つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ 蛍を見に行きました

2024-06-08 13:25:51 | 楽しい仲間
蛍を見に行きました  2010.7.9

先生の講評・・・
 人、風景とも描写が的確。暮らしの中の美の点景。

毎月歩いている里山で
夏に蛍が飛ぶという所が何箇所かある。
「見てみたい、蛍の飛ぶところを」と皆が言う。
だが、夜の話なので中々実現しなかった。
5月、所沢の菩提樹池に行った時、又その話が出た。
落ち葉が沈んで、どんよりと茶色に濁った池は
いつも静まり返っている。
夕闇に飛ぶ蛍を想像した。
「見に来ますか?」リーダー格の大久保さんが言う。
「夜は一寸怖いけど来てみたい」話がまとまった。
6月の末、曇った蒸し暑い日、夜7時から8時、
雨が降ると飛ばない。
大体の日日を決めてその日を待った。
当日、天気予報では、夜半に雨が降ると聞いたが、
出掛けることにした。
西武球場前駅は、試合が無い日で、駅前はがらんとしている。
菩提樹池へ行くには、大きな墓地に沿った山道を通る。
お墓を見ながら歩くのは、余り気持ちのいいものではない。
空は黒い雲が流れている。
池に着いた。
風が出てきて、山の木々が大きく揺れている。
誰もいない山の中で、ざわざわと風の音を聞きながら
暗くなるのを待つ。
7時を大分過ぎてやっと暗くなった。
目を凝らしてジーと闇の中を見るが蛍の光は見えない。
首筋にブーンと蚊が寄ってくる。
ぬかるんだ山道をゆっくり歩いていると、
「いた」、たった一つのかすかな光りが見えた。
皆息をひそめた、低木の枝に止まっている。
「あっ飛んだ」「うぁーきれい」小さな声でささやく。
子供の頃見た蛍より、ほんとうに小さい光だ。
ジーと見ていると、2~3匹が同時に光る時がある。
思わず声が出る、暗闇の中で蛍と会話をしたような
気持ちがした。

予報どおり大粒の雨が降り出し、山道に流れた。
帰りは墓地の中の舗装された道を歩いたが、
蛍に出会えた幸運で、傘を傾けながらみんなの声が弾んだ




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