高知発 NPO法人 土といのち

1977年7月に高知県でうまれた「高知土と生命(いのち)を守る会」を母体にした、45年の歴史をもつ共同購入の会です。

「たま寿司(玉寿司)」のこと 

2014-11-30 09:00:00 | 土といのちからのお知らせ
理事長 丸井一郎です。

★「たま寿司(玉寿司)」のこと ★ 食の多様性(高知編3)

豆腐のおから(卯の花)は、
土地によって「きらず」とも、「おたま」ともいいます。
値段と量目の塩梅(あんばい)から庶民の味方です。
高知には、おからに味をつけて、酢じめのウルメや
小アジ、キビナゴを乗せてなじませた「たま寿司」があります。
この名称は県の東部や中部に普通で、
西部の中村あたりではウルメを乗せた物を「六弥太」といいます。
さらに宿毛方面では、酢じめのキビナゴで小ぶりの玉を巻いて
「ほおかぶり」と称しています。
いずれも古くから愛好されてきたようです。 

県西部の「六弥太」ですが、
「おかべのろくやたきらずでこい」などとも囃(はや)すそうで、
何のことじゃと調べてみたら、これが面白い。
岡部六弥太忠澄は源頼朝に従って従軍し、
例の薩摩守平忠度(たいらのただのり)を、
一ノ谷の合戦で討ち取ったことで知られる関東の武者です。
無賃乗車のことを薩摩守というのは
この名を素材にした名作狂言から来たそうです。

平家物語でも有名な話しで、それがどうも
上の囃し言葉の下敷きになっているようです。
「きらず」(「切らず」に掛けてある)は上にあるように
「おから」で、「おかべ」も女房言葉で豆腐のことですから、
「岡部の六弥太切らずで来い」「豆腐のたま寿司おからで来い」
と首尾良く決まっています。決まりすぎでちと怖い。
高知の食と民俗に詳しい方に解明を乞いたいところです。
   
ほぼ同様の料理を、愛媛県東部中部では「いずみや」、
西南地方(南予という)では「まる寿司」といいます。
「泉屋」とは住友家の屋号で、
上方から新居浜方面へ伝わったという言い伝えのようです。
以前伊予の山間にある酒蔵を訪ねたときに、
空き腹にふなしぼり(槽搾り)の純米原酒を入れるのが
危なそうなので、底入れを探しに付近の店をのぞいたら、
これがありました。ただし小アジでした。
魚、おからともしっかり酢をすれば日持ちもいいようです。
まる寿司の別名「ほうかんむり」は
宿毛の「ほうかぶり」の親戚でしょうか。
 
高知県にはほかに「鯛の玉蒸し」
あるいは単に「(お)蒸し」があって、
これは大変なご馳走です。
塩をした丸ごとの鯛の中に、
各種の具を仕込んだおからを詰めて、
蒸し上げるというものです。
おからは日常のおかずから
晴れのご馳走まで活用されてきた伝統の食材です。
以前は配送品目にあったのですが、最近は見かけないようです。
是非復活させたいものです。
 

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