Photo by Chishima, J.
(エゾサンショウウオの幼生 2012年7月 北海道帯広市)
(FM JAGAの番組 KACHITTO(月-木 7:00~9:00)のコーナー「十勝の自然」DJ高木公平さん 2015年6月17日放送)
森の中の池や林道脇の水たまりでオタマジャクシに似た、しかし頭の後ろに数本のエラのある、ちょうど30年くらい前に流行ったウーパールーパーを小さくしたような動物を見ることがあります。エゾサンショウウオの幼生です。幼生とは、カエルでいうオタマジャクシの段階です。
エゾサンショウウオは世界でも北海道にだけ生息する両生類で、平地や低地では4月から5月に水中でゼリー状の卵の塊を産み、一ヶ月あまりで幼生が孵化します。密度が高いと共食いもする幼生は、秋までにはエラがないオトナの姿となって陸に上がり、その後は森林内の地上で、主に虫を食べて暮らします。ただし、高い山や気温の低い場所では幼生のまま冬を越し、翌年から3年後にようやくオトナの姿になるそうです。
全道で普通の種類ですが、移動能力に乏しいため開発の影響を受けやすく、環境省や北海道のレッドデータブックにも登場します。農地・宅地開発による林の消失や分断にさらされて来た十勝平野のエゾサンショウウオは、北海道のレッドデータブックで保護に留意すべき地域個体群に指定されています。
道路脇の側溝にできた水たまりなどで繁殖することもあり、そうした場所ではオトナとなって上陸する時のために壁の勾配を緩やかにしたり、森とつなぐスロープを作ったりするなどの配慮が必要でしょう。
(2015年6月11日 千嶋 淳)
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