昨日はO氏の会見が午後にありましたが、科学的な議論が法律家の議論になっており、大変不愉快に思いました。ひとつひとつのデータの加工や異なった画像の使用は、それをやること自体に問題があります。どういう意図を持ってやったのか?を議論するのは法律家の議論でしょう。しかし論文が正しいかどうかは全く別の次元の問題です。今の時点で「○○細胞はあります。」と何度言っても無駄です。それを沢山の報道陣を前にして世間に向かって言っても無駄です。それは整ったデータの提出による科学的証明によって初めて主張することができます。
論文についてのあのような主張の仕方、撤回しない、間違っていない、という連呼は、それこそ自然科学を愚弄している態度だと思います。昨日の会見はますます疑義を強めることになりましたが、そういうことを平気でできる、という事実がはからずしも彼女がいかに素人であるかを証明することになってしまいました。日本の科学研究のレベル低下に開いた口が塞がりません。早稲田大学と理研の責任は徹底的に追及されなくてはならないでしょう。
さて、以前書きましたように、健康診断基準は正常の範囲があまりに狭く、検査項目によっては検査を受けた半数が異常と判断されるものもあります。それがやっと改正されるようです。以下は4月5日の記事です。
「日本人間ドック学会と健康保険組合連合会は4日、血圧や肥満度などについて、健康診断や人間ドックで「異常なし」とする値を緩めると発表した。国内で人間ドックを受けた人の値を調べたところ、血圧やコレステロールの値がこれまでの基準より高くても「健康」だった。学会は新基準を6月に正式に決め、来年4月から運用する予定。
学会は2011年に人間ドックを受けた約150万人のうち、たばこを吸わずに持病がないなどの条件を満たす約34万人を「健康な人」とした。そこから5万人を抽出して27の検査項目の値をみた。その結果、従来は130未満を「異常なし」としていた収縮期血圧は、147でも健康だった。85未満が「異常なし」だった拡張期血圧も94で健康だった。
血圧 (mmHg) これまで 改正後
収縮器 130未満 88~147
拡張期 85未満 51~94
男性 女性
肥満度BMI 25未満 18.5~27.7 16.8~26.1
肝機能(GPT) 0~30 10~37 8~25
総コレステロール 140~199 151~254 145~238 (30~44歳)
(mg/dl) 163~273 (45~64歳)
175~280 (65~80歳)
LDL 60~119 72~178 61~152 (30~44歳)
(mg/dl) 73~183 (45~64歳)
84~190 (65~80歳)」
特筆すべきは女性のコレステロールの値が年齢別になり、正常値が分かれたことです。一番問題だと思っていた点が改正されるようで結構なことです。