【AFCチャンピオンズリーグ2010 ペルシプラ vs 鹿島】レポート:厳しいアウェイでも鹿島が無傷の4連勝!予選リーグ突破を決める(10.03.31)
3月30日(火) AFCチャンピオンズリーグ2010
ペルシプラ 1 - 3 鹿島 (18:00/ゲロラ/732人)
得点者:1' 遠藤 康(鹿島)、19' ユスティヌス・パエウ(ペルシプラ)、26' 興梠 慎三(鹿島)、34' 内田 篤人(鹿島)
これまでAFCチャンピオンズリーグでの3試合、鹿島はいずれも雨や雪に見舞われてきた。そして、この日も昼前から雨が降り出す。4連続で雨中の試合になるかと思われたが、開始1時間前にピタリと止んでしまう。このことが試合に大きな影響を与えた。
前日の公式会見で「できれば勝点を取りたい」と話していたペルシプラ・ジャヤプラの監督や選手たち。言葉通り、5-4-1という守備的な布陣だったカシマスタジアムでの試合とは違い、3-4-3の3トップを採用。ホイッスルと同時に前がかりに攻めてきた。しかし、前に出てくる相手は鹿島にとっても好都合。ボールを奪うと右サイドからスペースが大きく空いた左サイドに展開するとジウトンがフリーでボールを受けた。この日が移籍後初先発だったジウトンだが、慌ててマークにつこうとする相手DFを難なくかわしてゴール前にクロス。そこに飛び込んだ遠藤康が右足で合わせ、開始58秒であっという間の先制点を奪った。
しかし、早すぎる得点が選手たちの心理に微妙に影響する。得点をさらに積み重ねて試合を終わらせたい気持ちが、鹿島らしいゲームコントロールの巧みさを失わせてしまった。サイドバックの内田篤人は前半の試合展開を悔やむ。
「相手にカウンターをされるのではなく、俺らがカウンターに行く展開にするべきだった。受けて立つべきだったよね。相手が焦る内容にしないといけなかった」
カシマでやったときと同じ運動量を発揮できれば問題はなかっただろう。だが、雨が止んだグランドからは水分が蒸発し始め、ピッチ上は異常に高い湿度に包まれていた。試合後、内田は「モアっとした感じ」と表現していたが、どの選手も「暑かった」と口々に話した。すぐに水が蒸発してしまうスタンドとは違う環境がピッチの上にはあった。
そのため、サイドバックが上がったスペースを相手に使われたとき、センターバックがカバーに入るタイミングがワンテンポ遅れてしまう。これまで出場してきた試合では広い守備範囲で相手の攻撃を摘み取ってきたイ・ジョンスでさえ、相手に前を向かれてしまう状況だった。特に右サイドの21番ユスティヌス・パエウが再三ドリブルで仕掛けてきた。シュートミスなどに助けられ、詰めかけたインドネシアの人々が頭を抱える場面が続くなか、ついにゴールが生まれる。19分、左サイドを崩されボアス・サロッサのシュートがポストに当たると、その跳ね返りをパエウが蹴り込みペルシプラ・ジャヤプラが同点に追いついた。
鹿島にとって非常に嫌な展開の中での失点だったが、ここからチームは落ち着きを取り戻す。さらに攻勢を強めてくる相手に対し、26分に興梠慎三がペナルティエリアで胸トラップ、そのまま右足を振り切り浦和戦以来のゴールを叩き込む。さらに34分、自陣でボールを奪ったイ・ジョンスが目の前の左サイドにフリーで走り込んだ遠藤にロングパスを出すと、これを合図に鹿島のカウンターが発動。内田が中央に走り込みワンタッチで右サイドに流すと野沢拓也が狙いすましたシュートを放つ。一度は防がれたものの、こぼれ球に内田がそのまま走り込み勝負を決定づける3点目を奪い取った。
後半から、鹿島は試合をコントロールする本来の戦い方を取り戻す。3トップ気味の相手の動きにも上手く対応できるようになり、前半のようなカウンターのチャンスを相手に与える場面は少なくなった。試合中、岩政大樹はイ・ジョンスと何度も何度もコミュニケーションを取りながらラインの安定に努めていた。
「監督は、9番(アルベルト・ゴンサウベス)が下がったときにマークについて行くように指示を出していたんだけれど、僕としてはそれよりも2列目から入ってくる選手の方が嫌だった。だから、イ・ジョンスが付いていってスペースをつくるのではなく、ボランチに頑張ってもらって守備をした方が良いと話していました。うまく修正できたと思います」
守備が安定したことで失点の危険性は激減する。おかげで先発した主力選手たちを早めに下げることにも成功した。60分には興梠を下げ佐々木竜太を投入、64分には遠藤に代えて青木剛、80分には小笠原を伊野波雅彦と交代。中田が中央、左右に青木と伊野波を配したダイヤモンド型の中盤で守りを固め、危なげなく試合を終えた。
これで鹿島は無傷の4連勝。同組のもう1つの対戦で長春亜泰が全北現代に敗れたため鹿島の予選リーグ突破が決定。最終戦で全北現代と予選リーグ1位を争うことになる。イ・ジョンスによると前回の対戦で不発に終わった全北のエース李東國は、鹿島へのリベンジに燃えているという。
「自分たちは11月の決勝に行くことが目的です。それまで一つ一つ勝っていくことを目指します」オズワルド・オリヴェイラ監督は試合後の記者会見でそう述べた。次の長春亜泰とのアウェイ戦も全北現代との最終戦も厳しい戦いになるだろう。ラウンド16を勝利すればワールドカップ中の中断期間に入る。それまで休息の時間はない。
以上
2010.03.31 Reported by 田中滋
灼熱のピッチ上で選手たちは考え、プレイし、勝利を掴んだ。
それが全てであろう。
その結果、決勝トーナメントに進出することが決まり、我等のアジアの戦いが本戦へ移行することとなった。
とはいえ、より優位に進めるため、グループステージを1位で抜けねばならぬ。
当面のライバルとなった全北を聖地にて成敗し、首位通過しようではないか。
論功行賞の場に於いて頼朝は「おことたちは勝手に朝廷から恩賞をもらってはならぬ。朝廷から授けると言ってきても辞退せよ。その儀はわしがすべて取り仕切る」」と言い放ったのであった。