トシの旅

小さな旅で学んだことや感じたことを、
まとめるつもりで綴っています。

大雪の日の立山・黒部アルペンルート

2013年04月29日 | 日記

4月のある日、立山・黒部アルペンルートの旅に出かけました。写真は、扇沢駅に貼ってあったポスターですが、その右側、壁に囲まれた雪の道、「雪の大谷」を歩くのが一番の目的でした。その日の早朝、宿泊していたホテルを出発し、6時40分後頃、立山黒部アルペンルートの長野県側の入口、扇沢駅に降り立ちました。ただ、天気予報は大雪が降る悪天候とのことでしたので、雪の大谷が歩ければいいなあと祈るような気持ちでおりました。

立山・黒部アルペンルートの長野県側のスタート地点、扇沢駅です。ここに着いたとき、かなりの雪が降り積もっていました。さて、立山・黒部アルペンルートは、扇沢からトロリーバスで黒部ダムへ向かい、黒部湖駅から黒部平駅へ。さらに立山ロープウエーを乗り継ぎ、大観峰。アルペンルートの最高地点の室堂に登ります。そして、富山県側の立山駅まで、6つの交通機関を乗り継いでいきます。めざす「雪の大谷」は、室堂から美女平に向かう高原バスのルート上にあります

扇沢駅にあったライブカメラの映像です。黒部ダムは雪のためかすんで見えていました。案内では、標高1,454mにある黒部ダムは1.3度。他のモニターでは、標高2,316mの大観峰が零下1.5度、2,450mの室堂は、零下3.9度でした。さすが、立山連峰です。

私たちが乗るトロリーバスは、7時30分発でした。トロリーバスは、パンタグラフから電力を取り込んで走るバスですが、正確には「無軌条電車」といい、「電車」に分類されています。現在、我が国でトロリーバスが走っているのは、これから走る関電トンネルと、大観峰から室堂に向かう立山トンネルの2カ所だけだそうです。排気ガスが出ない、環境に優しい乗物です。

関電トンネルを走るトロリーバスに乗り込みます。昭和39(1964)年の開業で、開業50周年のマークが車体に塗装されていました。現在のトロリーバスは、平成24(2012)年に更新した新しい車輌で、3代目にあたるそうです。「くろよんダム」で知られる「黒部川第四発電所」の建設で最初に完成した関電トンネル(当時は「大町トンネル」と呼ばれました)を進んでいきます。対向車を避ける設備は中央部にあり、そこで対向してきたトロリーバスと行き違いをしました。

トロリーバスの終点、黒部ダム駅に着きました。関電トンネルの6.1kmを、16分かけて走りました。ここは、標高1,470m。地下トンネルの中に駅がありました。

駅の通路にあった案内図です。「現在地」から60段の階段を下って、地上に出て手前に進み、中央の堰堤を右に向かって歩き突き当たりを左折してトンネルの中に入って黒部湖駅まで歩きました。なお、展望台へは、「現在地」から左に向かい220段の階段を上がっていくことになります。外は何も見えないと思ったのでしょう、ほとんどの方は階段を下っていきました。

進行方向右側の放水口の写真です。左側が”くろよんダム”。貯水した水の圧力を両岸の山で受け止めるために、アーチ形のダムを設けることにしたということです。

雪は降り続いていました。みんな黙々と前に進みます。周囲はほとんど見えません。

堰堤にあった案内です。堰堤の高さは、186m。「松本城天守閣の6倍の高さ」だそうです。幅8,1m、長さ492mとあります。

振り返ると、左の高いところに展望台が見えます。黒部ダム駅から220段の階段を昇った所にある展望台です。

黒部ケーブルカーの黒部湖駅に入ります。標高1,455m。ここまで15分ぐらいかかりました。

ケーブルカーに乗るまでの間、駅員さんの説明がありました。扇沢駅でもありましたが、軽妙な話術で写真集のPRをしておられました。なかなか楽しいお話しで退屈しないで待つことができました。構内の案内では、大谷ウオークはできそうでした。少し安心しました。

折り返して黒部平駅に向かうケーブルカーが入っていました。昭和44(1969)年に運行を開始しました。

自然景観を保護し、雪の害を防止するため、日本で唯一の全線地下を走るケーブルカーでした。一番前の席から撮りました。

定員の130名のケーブルカーの内部です。車内もかなりの急傾斜になっています。最大勾配は31度だそうです。

黒部平駅まで5分かかりました。黒部平は、標高1,828m。黒部湖駅からの標高差、約400m。距離は0.8kmだったようです。中央に行き違いの設備がありました。ここは、後立山連峰と立山連峰の間に立っています。

