つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
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エッセイ 黒豆煮豆

2022-07-16 18:12:58 | 楽しい仲間



                                   先生の講評・・・黒豆の突飛な景品。伏線が聞いている。祖母と孫の心の交流だ。


                               黒豆煮豆 課題【夏・自由課題】2019.7.12   

               週一回配達される生協で、「黒豆煮豆」を買っている。
               お節の時に出てくる黒豆と似ている。
               小さなパックに入っているので四、五回で食べてしまう。
               真っ黒な豆、グラニュー糖で煮たのかすっきりとした甘さだ。
               ヨーグルトのトッピングにも良いらしいが、未だ試していない。
               おかずが淋しい時に出すようにしているが、甘党の夫がアッと思う間もなく摘まんでしまう。
               それが何時も不満だった。
                                長い間我慢をしていたが、ついに宣戦布告をした。
               「半分残してよ」
               「あっ、悪い」と言いながら箸を止めるが、又同じような事がある。
               「はい、三っつ食べたから、私も三っつ食べよう」と小さな豆を摘まむ。
               何時迄も争いが終わらないので、二つの小皿に分けて出す様にした。

               六歳の孫が泊まった夜、得意だと言うトランプの「ババ抜き」をした。
               勝ったらご褒美を出そうと言う夫に、「何? 何?」と、肩に手をかけて夫の顔を覗き込む。
               「お金は駄目よ」と私。夫の考えることは分っている。
               「お祖母ちゃんが駄目だって」。
               急にご褒美が、思い浮かばない。
               私が子供の時は、蜜柑や干し柿が賞品だった。
               私が「黒豆一つ」と言うと、息子も孫も怪訝な顔をする。
                       すごく美味しい、黒豆を一つ食べる」、夫もそれはいいと大賛成。
               冷蔵庫から黒豆を出して、小さなカットグラスに移す。
               何か分からないご褒美につられて、「よっしゃ―、お祖母ちゃん覚悟して」。
               息子と孫は何時もしているのか、大きな掛け声で燥ぎだす。
               孫は真剣になるが、最後の所で表情が顔に出る。
               夫は負けてやるが、私は真剣勝負。
               私と長男が、大仰に口に入れると悔しがる。
               何回かの後にやっと食べられたが、変な顔をしている。
               それでも勝負に勝ちたいと、興奮し盛り上がった。

               何日か後、「お祖母ちゃん、今度は絶対勝つからね」と、電話で言ってきた。
               「待っているよ、特別に美味しい黒豆を用意しておくからね」




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