とりあえず自転車で川まで行って、西の空を見ました。
惚れ惚れするようなウロコ雲が、遠くに見える山を基点に、町全体を覆うように扇形に広がっていました。
大陸ではよく見ることができるような、高層にあるウロコ雲が、銀色に輝いています。
この辺りで見るのは珍しいでしょう。
しばらく見とれていました。
川向こうにある城の上空をトンビが4~50羽集まって、旋回しています。
見ていると、その群れは旋回しながら上空へ上空へと上って行きます。
はるか上空まで上っても、旋回を続けています。
獲物を探しているというふうには見えず、なにかの儀式をしているように見えました。
ふと、ネイティヴ・アメリカンの舞踏というのは、こういう光景を見てインスパイアされたものではないかと思いました。
ワシの羽飾りをたくさんつけて、旋回するようにステップを踏む踊りです。
旋回とか、渦とか、円とか、螺旋とかは古代から世界各地で生命のシンボルとして使われていたみたいです。
DNAも螺旋状の形態をしていますし、巻貝なんかも見事に幾何学的な螺旋を描いています。
蛇もその形状からか、生命力からか知りませんが、神聖なパワーを持つものとして崇められていたみたいです。
どういうわけか、今ではすっかり嫌われてしまっていますけれども。
そういえば、アメリカのどこかの国立公園で、国鳥とされる白頭ワシを見たことがあります。
切り立った岩頭の上に翼を休めて、回りを睥睨していました。
周囲は空と森と峻厳な岩です。
数百メートルは離れていたでしょうが、その高貴な存在感はさすがでした。
丹頂鶴も求愛のダンスを踊りますが、意外と鳥というのはそういう儀式的なことをする生き物なのかもしれません。
何十羽と集まり、空高く旋回して上っていくのが儀式だったとすれば、なんというか、かっこいいですね。