浄土真宗の開祖、親鸞聖人は、その死に当たって、こう遺言したと伝えられている。「某,閉眼せば、鴨川に入れて、魚にあたうべし。」孤独死という言葉がある。さみしげな死を想像させる。だが、人は生まれてきたときも一人だし、死ぬ時も一人なのである。それは何も、人間だけに限らない。大分県高崎山のニホンザルの群れで、長くボスの地位についていたベンツが昨年12月に姿を消し、公園担当者の必死の捜索にも拘わらず、その行くへは知れず、ついに1月17日に死亡宣告を受けたそうである。自然界の動物には、誰も知らない死に場所があるようで、象のような大型の動物でも、死が近づけば、死の谷と言われるおどろどろしい名前の不思議な場所に行って、それを迎えるとうわさされている。だから、昔から、多くの象牙ハンターがこの死の谷を見つけようと、原野をさまようのだが、まだ、見つかってはいない。つまり、親鸞聖人もそうだが、私たちの体はいつか自然に帰る。古代エジプト人のように、王の体をミイラ化しても、そこには王はいないのである。
Y-FP Office Japan
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