韓国時代劇のトンイ(同伊)。トンイは第21代国王英祖の生母である淑嬪崔氏(スクピンチェシ)をモデルとするキャラクターだ。敵役である張禧嬪(チャン ヒビン)は、朝鮮三大悪女とも呼ばれる人である。(ただし、淑嬪崔氏と禧嬪張氏が対立していたのは事実なれど、どちらが本当のワルなのかは、実際のところはよくわからない。禧嬪張氏が作られた悪女である可能性がある点は、ドラマを楽しみながらも、頭の片隅に置いておく必要はあると思う。)
で、禧嬪張氏(玉貞(オクチョン)とも)は、ドラマの最初の方では、トンイの味方であったが、あることを切っ掛けに完全に敵に回ってしまう。
彼女の兄・張希載(チャン・ヒジェ)がそもそもとってもワルで・・・いつもニヤニヤしている、私が今までに見た韓国ドラマのなかでは新しいタイプの悪役だが、・・・妹の出世の妨げになる明聖大妃(ミョンソンテビ)を毒殺してしまうのだ。朝鮮王朝時代の女子の出世コースである「世子嬪→王妃→大妃」を全うしたのは明聖王后金氏ただ一人であり、史実での死因は毒殺ではないかもしれないが、ドラマではずいぶんな扱われようである。
というのは置いといて、その毒殺の仕方であるが、内医院(ネイウォン)のホとかいう医官が、単独では毒にはならぬが、もともと明聖大妃が服用しているものに合わせて飲むと、毒になるものを加え、徐々に体調を崩させてついには死に至らしめる・・という方法なのである。そのホ医官の名前が、ホ・ジュニルだと・・・。
あのね、どうせこの部分フィクションなら、医官の名前、別の名前にしてくれる? 私、直前まで「ホジュン」にハマってたんだから。舞台セットがほぼ同じで、医官の服を見てホジュンを懐かしんでいたら、何とちょっと似た名前のホ医官が王の母の薬に毒を加えるなんて。。。
しかもそのホ医官は当然ながら黒幕の指示で動いていたわけだが、トンイの働きでとらえられた途端、王様の前で、「それは王妃の指示だ」と嘘を証言。王妃は廃妃になるし、ホ医官は最終的には斬首されてしまったことが、7~8話あとに分かる。
しかし、この時代、証拠があったとしても、出し方やタイミングを誤ると、握りつぶされたり、逆のことにされたりしてしまうんだな。証拠の捏造なんて当たり前。そういうことでとらえておいて、拷問で吐かせるのである。
だから、トンイも左捕盗庁従事官のソ・ヨンギも、王妃に罪がないことを分かっていて、証拠をある程度つかんでいても、それを公にすることが出来ず、より強い証拠を固め、時機を待つことしかできないのだ。それは王様であっても同じらしい。朝鮮王朝の王権というのはそんなに強くなかったのかな。
ともあれ、最初の罪は兄の罪ではあったが、ここで後戻りできなくなった張禧嬪はダークサイドに落ちることになる。自分は王妃に格上げになっても常にトンイを恐れ、廃妃を恐れ、解毒剤を飲んだ後に自ら服毒して、毒を盛られたかのようにふるまったりしたが、王様の愛情は戻ってこない。
逆にトンイは王様(粛宗)に見初められて、承恩尚宮になる。いわゆる王の愛人であるが、31話の段階では、形だけであり、粛宗がトンイに対して、あたふたと恋の告白をする場面が面白い。