原爆が核分裂の兵器であるのに対し、水爆=水素爆弾(Hydrogen bomb)は原爆を起爆剤とした核融合による兵器です。核科学の粋を極めた、まさに地球を破壊する兵器です。
『物質の根源を知ること』とは、すなわち『物質を破壊し尽くす摂理を手に入れること』でもあります。
科学のどの分野でもそうですが、ある現象の摂理を明らかにすれば、その弱点や操作の方法が明らかになります。人類の強烈な諸刃の刃であることを思い知るべきです。われわれは「神の摂理」を明らかにしつくすことはできないが、それに挑むことはできます。摂理の奥深くへ到達するとは、この世の根源を破壊する手段を手に入れる、ということとほぼ同値です。
「科学」の原点について、中学、高校の理科の授業の最初、あるいは一部で「科学哲学」として扱うべきでしょう。「科学」のおもしろさ、楽しさばかりを強調する教育が指向されていますが、片手落ちです。
明るい未来を想い描いて核科学を勉強し始めたら、いつの間にか世界を終わらせることになっていた、などあってはならないことです。
核兵器のみではありません。生命科学も同様です。生命科学はほぼ発生過程の摂理を解明しました。遺伝子とそれを巡る制御に関する知見は膨大なものになっています。今、まさにその遺伝子とその制御に人為的に切り込もうという局面になっています。この技術は生命を破壊することもできる技術でもある、ということを知らなくてはなりません。
物事には表と裏。明と暗があることを心に刻みたいと思います。