風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

夢の行くへ2

2017年04月07日 | ストーリー

マンションに帰りつき、ソファに座った。リサイクルストアで買ったいい感じに擦り切れた焦げ茶色の革張りのソファだ。
飲み足りない感じがして、九州に出張に行った旧い友人に送ってもらった薩摩の焼酎の封を切り、グラスに注いで氷を浮かべた。
電車の中でも、駅を降りてマンションに帰る道すがらでも、彼女の不可解な行動をいくら考えても答えは見つからなかった。
この世は腹が減ったら飯を食うだけではすまないのだ。たぶん。
彼女の携帯電話に電話してみようとも思ったが無駄な気がしてやめた。

彼女と知り合ったのは10数年前だ。
学生時代の友人から子供が生まれたという連絡があり、そのお祝いに彼の新居に向かった。
新居は東京の西の端のベットタウンの新築だった。玄関を入るなり、新築の建物特有の匂いがした。
誇らしげな笑みを浮かべる友人に招かれ、広めのリビングルームに招かれると、その場に彼女がいた。
友人の奥さんの手料理を手際よくテーブルに並べていた。
友人の奥さんの高校時代の親友だと友人の奥さんから紹介された。
「はじめまして、植村里美と申します」
「田中健一です、はじめまして」
ヨガの講師でもしていさそうな、浅黒く引き締まった身体をしていた。
彼女は長い髪を紺色の輪ゴムで後ろに束ね、水色の綿のTシャツとモスグリーンのインド綿らしきスカートをはいていた。
「こいつはシベリアのツンドラ地帯をテントを持って放浪したいんだと。昔からそう言っていた」とぼくの友人は言った。
里美は曖昧に笑った。おそらくなんて返答したらいいのかがわからなかったのだろう。
ぼくもなんて返したらいいのかわからなかった。

それからみんなで赤ん坊を見に行った。
日当たりのよい奥の部屋で赤ん坊は眠っていた。
両手両足を大の字に開き、リンゴみたいな小さな顔を横に向けていた。
里美はベビーベッドに駆け寄り、赤ん坊の顔に自分の顔をこすり付けんばかりに近づけ、よしよしよしと言った。
「このままうまく寝ていてくれるかしら」と友人の奥さんが言った。
「どうかな」と友人が言った。
「泣いたらわたしにまかせて」と里美が言った。
ぼくはなにも言えず、ぎこちなく笑った。

それから、里美とは電話番号の交換もし、友人夫婦の家に何度か一緒に訪れ、都心で二人きりで食事もし、映画を見にも行った。
そのころの彼女はファミリーレストランのアルバイトをしながら、日本語講師の資格を取るべく勉強をしていた。
海外の人に日本文化のよさを伝えたいと彼女は真剣だった。
彼女にさっぱりとした性格と、機転の利く頭の良さは好きだったが、どういうわけか女性としてみることができなかった。
二人で酒をしこたま飲んで、あれやこれやでぐだぐだ討論を重ねることが楽しかった。
お互いに身の上話はしなかった。大体の経歴くらいは知っていたが、それ以上は興味はなかった。
一度だけ二人とも泥酔したとき、彼女がぼくの部屋に泊まった。
さらに缶ビールを何缶か空け、あーでもないこーでもないをへらへら話した。
そのまま眠りについたのだが、朝起きたときに二人に妙にぎこちない雰囲気が漂った。
ぼくは少し寂しい気がした。
里美は無言でアルバイトに出て行った。


夢の行くへ

2017年04月05日 | ストーリー

女は腕時計にちらりと目をやった。3度目だ。
「帰ろうか」とぼくは言った。
彼女はまっすぐ前を向いたまま小さくうなずいた。
ぼくはバーテンに声をかけ勘定を頼んだ。
バーテンは鹿のような目をした、鹿のように顔の小さな若い男だった。
「聞いてくれないのね」と彼女は言った。消え入るような声だった。
彼女の横顔を見ると、あらゆる表情が消えたような白い顔をしていた。
「聞いてたよ」とぼくは言った。
「なにを?」

