ベートーヴェンに迫る
ドイツ・マンハイム州立音楽大学学長のルドルフ・マイスター氏から直接ピアノの指導を受ける「ピアノセミナー」が3月14日から20日まで魚沼市小出郷文化会館で開催され、15日にはマイスター氏の公開講座と演奏が一般の人たちにも公開された。
マイスター氏は、ハンブルグ、ウイーン、ニューヨークに学び、26歳で同大のピアノ科教授に抜擢、34歳で学長に就任。マスタークラスではドイツ、オーストリア、ポーランド、日本やニューヨークのジュリアード音楽学校で教えている。
96年から毎年同館で行われているこのレッスン。熱意ある指導を慕って中学1年生から60歳代までのピアノを専門に学ぶ人たち18人が県内外から集まった。
大ホールのステージ上で行われた公開講座と演奏には、受講者と一緒に一般の人たちも耳を傾けた。
まず、ベートーヴェンのピアノソナタ32を演奏し、講義に入ったマイスター氏。ベートーヴェンとモーツァルト、ハイドンとの関わりや作曲技法の違いなどについて語り「ベートーヴェンは一曲一曲全く雰囲気が違う曲を作り始めた最初の作曲家。曲を仕上げるのにとても時間がかかった」と述べた。
また、ベートーヴェンが生きた時代はピアノが発達する時代でもあり「モーツァルトやハイドンの時代のピアノはすべて木で出来ている軽いもの。弦も金属が使われておらず響も小さかった。19世紀の初めからピアノの発達はめざましく、構造を強くし金属の弦を用いるようになったことで演奏者は力強い演奏が出来るようになり、テクニックも変わってきた」と説明するなど、ベートーヴェンとピアノについて熱心に語り、会場を訪れた人は「普段は聴くことができない講義で興味深かった」と感想を話していた。
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受講生が学校訪問し演奏
マイスター氏のピアノセミナー
3月14日から20日まで魚沼市小出郷文化会館で開かれたドイツ・マンハイム州立音楽大学学長ルドルフ・マイスター「ピアノセミナー」の受講生が17日、入広瀬中学校と須原小学校を訪問、演奏を披露するとともにピアノや作曲家についてのトークを行って子どもたちと交流した。
今年で19回目を迎えたこのセミナー。今回から団体や有志による実行委員会が主催して行われており、受講生による学校訪問は初めての試みとして行われた。
今回の受講生18人の内、学校訪問には計11人の受講生が参加した。須原小学校での演奏には6人が訪れ、低学年と高学年の2回に分けて行われた。
同セミナーのスタッフでピアニストの稲岡千架さんが司会を務め、「皆さんが一生懸命聴いてくれることを楽しみにしています」というマイスター氏のメッセージをドイツ語と日本語で伝えるとともに演奏者や演奏曲を紹介しながらコンサートは進められた。
低学年のコンサートではドビュッシー、モーツァルト、ベートーヴェンの曲が披露され、演奏の合間には「ドビュッシーは100年くらい前の人で、パリに住んでいました」、「昔のピアノは膝でペダルを押すようになっていました」などの説明も行われた。
高学年のコンサートでは、演奏者がショパンやピアノへの想い、マイスター氏指導の素晴らしさなどを語りながらショパンの曲を3曲演奏。長い曲も演奏されたが児童たちは静かに演奏に耳を傾け、終了後には「聴いたことのない曲だったけど、とても良い曲だったのでまた聴いてみたい」、「ショパンが音楽で自分の経験などを表現していることを教えてもらい面白かった」と感想を話していた。