つつじの書・・

霧島つつじが好きです。
のんびりと過ごしています。
日々の暮らしを、少しずつ書いています。

エッセイ・コーヒー

2010-04-04 15:17:00 | エッセイ

エッセイ:コーヒー

渋谷は駅を中心に、すり鉢型の地形をしているので坂道が多い。
昔、勤めていた会社は、渋谷駅の南口、東急プラザというショッピングセンターの
横を通り抜け 、坂を登った所にあった。

この道は、途中急な曲がり角がある坂道で、気取っては歩けない道だった。
一時期ぽっくりのような、底の厚いサンダルが流行ったことがある。上り坂では、サ
ンダルは歩きにくい上に、横にこける事があり、友人は足首をくじいた。上るのも大
変だが、の高い靴を履いて下りてくる時は、何となくそっくり返った姿になる。

会社の帰り、友人達と話をしながら坂を下りてくると、何故か、立寄りたくなる喫茶
店があった。
東急プラザの横腹にある薬局が経営している喫茶店で、店の脇から入る地階にあ
った、確か「ディスカス」と言ったと思う。
急な階段を下りて店に入ると、地階特有の、ひんやりした空気とたばこの煙、そし
てコーヒーの匂いが、よどんだように漂っていた。

ここの支配人は、一寸変わっていた。
体格の良い女性だったが、髪を短く刈り上げて、ワイシャツに黒のベストにズボン
姿、一見すると男性のようだった。階段ですれ違う時など、「いらっしゃいませ」と
低い声で挨拶をするが、笑顔を見た事がない。
ボーイさんは、学生のアルバイトのような人が多く、よく顔ぶれが変わった。
席に着くと、たいてい、飲み物はコーヒーを頼んだが、時々はホットドッグかサンド
ウイッチを頼む。
常連のわがままで、ホットドッグにはからしを少なめにしてとか、レタスは入れない
でとか、サンドウイッチには、あれとこれとをと、いろいろな注文をする。
慣れないボーイさんの困った様子や、賑やかな席のやり取りを聞いていても、支配
人は余り口出しはしない。かすかにうなずいて、面倒な注文を受けてくれた。

そういえば、あんなに通ったのに、親しく話をした覚えがない、気軽に話しかけにく
い、何も聞いてくれるなと言う雰囲気の人だったと思い出した。

 課題:コーヒー・紅茶
    作中のディスカス繋がりで
国立喫茶店EAST SIDE」にお
  邪魔
しました。美味しいコーヒーとケーキを頂きながら、蓄音機から
  流れる
懐かしい音楽を聞かせていただきました。
    又、是非お邪魔したいお店です。

先生の講評
  
ロケーションの説明(冒頭部分)と支配人描写の関連は?
  
急プラザというショッピングセンターの横を通り抜け の部分は要らない。
  支配人の人物描写が鮮やかでよい、生き生きしている。
   

   

 

 

 

 

コメント (7)
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