ぼくはこの店に入ってからの彼女との会話を思い返した。
会うのが3年ぶりで、彼女のヘアスタイルが変わったことに驚いた。長い髪を刈り込みに近いショートヘアにしていた。
イメージがまったく変わったこと、でも似合っていることをぼくは彼女に伝えた。彼女はどうでもよさそうにありがとうと言った。
彼女の仕事のこと。
大手の税理士事務所の事務をしている。数字をきちんと管理するのは苦にならず、むしろ好きだということ。
3人いる税理士先生たちはみないい人で、顧客も余裕を持った大人ばかりだということ。
そして彼女の腕時計のこと。
古色のついた珍しい形の時計にぼくが興味を持ち聞いてみたのだ。
南京虫と呼ばれるタイプの小さな文字盤の1950年代のオメガで、2年前に肺がんでなくなった母親の形見だということ。

「わからない。ちゃんと話は聞いてたよ」
バーテンが伝票を持ってきた。彼は伝票をこちらに差し出したまま、ぼくの顔をじっと見ている。
「もう一杯飲んでもいい?」とぼくは彼女に聞いた。彼女は返事をしなかったが、ぼくはバーテンにバーボンを頼んだ。
バーテンは小さくうなずくと氷を割り始めた。このバーではみんなが小さくうなずく。

「ちゃんと言ってくれないとわからんよ。なに?」
彼女は黙ったままカウンターの板目を見つめている。なにか頼むかと聞いても彼女は首を横に振る。
バーテンがバーボンを持ってきて、それを受け取り、一息に飲み干した。
「帰ろうか」と聞いた。二度目だ。
彼女は黙る。
「いい加減にしろよ。言いたいことがあれば言えよ」
「言ったじゃない」

ぼくは彼女の横顔また見た。能面のままだ。
ぼくは飲みたくもなかったが、バーボンをのお代わりを頼んだ。7杯目か8杯目だ。バーテンはうなずいた。小さく。
彼女とぼくの間に沈黙の壁がどんどん厚みを増した。
バーテンがきちんと冷えたバーボンを持ってきて、それを一口すすり、ぼくは口を開いた。
「ほんとによくわからない。どうした?」彼女の横顔をきちんと見た。
彼女の顔をきちんと見るのはその日で初めてだったかもしれない。
「もういい」彼女はまっすぐ前を見据えていた。
ぼくはバーテンに再び勘定を頼み、立ち上がった。彼女にタクシーを呼ぼうかと聞いたが、無言だったので先にバーを出た。
バーの扉の前で5分ほど彼女が出てくるのを待ったが、彼女は姿を現さなかった。ぼくはエレベーターに乗り、下に降り、
飲み屋街の喧騒をすり抜けるように駅へと向かった。

 

 

 

 

 

 


雪の夜

2017年03月09日 | ストーリー

夜中に突然父親に起こされた。
何時くらいなのか見当もつかない。
一緒に起こされた2歳年上の兄とともに眠い目をこすっていたら、早くしろと父親に急かされた。
それまで聞いたことのない父親の声だった。
姉に服を着せてもらって、家の玄関を出た。

辺りは一面の雪だった。
次から次へと真っ黒な空から雪が舞い落ちてきた。
玄関の前にはトラックが横付けされており、荷台には家財が積まれ、その上に幌がかけられていた。
幌の上にも雪が積もっていた。
ふと振り返ると祖母がぽつんと玄関先に立っていた。
暗くて表情は見えなかった。

ぼくら三人兄弟は父親に急かされ、トラックの助手席にぎゅうぎゅうと乗り込んだ。
姉を挟んでぼくと兄が座った。
姉はぼくらの肩をしっかりと抱きよせた。
父親は淡々とエンジンをかけると、トラックを発進させた。
タイヤに巻いているチェーンがチャラチャラと鳴った。
ぼくは窓の外に祖母の姿を探した。

