サラリーマンが会社を辞める時にもらえる退職金である。私が入社した時代は、その額はともかく誰もが等しくもらえたものだが、現在は違う。厚生労働省の「就業条件総合調査」によると、退職金(大卒、就業20年以上)は1997年の2868万円をピークに、2002年2499万円、2007年2280万円、2012年1941万円と15年で約1000万円近く下がっている。さらに退職金制度がない会社も24.5%と全体の約4割もあり、その割合は年々増加しているのだそうだ。私が長く勤めていた会社を辞めた15年前でも、すでにかつてのように平等に退職金が支給される時代でなくなっていた。給料そのものに差がつき始めていた時代である。さて、多くの人は老後の資金に、この退職金を当てにしている。だが、退職金と言うのは思いのほかに早くなくなる。住宅ローン返済に使うことばかりではない。早くなくなり理由はこの退職金が退職時にもらうということだ。人間は収入の有る時代から無い時代へと変わるのだが、人間の習慣とか生活は、一気に変わることができない。収入のあった時代と同じような生活をしばらくしてしまうのだ。しかも、手元には退職金がある。こうして、当初に考えたいた以上のスピードで、この大金が消滅してしまうのである。(2018.11.07)