南海電鉄高野線の紀伊細川駅です。この駅は、牛山隆信氏が主宰されている秘境駅ランキングの147位にランクインしている秘境駅です。橋本駅から50パーミル(‰)の急勾配を、曲線半径100m以下という急カーブで上った山間にあります。今回は、前回訪ねた紀伊神谷駅(「南海電鉄の秘境駅(1)紀伊神谷駅」2019年8月27日の日記)に引き続き、南海電鉄高野線にある秘境駅、紀伊細川駅を訪ねることにしました。
橋本駅で乗車した2000系4両編成の電車は、行き違いのためのやや長い停車時間も含めて35分ぐらいで、”秘境駅” 紀伊細川駅に着きました。このとき下車したのは私一人でした。車体長17m・2扉車の乗車してきた電車は、構内踏切を通過して、次の紀伊神谷駅に向かって出発して行きました。
紀伊細川駅のホームからの橋本駅方面です。大きくカーブした、行き違いのできる2面2線の相対式ホームが見えます。到着したホームの上屋と駅名標以外には何も設置されていないシンプルな駅になっています。
上屋の先にあった駅名標です。「こうや花鉄道プロジェクト」の一環で作成された洒落たデザインです。紀伊細川駅は、標高363m。標高92mの橋本駅から260mほど上って来ました。電車は、この先標高535mの終着駅である極楽橋駅まで、さらに、275m上っていくことになります。紀伊細川駅は、橋本駅側の上古沢(かみこさわ)駅から3.0km、次の紀伊神谷駅まで2.4kmのところ、和歌山県伊都郡高野町細川にあります。
ホームの端から見た橋本駅側です。通り抜けてきた入谷トンネル(11番の番号が見えます)と時速33kmの制限速度表示、左側に引き込み線の車止めが見えます。南海電鉄高野線は、高野下駅を過ぎてからのトンネルには番号が振られています。入谷トンネルは11番目のトンネルになります。多くが100m台のトンネルですが、399mの椎出(しいで)トンネルが高野線の最長トンネルとされています。椎出トンネルは、高野下駅の橋本駅寄りにあるトンネルです。どのトンネルも50パーミルの急勾配に設けられているそうです。
構内踏切に、向かって引き返します。対面する狭いホームの裏に、駅舎の白い建物がありました。紀伊細川駅周辺は静かです。山深いところにある駅だと感じさせてくれます。
ホームの上屋まで戻って来ました。構内踏切を渡って駅舎に向かいます。紀伊細川駅は、昭和3(1928)年6月18日、高野山電気鉄道が高野下駅・神谷駅(現・紀伊神谷駅)間を開業させたときに、「細川駅」として開業しました。現在の「紀伊細川駅」に改称されたのは、昭和5(1930)年のことでした。そして、戦後の昭和22(1947)年には、南海電鉄の駅となりました。
構内踏切からの紀伊神谷駅方面です。本線に戻った高野線の線路は左に大きくカーブしています。
構内踏切から駅舎側のホームに上がります。ホームの向こうの通路を通れば、駅舎の自動改札機の前まで行くことができます。
これは、極楽橋行きの電車が停車するホームから撮影したものです。ホームから平屋建ての駅舎に行く階段のあたりのようすです。橋本駅方面行きのホームも、駅名標以外は何も設置されていないシンプルなつくりでした。
ホームから降りて駅舎の橋本駅側にあった駅事務所です。紀伊細川駅の一日平均乗降人員は21人(2017年)だそうです。これは南海電鉄の百駅中の98位に当たります。前回訪ねた紀伊神谷駅(100位)と上古沢(かみこさわ)駅(99位)に次ぐ3番目の少なさだそうです。でも、無人駅ではありません。業務委託駅になっており、駅事務所には電灯が灯り、駅スタッフの方が勤務についておられます。
自動改札機を抜けて駅舎内に入りました。緑の庭園の中に、駅舎からホームに上がる階段が見えます。
紀伊細川駅の駅舎は、昭和3(1928)年の開業時に建設されたもののようです。これは待合室の内部で、2間四方の広さでした。駅舎への出入口付近から撮影しました。正面に時計、時刻表、運賃表と出札窓口が見えます。左側に見える造りつけのベンチや出札窓口は、少年時代の駅を思い出させるつくりになっています。ただ、乗車券の販売はなされておらず、「乗車駅証明書」で乗車し、下車駅で精算するシステムになっています。
駅舎からホームへの出入口に掲示されていた経済産業省の「近代化産業遺産」の認定書です。平成21(2009)年、紀伊細川駅は、紀伊清水駅、学文路駅、久度山駅、高野下駅、下古沢駅、上古沢駅、紀伊神谷駅、極楽橋駅、鋼索線の高野山駅の9駅、紀ノ川橋梁、丹生川橋梁の2つの橋梁、鋼索線と共に、近代化産業遺産に認定されました。
平成16(2004)年、「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されました。紀伊山地にある吉野、大峰、熊野三山とともに、「高野山石道と金剛峯寺境内」も登録されました。高野山への参道である「町石道(ちょういしみち)」を通るハイキングコースの案内が窓に掲示してありました。紀伊細川駅から矢立を経由して高野山に向かう「高野山町石道」の短縮モデルコース(約9.9km)としてハイキングをする人が増えているとのことです。
南海電鉄では、世界遺産高野山への旅を魅力あるものにすることを目標に、「こうや花鉄道プロジェクト」と名付けた企画を推進しています。
すごい急勾配です。
コンクリート階段が終わるとさらに細い未整備の道になりました。さらに道は集落に向けて下っていきます。
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