祖母はまだ玄関先に立っていた。
その姿が降りしきる雪の中で青い影のようになっていた。

表通りに出ると、アスファルトの上に10センチほど雪が積もっていた。
街灯が人気のない街を降りしきる雪を透かしてオレンジ色に照らしていた。
消え行く夕焼けのようなオレンジ色だった。

この町を出て行くことになったのはぼんやり分かった。
ただ、なぜなのかはさっぱり分からなかった。
父親の顔を見ると、青く無表情な顔を前方に向けていた。
姉の顔を見ると、目に涙を一杯にためていた。

明日は小学校は行かなくていいのだろうかとふと思った。
エンジンの音と、チェーンの音と、ワイパーの音ばかりが狭い運転席を支配した。
再び睡魔が襲ってきた。
降りしきる雪の中に立っていた祖母の小さい姿が目に浮かんだ。

 


猿田彦とヤタガラス

2017年01月31日 | ストーリー

猿田彦「どうだ、このありさまは?」

ヤタガラス「いつものことです」

猿田彦「うん、そうだな。おまえの言うとおりだ。なにも変わっていない、何千年前も何千年も。でもなぁ・・・」

ヤタガラス「それよりも大神様、今は変わり目でございます。本当の変わり目でございます」

猿田彦「それは知っておる。で、このありさまだぞ。民がみずから変わろうとしなければ、なにも変われない。誰も手出しができない」

ヤタガラス「大神様はあきらめなさるか?」

猿田彦「あきらめたことなどない。ただ、いつになったら機が熟するのだと・・・。永いこと待ちすぎた」

ヤタガラス「あらあら、いつから大神様は時間などを気にするようになったのですか?」

猿田彦「ハハハ。民を見すぎて、感じすぎて、このごろは民とおんなじ心持ちになってしまう」

ヤタガラス「民こそはお宝、そうですね?」

猿田彦「うん、そうだ」

ヤタガラス「民を憐れんではいけません。そうなったら、いけません。民は憐れむべきではなく・・・」

猿田彦「うん、おまえの言うとおりだ。民を導くのがわしの使命だ。尊い尊い民の幸を願うのがわしの使命だ。だが、民はなかなか導かせてはくれんからのぉ」

ヤタガラス「百も承知のことではありませんか」

猿田彦「もうよい、わかった。それでは行くぞ」

ヤタガラス「行きますか?」

猿田彦「くどい!」

ヤタガラス「あら、怒っているんですか?」

猿田彦「こやつめ。わしが悪かった。許せ。役目を忘れかけていた。支度せよ」

ヤタガラス「はい!」

 

*昨日、宮崎で撮った写真を見ながらの妄想です(笑)

 

 

 

 

 

 

 


雪虫

2017年01月28日 | ストーリー

わたしが生まれたのは、北海道の十勝の音更という町です。
一人っ子です。
正確には、一人っ子ではなく兄がいたらしいのですが、兄がまだ赤ん坊のときに亡くなったらしいです。
なにが原因なのか詳しいことは両親から聞いていません。

音更は、見わたすかぎりジャガイモやらトウモロコシの畑が広がる何もないところです。
わたしの両親は、その小さな小さな町で魚屋をしていました。
ほんとに見わたすかぎりなんにもない場所で、魚屋なんておかしいでしょう?
海なんて、ずーっとずーっと遠くにあるんですから。
わたしが中学生のときに、町にもスーパーマーケットができまして、両親はその数年後に店をたたみました。
店をたたんで、二人で近所の牧場で働き始めました。

