トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

うだつのある町 徳島県脇町と貞光町

2011年03月14日 | 日記
徳島県を流れる四国三郎、吉野川をはさんで、うだつの町並みで知られる2つの町があります。脇町(現、美馬市)と貞光町(現つるぎ町)です。どちらも、徳島県の西北部にあり、いずれも徳島名産の藍や葉たばこの生産で、巨万の富を築いた商人の町です。

うだつは、屋根にくっついており、もともとは防火のためにつくられたものでした。やがて、それは「うだつがあがる」という言葉のように、富を蓄えた人たちの象徴として、競ってつくられていきました。
  
脇町は、JR穴吹駅から北に吉野川をこえて、歩いて30分ぐらいのところにあります。整備された商家群が、400メートルにわたって整然と並ぶ様子は壮観でした。
  
白漆喰の壁にうだつ、虫籠窓、格子戸のついた商家が並んでいました。私が訪ねた日は小雨の中でしたが、天気のいい日には、
青い空とのコントラストがすばらしいだろうなと思ったものでした。お話をお聞きすると、たそがれ時には、うだつの町並みを照明で浮き上がらせていて幻想的な光景が見られるそうです。
   
脇町は、藍の取引で栄えた商人の町でした。藍をそめた甕も残っています。安政3年創業といわれる野崎呉服店。様々な藍製品が並んでいます。 今もおみやげは、やはり藍製品です。

うだつの町並みを抜けて、町の東を流れる大谷川をわたると、色あざやかなステンドグラスで飾られた、洋風の建物が目に入ってきます。脇町劇場と書かれたこの建物は、昭和9年の建築。それから今日まで、ずっとこの町を見守ってきました。築75年を超えて今も現役です。中央に「オデオン座」と書かれているのは、平成9年の山田洋次監督の映画「虹をつかむ男」の、「オデオン座」として、脚光を浴びたからとか、それがきっかけで、取り壊しが計画されていたのが、改修保存されることになったとか。
いまでも、不定期ではありすが、イベント等に使われているようです。

一方、貞光町は、JR貞光駅の南側を中心とした地域にあります。貞光駅から歩いて10分ぐらいの一宇街道沿いに、うだつの民家が残っています。ここは、葉たばこの生産で財を為した商人が住んだ町です。
    
貞光のうだつは、「二層うだつ」といわれ、うだつが二重になっているのが特色です。祖谷方面への道を示す道しるべがある辺りまでが、二重うだつの民家が並んでいるところです。調べた方の話では、うだつのある民家49軒のうち17軒が、二重うだつだということです。
  
うだつの正面部分には、絵(こて絵)が施されているものも、いくつかありました。なかなか見事なものでした。
 
また、街道につながる路地には「祇園小路」などの名前がついていて、これもなかなか趣がありました。
  
うだつの町並みの真ん中あたりに、元庄屋屋敷の永井家住宅が、整備されて残っていました。茅葺きで間口の広い、堂々とした建物で、明治以降の当主は、医師として活躍されていたそうです。屋敷内部は公開されていました。この屋敷に入っていく入り口には「町並み交流館」として、各種イベントに使われる白壁づくりの建物が建てられています。
 
貞光小学校という案内に沿って登っていくと、周囲の2方をお墓に囲まれるようにして、小学校がありました。夜間のイベントで、肝だめしをやるのに便利なのかなあ!? でも3階建ての立派な校舎でした。表にまわると、なぜか校内にポストが置いてありましたが、塗装もはげて気の毒なぐらいでした。記録用に写真を撮っていたら、地元の方が笑いながら見ておられました。
  
道しるべを少し上がると、どっしりとした長屋風の建物がありました。近くのお宅の方が「これ、十軒あるんですよ。だから地元の人は十軒長屋と呼んでるんですよね。」と教えてくださいました。長屋というには惜しいような立派な本瓦葺きの屋根が、
途中で何カ所か波打っていて、歴史の重みも感じさせられました。

訪ねて来られた地元の方が、「このお宅には誰もおられないのですか?何回来てもお留守なので」と、私に尋ねられたのも、また楽しいことでした。

駅に向かう途中の洋風の民家の屋根の上では、鬼が私を見張っていました。

二つの町は、どちらも商店街が美しく整備されていて、うだつのある町にふさわしい豊かな印象を受けました。
四国山地のふもと、どちらかといえば徳島県の周辺部ですが、先人の文化遺産を大切に守っている、きらりと光る素敵な町でした。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
貞光出身者 (G3(じーさん))
2011-03-16 12:46:33
はじめまして。
貞光町には「貞光劇場」があります。
今も現役の映画小屋です。
昔、ここで山田洋次監督の「学校」が封切りされました。

https://picasaweb.google.com/107230847015528474457/AuOEgD?feat=directlink
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コメントありがとうございます (tositaro191919)
2011-03-22 19:31:36
コメントありがとうございます
貞光のご出身とか、貞光劇場は、見落としてしまいました。残念でした。お話をお聞きして、貞光と脇町はほんとによく似ている町だと、改めて思いました。ありがとうございました。
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