続いて、大観峰行の立山ロープウエーに乗り換えます。平成24(2012)年から新車に変わっているようです。これもいっぱいの乗客。ロープウエーは大観峰までの標高差500mを一気に登ります。しかし、周囲は人、また人。まったく景色が見えません。窓際に立つ人に尋ねても「何も見えない」とのことでした。景観維持のため、支柱がまったくない構造になっています。

7分で大観峰駅に着きました。距離は1.7kmだったそうです。

標高2,316m。立山連峰の東側の岸壁に張り付いたように駅がつくられています。

駅の屋上のある屋上展望台に行きました。階段を登るとき息が切れるような感じがします。2,000mを越えていることを痛感しました。しかし、見えるのは白い雪ばかり。「目の前に、長野県と富山県の県境にある後立山連峰と黒部湖の景観が見える」と、ガイドブックには書かれていましたが・・・。ほとんど何にも見えません。

降りてきてがっくり。大谷ウオークは「見合わせ」になっていました。ここは、この建物から外に出ることができません。

人の流れに押されるように、次の立山トンネル、トロリーバスの乗り場に進みます。アルペンルートの最高地点、標高2,450mの室堂に向かいます。日本で最も高い所を走るトロリーバスです。
立山トロリーバスは、立山連峰の雄山の真下を貫通しています。昭和46(1971)年運行開始、平成8(1996)年からトロリー化されました。

中間地点の200m手前(大観峰寄りの地点)が破砕帯で、青いLEDの照明になっていました。破砕帯では地下水や土砂が吹き出して難工事になりました。水抜きトンネルをつくったりボーリングを行なったり、あらゆる知識と経験を結集して突破したところです。

破砕帯の約200m先で、行き違いのトロリーバスが来るまでしばらく待ち合わせをしました。ここは立山山頂の雄山の直下700mのところにあります。トロリーバスで5分(3.7km)で室堂に着きます。

室堂に着きました。トロリーバスの運転手さんになるにはどんな資格がいるのでしょうか。乗客のお世話が終った運転手さんにお伺いしました。「車の大型2種免許と無軌条電車運転免許が必要」なのだそうです。

標高2,450m。アルペンルートの最高地点です。いよいよ大谷ウオーク。期待でいっぱいです。

駅の下の室堂高原の碑です。その先では、道路の雪かきをしてくださっていました。

振り返って見た、立山駅。隣は、”立山ホテル”。 立山を代表するホテルです。

残念ながら、結局、大谷ウオークはできませんでした。高原バスで美女平まで行くことになりました。

仕方がないので、せめて写真だけでも・・。高原バスの一番後ろの座席から、雪の大谷の写真を撮ることにしました。雪の大谷に入りました。

この日は18mぐらいの雪の壁ができているでした。

雪がひっきりなしに降っていて、窓に雪の水滴がついて外が見づらいです。

美女平は、標高977m。標高差にして1,500mほど下りました。ここまで、23kmの距離を50分ほどかけて降りてきました。美女平ケーブルカー乗り場からホームに向かいます。

立山ケーブルカーが上がってきました。いっぱいの乗客でした。

立山ケーブルカーの先頭部分に乗りました。運転席がありましたが、乗務員は乗っておられませんでした。

よく見ると、ケーブルカーの前に貨車がくっついていました。立山駅でわかったのですが、スキー板が乗せてありました。雪はまだ降り続けていて、窓には水滴がついていました。

ケーブルカーから見た立山駅周辺です。なぜか雪景色がきれいに見えました。

立山駅に着きました。標高475m。美女平が977mだったので、標高差500mを7分(1.7km)で下ったことになります。ケーブルカーの貨車の前に、もう一つ運転席が着いていました。

階段をさらに下って進むと、富山地鉄の駅の改札口に着きました。列車が休んでいました。ここから富山地鉄富山駅までを、約60分でつないでいます。

山小屋風の立山駅。立山・黒部アルペンルートの富山県側の入口にあたります。長野県側の扇沢からトロリーバスで出発したのが7時30分でした。それから6時間近くをかけて、ここまでやってきました。

期待していた大谷ウオークは、大雪のため見合わせとなり、途中も積雪のため、ほとんど景色も見られませんでしたが、バラエティに富んだ交通機関を乗り継いだアルペンルートの旅は、結構楽しいものでした。機会があれば、もう一度大谷ウオークに挑戦したいものです。