そんなこんなで、すっかり元気のなくなった両親にまさか高校に行きたいとも言えず、
わたしは中学を卒業すると帯広の製紙工場で働き始めました。
会社の寮住まいです。
幸い、先輩方いじめられもせず、休日には同期の子達と植物園に行ったり、糠平湖におにぎりを持って行ったり、
それなりに楽しみました。
両親のことは気にはなりましたが、毎月給料のいくらかを送ってやれるだけで、あとはどうしようもありませんでした。

仕事にも慣れたころ、父親が肺炎にかかり亡くなりました。
父の看病をしていた母にも肺病が移り、その三月後に母もあの世に行ってしまいました。
突然独りぼっちになってしまいました。
数ヶ月のうちに両親を立て続けに亡くしたわたしを、上司や同僚はとてもよく気遣ってくれました。
でも、気遣ってくれればくれるほど、わたしの心は寂しくなってたまりませんでした。

そのころを思うと、今でも胸がいっぱいになってしまいます。
こうして夫も二人の子供もいる今の自分がときおり夢ではないかと思うときもあります。

冬になると十勝では雪虫が舞います。
ええ、ユ・キ・ム・シです。
本当に雪が舞っているようにゆらゆらと飛びます。
雪の匂いってわかりますか?
初雪が降る前に、大気中に雪の匂いが満ちるのです。
ちょうどそのころ、雪虫がどこからともなく大量に現れて、そこらじゅうを舞い飛ぶのです。

子供のころ、不思議でたまりませんでした。
雪が本格的に降るようになると、ぱったりと雪虫たちはいなくなります。
どこかに消えたようにいなくなるのです。
雪虫は動きが鈍いのでかんたんに捕まえることができました。
捕まえてみると、ふわふわの真っ白い毛の中に、ちゃんと黒い羽も胴体もありました。
あれはなんだったのでしょう。
冬の訪れを告げるためにだけに舞い飛ぶなんて、そんなことありえるんでしょうか?

十勝には夏のお盆には何度か墓参りに帰っていますが、冬には帰る用事もないため、20年ほど帰っていません。
いつか息子たちを連れて、冬になりかけの十勝に帰ってみたいです。

 


魚たち

2009年05月09日 | ストーリー
素朴で純情な魚たちがいました。
周りの景色を楽しみ、漂い来るプランクトンを食べ、それは楽しく暮らしていました。
時にはつまらない理由で喧嘩をすることもありましたが、周囲がとりなせば仲良く収まりました。

あるときを境に、海水中に妙な匂いが流れ込んできました。
長老たちがその正体を巡ってあれやこれやと議論しましたが、それが何かは分かりませんでした。
その頃から、子供たちの様子が変わって行きました。
食べ物は充分にあるのに、隣の子供の食べ物を横取りするようになったのです。
食べ物を横取りされた方の子供は分けも分からずぽかんとしていると、寄ってたかってその子を突付き回すのでした。

大人の魚たちはどうしたことだろうかと大騒ぎをしましたが、誰もその原因を突き止めることはできませんでした。
子供たちの行動はだんだんエスカレートして、ある時子供たちの集団が一人の子供を突付き回した挙句殺してしまいました。
魚社会に衝撃が走りました。
ありえないことが起きているのですが、なぜそういうことが起きるのか、誰にも分かりませんでした。

そうして時が経つにつれ、魚社会の中では充分にあろうがなかろうが、食べ物は横取りしてでも取り合うのが普通となり、
横取りが上手い魚が賞賛されるようになりました。
親も子に他の魚よりも食べ物を上手くとる方法を教えるようになりました。

子供たちは幼いころから楽しむことよりも、奪う技術を競うようになりました。
長老たちは何かが違うと盛んに警告を発しましたが、誰も耳を傾けるものはいなくなりました。

ある時風変わりな子供が生まれました。
食べ物を取り合うことに熱中する仲間たちとは離れ、仲間たちが決して近づかない海域まで一人で泳いで回りました。
自分が見た素晴らしい光景や感動を仲間たちに伝えようとしましたが、仲間たちは彼を馬鹿者としてせせら笑うばかりでした。

