今週は日蝕の観察から始まりました。残念ながらこの辺りは雲が厚くて、直接観察するのは叶わなかったのですが、職場の方の写真やテレビ放映などで、きれいな金環を観ることができました。ただ、私にとっては太陽の様子そのものよりも日蝕が進むにつれて周囲が薄暗くなって行く様子がとても印象的でした。あたかも分厚い積乱雲に覆われたときのような、人々をちょっと不安にさせる薄暗さでした。すっきりと晴れていて日蝕ということを知らなかったら、なんだなんだ、という感じでしたでしょう。古代の人々は恐れたことでしょう。大変印象深い体験でした。
ところでがんが感染症の一種である、という話しについて感じるところがあります。菌、いわゆる微生物の活動が、がんの発生、増殖に影響を与えている、というのは現代の研究レベルで理解できることです。嫌気性菌(酸素を嫌う細菌)が腸内細菌のほとんどを占めると考えられていまが、これらが腸管免疫系を刺激し、全身の免疫系の調節に関与している可能性は十分にあります。
また、がん細胞の感染性についても重要だと思います。この問題は説明が沢山必要なのでまた書きますが、微生物の存在を考える必要は必ずしもありません。もちろん、真に微生物の関与がある感染性のがんはあります。ヒトパピローマウイルスやHTLV、肝炎ウイルス、ピロリ菌など、ヒト発がんに寄与する微生物の存在は明らかです。しかし、そのような微生物の関与がなくともがん細胞の感染性は存在するのです。恐ろしいことですが、これは事実です。ただ、この感染性についてはもう少し丁寧な説明が必要でしょう。