍を彫った淡竹の龍を奉納している。

□外部リンク
「日本の山車」を執筆している一人閑(ひとりしずか)と申します。早速ですが、貴方のブログ記事を「外部リンク」として紹介させていただきましたのでお知らせします。もしご迷惑でしたらお申し出ください。削除いたします。
◇日本の山車 ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/ypjcd447/
◇日本の山車 ホームページ
http://hiyou.easy-magic.com/

◇播磨・西国の寺~(3) 明石・浜光明寺から大蔵海岸へ 2009.3.29 
2009/4/23(木) 午後 0:13
... 居城を三木城に移すに当り、陣屋のあとを寺院にしたと伝わる。赤松満祐が ... 「牛乗りの神事」と「神楽獅子無」・「囃はや口」が有名で市の無形文化財に指定されている。楼門の彫刻は左甚五郎作だそうです。気付きませんで、残念。 大蔵院を東へ歩く ...
 http://blogs.yahoo.co.jp/teravist/15408415.html

◇中華ソバ櫻坂&渋谷散歩
2008/9/29(月) 午後 11:12
... 食事のあとの渋谷散策は「金王(こんのう)神社」です。 渋谷警察の裏側です。 写真は鎌倉時代の御神輿で、右側のガラス戸の中には、 左甚五郎作の獅子頭がありました。 「ちい散歩」で放送された直後のことで、とても人が多かったです。 ...
 http://blogs.yahoo.co.jp/komenoman/1566820.html

◇9月7日(日)木馬亭定席
2008/9/15(月) 午前 0:19
... 前日の「越後獅子祭り」で素晴らしい口演をされた藤田元春さん、本日は「南海情話」でした。 仲入りのあと登場したのは、三門柳さんでした。昨年6月の木馬亭以来 ... 桃川鶴女  甚五郎水呑みの龍(講談) 藤田元春  越後獅子祭(三味線 伊丹明) 三門柳 ...
 http://blogs.yahoo.co.jp/kosawa3545/16535151.html

◇京都ひとり旅2006’夏-2 (養源院)
2006/7/12(水) 午後 9:46
... 場所・場所へ移動し、一人で拝観。 ☆俵屋宗達の象や獅子、麒麟を描いた杉戸絵☆ ☆秀吉の学問所とした牡丹の間☆ ☆左甚五郎の造った鴬張廊下☆ などなど、ポジションごとにおばちゃんが ... 甲羅干しを横目に      養源院をあとにしました。 つづく http://blogs.yahoo.co.jp/tin_3_chin/11916131.html

◇秋の京都 (PART 1)
2009/11/13(金) 午前 0:59
... 抹茶をたてて 1ついただきます(^^) あとの3つはお土産として持ち帰り~☆ 和菓子 ... お寺やけど 俵屋宗達の描いた象や獅子・麒麟の襖絵が見れます。 手形のハッキリわかる「血天井」や 「左甚五郎 作」の(うぐいすばり廊下)も有名。。。 ... http://blogs.yahoo.co.jp/mofmof1015/31285223.html

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