トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

茅葺き民家の里 八塔寺に行ってきました

2010年10月10日 | 日記
白川郷、大内宿、京都府の美山が、旅行業界では「日本三大茅葺きの里」といわれていますが、
岡山県の備前市吉永町にも、茅葺きの里で知られる「ふるさと村」があります

備前の国の最高峰といってもいい八塔寺山(標高538m)のふもとにある
「八塔寺ふるさと村」がそれです

家人が、たびたび「行きたい」といっておりましたので、一緒に行ってきました
 
私の方は、かつて、仏教の大伽藍があった頃をしのび、今も残る寺院を訪ねることと
「国際交流ヴィラ」(右の写真)の建物を見るのが、とりあえずの目標でした


村の入り口に車を置いて、つづらおりの道を、家人とともに歩いて登りました
一部、すでに稲刈りが終わっていましたが、太陽の光を受けた農村風景は大変美しく、
家人は、民家や植物、人の姿の撮影に没頭していました
 

次の写真の、茅葺きの民家の一番右にある背の高い建物は、
かつて、たばこの葉を乾燥させていたところです
吉備高原の村では、今でもよく見られる建物です 

道路の脇に、梅の木につるを巻き付けた、かんぴょうの実がぶら下がっていました
少年の頃、夏になると、この皮を取って、身の部分をリンゴをむくようにむいて、
乾燥させていたのを思い出しました

この地の唯一の金融機関である、赤い屋根の郵便局を過ぎると、
3つの建物が並んだ、おなじみの景色が見えてきました

右の、一番高いところにあるのが、この地区の名前のもとになった照鏡山八塔寺、
屋根が青く見えるのが銅板葺きの恵日山高顕寺、
そして、赤い屋根の民宿高顕寺の3寺院が並んで見えます
高顕寺と民宿は回廊でつながっていました

これは、地元のローカル紙が八塔寺地区を取り上げた時に、
必ずといっていいぐらい出てきていた、八塔寺を代表する光景です
 
あぜ道に赤く見える部分は、彼岸花が咲いているところです 
まだまだ、たくさんの花をつけていました

「八塔寺ふるさと村」のシンボル、八塔寺、この寺は無住の寺でした
岡山藩主、池田光政が寄進した銅鐘をもつ由緒ある寺院ですが、
いちょうの木は伸び放題、庫裏のカーテンは破れが目立つ状態、ほんとに寂しいことでした
境内には、かえでの木もあって、紅葉が美しくなるだろうなと思いました

この地区は、神亀5(728)年、聖武天皇の勅願で創建されたといわれます
さらに、源頼朝が梶原景時に命じて復興させ、「8院、64坊、72寺」といわれる
大伽藍が完成し、最盛期を迎えます

また、戦国時代の度重なる戦乱、動乱で衰退したときには、
豊臣秀吉や岡山藩主、池田光政が復興させました
それぞれの時代の権力者の庇護を受けていましたが、
江戸時代から明治時代にかけて、寺の火災が相次ぎ衰えていったということです

高いところにあるため、いちょうの木の下からの眺めは最高で、
すぐ下の茅葺き民家や民俗資料館が、実った稲穂に調和して実にきれいでした


いつの間にか、家人がいなくなりました
トイレを探したり、稲やそばの花の写真を撮りにいったのでしょう

もう一つの高顕寺は、檀家の方と住職とが話しておられたり、
掃除も建物の手入れも行き届き、感じのいいお寺という印象でした 
花崗岩でつくられた参道は白く輝いていましたし、
また、参道の入り口に置かれていたかえるの像も愛嬌たっぷりでした

民俗資料館は、からすおどしのついた形でつくられていました
また、資料館の中には羅漢像が残っていました
表情豊かで見入ってしまいましたが、気に入ったのがこのニ体の羅漢さんでした

資料館で、特に興味深かったのはトイレ
ドアを開けて入る個室にあった、木材でつくられたきんかくしと、
外につくられた男性用の小用便器が復元されていました
用を足したあとの液体は、個室の下の便槽の中に入るようにつくられていました

いつの間にか、合流した家人も笑っていました


八塔寺で食事ができるところは二カ所、鴨肉の料理がメインの「レストラン望ヶ丘」
もう一つは、少し戻ったところにある八塔寺ふるさと館です こちらは、そばとピザが食べられます

家人の意見に従い、ふるさと館の方に向かいました
 
ふるさと館の隣には、「ふるさと直売所」があり、
地元の人がつくった野菜や、竹を材料にした工芸品などが安く売られていました


茅葺きの民家が残っていましたが、崩れるまま放置されたところや、
人の住んでいないところもあり、
この先、八塔寺はどうなっていくのだろうかと考えさせられました

しかし、この農村型のふるさと村では、幼い頃の生活を思い出させてもらったり、
美しい景色にいやされたり・・・気持ちよく過ごすことができました

ふるさと館や直売所には、たくさんの人が訪れていて、なかなかの盛況でした

秋の一日、気持ちのいい汗をかくことができたことに感謝しながら、
山を下り自宅に向かいました



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