goo blog サービス終了のお知らせ 

トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

「秘境の駅」、JR坪尻駅に行ってきました!

2011年03月19日 | 日記
先日、普通列車で四国を半周したときに通ったのですが、そのとき十分見ることができなかったJR土讃線坪尻駅に行ってきました。

さて、坪尻駅の駅標と駅舎です。
  
駅名標には「徳島県三好郡池田町」と書かれていますが、平成の大合併により、現在は三好市池田町西山になっています。

JR土讃線の電化区間は高松駅から琴平駅までになっています。琴平駅で、電車からディーゼルカーに乗り継いで、さらに南下しました。単行のワンマンカーでした。

讃岐財田駅を過ぎるとどんどん標高が上がっていき、四国山地を越えるためのトンネルが続いています。坪尻駅のあたりも、25パーミル(1,000mで25m登る)の傾斜になっていました。

3つめの坪尻トンネルを出るとすぐ右に坪尻駅が見えました。
  
ディーゼルカーは、駅の前でスピードを落として本線をそのまま進み、やがて、本線の左の待避線に入って停車しました。次に、前方にいた運転士さんは、車両の後ろに移動して、待避線の前の信号が青になるのを待って、後ろ向きに列車を動かし始めました。列車は一度本線に戻り、次に写真の手前右の線に入っていきました。そして、坪尻駅のホーム前で停車しました。坪尻駅には、スイッチバックで入っていくのです。
この駅に停車しない列車は、本線を時速100kmで通過していきます。
 
坪尻駅は周囲を山で囲まれていて、しかも、車が入っていくことができる道もありません。坪尻駅に行くには、歩いていくしか方法がないのです。舗装などの整備がなされていない道は、下手をすると崖から滑り落ちてしまうような危険なところです。谷は深く、水が滝になって落ちている音が聞こえています。おまけに、「まむし」に出会うこともあるそうです。
  
日本で7番目の「秘境の駅」なのだそうです。駅から、山あいの高所を走る国道(右の写真参照)に出て行くためには、本線の踏切を渡って、上の左の写真のような道を歩いていかなければなりません。

坪尻駅着9時51分。下車したのは、私も含めて4人でした。4人ともこの駅を訪ねてきた旅行者で、地元の人はおられませんでした。
   
駅のホームでは、「おつかれさまでした」と、手書きの垂れ幕が迎えてくれました。視線を下げると、野の花が生けられていることに気がつきました。その下の引き戸を開けて待合室に入ると、無人駅とは思えないような美しい光景が広がっています。ゴミ一つない清潔で明るい雰囲気に驚きました。
    
整然と貼られたポスター、手作りの駅スタンプに旅のノート、そして、「鉄子の旅」などの図書も並んでいました。そのうち、「霧の土讃線」のポスターは、「土讃線還暦記念曲」のもので、JR土讃線の各駅に掲示されていたものでした。
    
広くはない待合室ですが、隅には掃除用具が置いてあって、掃除や整理整頓をして、駅を守る人たちがおられることを教えてくれていました。3メートルほど進むと、裏口の引き戸にぶつかってしまうような狭い待合室を出ると、また驚く光景にぶつかります。「坪尻駅還暦記念の植樹」と「アメリカオレゴン州からの訪問団の植樹」。 先ほど、「まむし」に出会うこともあると書きましたが、駅の前に、手作りの「マムシ注意」の標識がありました。

これらは、すべて、地元西山地区の町づくり団体「おおぞら会」の人々のご尽力のたまものです。
  
去年(2010年)、「おおぞら会」の方が置かれていたスタンプが、行方不明になったことがありました。2ヶ月後、1,300km離れた青森県のJR津軽線の中沢駅で発見されて帰ってきました。しかし、その時一緒になくなっていた駅ノートは、結局帰ってこなかったようです。

荒れ果てていくことが多い無人駅ですが、この「秘境の駅」は、思い入れのある人々によって、しっかりと守られていました。
 
私がこの駅の近くをぶらぶらしている間に、上りと下りの2本の特急列車が通過していきました。

ところで、この駅をいったい何人の人が利用しているのでしょうか。「探偵、ナイトスクープ」では、かつて1日の乗降客4名としていました。「なにこれ珍百景」では「1人しか利用しない駅」と紹介されていたそうです。駅にあった「おおぞら会」の方が書かれた説明によると、現在、この駅を利用している地元の方は、開(ひらき)清さんとおっしゃる方、お一人なのだそうです。この駅は、開さんのためにあるといっていいかもしれませんね。

10時53分、来るときに乗った列車が、折り返し琴平行きになって帰ってきました。今回は、本線から直接駅に入ってきました。
1人が降りて、4人の旅行者がみんな乗り込みました。
 
入ってきた時と同じように、スイッチバックで、右下の線路から中央の本線を通って、左の待避線に入っていきました。そして、そこから再び手前の本線に入り、その先の坪尻トンネルに向かって進んでいきました。

還暦を過ぎた坪尻駅、これから何年現役であり続けるのでしょうか。地元の人の利用は増えていくのでしょうか。おおぞら会の人たちは・・・・。いつまでも、大事に守ってくれる人がおられる駅として、使われ続けてほしいと願ったものでした。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
楽しませてもらいました (イデイ)
2014-02-27 09:22:21
トシさんの旅にちょっと感化されはじめて青春18キップを購入しました。このブログで興味をもった四国の秘境の駅めぐりや大相撲大阪場所観戦などに使おうと思っています。今、JR時刻表を見ながら計画を楽しんでいます。この”坪尻駅”のページも再び見ました。地元の方にしっかり守られている無人駅・手づくりの駅、訪れるのが楽しみでわくわくしています。
返信する
Unknown (Unknown)
2014-04-13 04:27:40
”新改駅”ブログへのコメントで書かせてもらいましたが、4月7日、四国秘境3駅を巡りました。坪尻駅は通過しただけですが、他列車の通過待ちで停車時間が10分以上ありました。通過待ちだと安心して列車外へ出られます。つつじがきれいでした。駅舎内も見られ、スタンプも押しました。ノートまでは読めませんでしたが、裏にまわって付近の様子も少し覗えました。”トシの旅”に書かれていたことを少し確認できました。でも、さらによかったことがありました。列車が到着したときに、私よりは明らか?に年配の男性がホームで尻餅をついて待っておられました。列車が再出発し、その方が近くにおられたので声をかけてみました。すごく感じよく応対してくれました。その方は”この駅近くに住んでおられる、週1~2回は必ず坪尻駅の掃除にこられる、駅を訪れた人に持ち帰ってもらうために周辺の風景を写真に撮り印刷して置いておく、とのことでした。カバンから写真のファイルを出して熱心に説明をしてくださいました。(今”トシの旅”を見ながら、駅舎内のノートの左隣りに写っているものかな?) 私も”トシの旅”の”この「秘境の駅」は、思い入れのある人々によって、しっかりと守られていて・・・”を見て、この駅に興味をもったことを伝えました。その方は「今日はここ(箸蔵駅)に車を置いて居るので・・」と言って下車されました。1区間だけでしたが、すごく楽しいひとときでした。

コメントにしては長すぎたかな? ごめんなさい。
返信する
楽しませてもらっています (イデイ)
2014-04-13 04:33:46
前のコメントに、名前・タイトルを書き忘れて投稿してしまいました。同一人です。
返信する

コメントを投稿