おせんにキャラメル

漫画家のいしいひさいち氏が１９８３年に出した四コママンガに、原発事故を扱ったものがある。これは氏が単に、「汚染が広がってから、慌てたって、おせんだよ。」というギャグと。もうひとつ、汚染に何が必要ですかと問われた専門家が「キャラメル」と答えて、その理由を聞かれて、「おせんにキャラメル。」というギャグを言いたかっただけの漫画なのだが、今回の原発事故後の、専門家の無力感を、そのままに予言しているような漫画である。２９年前、私はこのマンガを読んで、何も思わなかった。原発事故が本当に起こるとも思わなかった。けれど、何故、何も感じなかったのだろう。

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