風に吹かれすぎて

今日はどんな風が吹いているのでしょうか

あるアル中の一日

2017年08月11日 | 雑感

なにもかもが嫌になったら、嫌になることさえ嫌になる
時は止まり、目前に灰色の風景が広がり、誰かのくぐもった声が断続的に周囲に沸き起こる
それでも二度か三度の食べ物を食らい、排泄もする
それを虚しいとも思わない
虚しいとすら思わない自分がゾンビのようにノロノロギクシャクと動き回る

これはひとつのパターンなんだとは自覚する
虚無主義のパターン
ダサい
ひとつのパターンに沿って生きるほど安易なものはない
しかもきわめて精度の低い、性格の悪い頭脳が作り出すパターンだ

そう思いながらも、昼から酒を飲み始める
飲めば飲むほど、灰色の風景は闇の中に沈んでいき、周囲の声も聞き取れなくなっていく
酩酊にずぶりと沈む自分を感じながら、なにかを思い起こそうとする
なにか強烈な、なにかを思い起こそうとする
それを思い起こしさえすれば、すべてが救われるかのように

そんな奇跡は起きはしない
思いは混濁していく
ふと外を見てみると残酷なまでに照り輝く西日
混濁は渦を巻いて黒さを増していく
奇跡を待ち望む気持ちも消えかける

アル中はしつこい
消えかけると急にそれが惜しくなる
奇跡を待ち望むべく明日から酒を断ちますなんぞと虚空に向かって嘘を吐く
なんぼ嘘を吐こうがしだいに目の前は暗くなっていく
かすかに明日こそはという思いをちら入りと思いながらも、赤黒の闇に飲み込まれていく