ある時、その風変わりな子供は体力の続く限り遠くまで行ってみようと決心して泳ぎだしました。
水は冷たくなり、食べ物も見る見るうちに少なくなっていきました。
日ごとに募る心細さと戦いながら、それでもその子は泳ぎ続けました。

そしてある日彼は透明な壁に突き当たりました。
その透明な壁の向こうには、彼が見たことも想像したこともない世界が広がっていました。
彼は驚愕し、混乱しました。
それでも彼はめげずにさらに探求を続けました。
そいて彼はついに知りました。
全世界だと思っていたこの水中の世界が、実は透明な壁に四方を囲まれた作為的な世界であるということを。
うかがい知れない誰かの作為でこの世界が作られているということを。

彼はそれまでの経験で、その知ってしまったことを仲間たちに伝えても無駄なことを知っていました。
そしてその自分の無力さを嘆きました。

(続く)




ルル

2007年07月17日 | ストーリー
岬の先のオリーヴ色の家にルルはひとりで住んでいた。
家の北側には海から吹きあがる風を防ぐ松林が植えられ、
南側にはレンガで囲まれた小さな花壇があった。
花壇は長い間放置され、雑草が生い茂っていた。

彼女は若い頃は都会で税理士事務所で働いていが、
村人の噂によれば、誰かにひどく失恋して貯金とわずかな退職金をはたいて、この家を買った。
家族は家に戻って来いと何度も彼女を口説いたそうだが、
彼女は必要最小限の身の回りのものを持って7年前の秋にこの家にやってきた。
 
この家は80年ほど前に、都会の相場師が別荘として建てたもので、
隅々まで当時の流行の最先端の工夫が施されていた。
風呂は活性炭が練りこまれた人工石を楕円形にくりぬいたもので、
寝室の天井は開閉式のガラス板で出来ていた。
すべての窓ガラスにはステンドグラスの星座が嵌め込まれ、
床はコルクのような弾力のある木製品で敷き詰められていた。

相場師は美しい妻と双子の娘を連れて二年連続で夏のヴァカンスをこの家で過したが、
それ以来再びここを訪れることはなかった。
噂では、妻と娘達を残して、突然蒸発したらしい。
前金で5年契約で庭師の契約を結んでいたヒョルム爺さんは、
契約期限が切れても庭の手入れをし続けていたが、
いつのまにか痛風になり、年老いた妻に見取られひっそりと亡くなった。

ふらりとこの村を訪ねてきたルルは、その荒れ果てた家を一目見るなり気に入った。
不動産屋はその様子を見て、駄目元で相場の3割増の値段を提示したが、ルルはあっさり承諾した。
有頂天になった不動産屋は、高額なベットや絨毯を斡旋しようとしたが、
彼女は微笑を浮かべて首をよこに振るばかりで、不動産屋をがっかりさせた。

この村に越して来てからも、村人はルルの姿を見ることは滅多になかった。
庭も荒れたままだし、窓もひっそりと閉じられていた。
週に一度ほど、まだ客の少ない午前中に、彼女は村のグローサリーストアに買い物に出かけ、
食料とワインを買い込んだ。
いつも口数が少なく、店のおかみが何かを問い掛けてもかすかな笑みを浮かべるだけだった。
教会が何回かミサの案内状を出したし、村の集会の案内状も出したが、
いずれも彼女が姿を現すことはなかった。

それでも2年目の春、村人はルルが大きすぎて不恰好な麦藁帽子をかぶって、
花壇の手入れをしている姿を見ることが出来た。
都会育ちの彼女はわずかな野良仕事でもきつそうに見えた。
15分も雑草を抜くと汗をしきりに拭いだし、木陰に座りこんで長いこと休んでいた。
何人かのお人好しが手伝いを申し入れてみたが、微笑を浮かべて首を横に振られた。

(いつか続く、予定)