エッセイ からすの赤ちゃん
カラスの赤ちゃんなぜ泣くのーと、愛のチャイムがなった、もう4時半、
夕方だ。
お米が無かったことに気が付いた。今からでも配達してくれるだろう
か。
古い付き合いのお米屋さんは、いつ閉めてもおかしくないような商売を
している。お店は古いパソコンと黄色くなったポスターが相変わらずの
状態だし、最近は週に3日しか営業をしていない。でも今日配達をして
もらわないと明日のお米も困る。
電話をすると、間もなく軽自動車が止まった。
おだやかな笑顔のお米屋さんは、律儀に領収書を書いてくれる。
「新米でも今年は福島のコメが入っていないので、いつもの産地ではな
いのです」とコメ事情を話してくれる。私はどこのコメでもお米屋さんが、
これがいいでしょうと言うのを買っている。
他市のお米屋さんに嫁いだ友人がいる。
「どう、お店の景気は」時々聞くことがある。
「だめよ、今はインターネット販売が中心、そのうち精米機が壊れたら閉
めるわ」と言う。
どこの店でもそんな状態なんだと改めて思う。精米したてのおいしいお
米は簡単に手に入らなくなるのかと心配になる。
我が家はご飯好きで、おいしいご飯が第一。それをおいしく食べられる
おかずになり、漬物や汁ものを添える。
ご飯の締めは、夫の高血圧予防にトマトがいいと言うのでトマトと緑茶に
なる。これで大抵「あー美味しかった」となる。
一週間に一度、配達される生協のものを使いまわして使い切るようにし
ている。
冷蔵庫を覘いて考える。豆腐と豚肉はもうそろそろと思う。
秋の日は早い、曇った空に冷たい風が吹いている。しばらくぶりに豚汁
と魚を焼こう。
愛のチャイムは夕方の目覚まし時計のようだ。
課題【赤ちゃん・こども】
先生の講評
テーマをどう絞り込むか、さらりとした頭脳プレー。