風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

無重力

2005年09月05日 | 
台風直撃しそうですね。
自然界が地球の浄化を始めているように思えるんですが、どうなんでしょう。
ここ一月くらいの間に、ヨーロッパ、アジア、アメリカで洪水が続いています。
地球を汚しまくっているのは人間なわけで、人間の一員であるぼくは自分の無力さを感じるだけです。
明後日、滝に行こうと思っています。
台風後の、怒涛のような滝に打たれ、何かを感じてこようかと思っています。

で、何かを書く気になれないので、詩です。


歩き疲れて見上げると、ちぎれ雲が秋の風に流れている。
あたりにはススキが揺れ、虫の音が聞こえる。
知らない道を、誰にも会わず、ここまで来た。
遠く、道の向こうには青くかすんだ山稜。

そこが目的地なのだと、木漏れ日みたいな喜びが胸に広がる。
そこへ何をしに行くのかは忘れてしまった。
ここから先は、誰に会うということもない。
知らない道をただ歩いていけばいい。

しだいに日も暮れ、尾根の向こうの空が茜色に染まる。
いよいよ虫も鳴きつのる。
風もいつしか冷たくなり、長袖のネルシャツがあればなぁと、ふと思う。
水筒も、サンドイッチも、何一つ持ち物はない。

どこから来て、どこへ向かっていたのかも思い出せなくなる。
山並みが、黒々と目の前に迫る。
あそこへたどり着く前に、深い森を抜けていくのだろう。
深い森の中で、私は私という殻を、脱ぎ捨てる。

私から、ぱさりと落ちた私という殻は、森の中の動物やら昆虫やらが食べつくす。
そこで、重力から解放された殻なしの私は、森の中の松脂のにおいのする闇の中を全速力で飛び抜ける。
調子に乗った私は、ごつごつした青黒い山肌をかすめ上り、星空へ飛び立つ。
懐かしさで胸を一杯にしながら、私は速度を上げる。