鳥キチ日記

北海道・十勝で海鳥・海獣を中心に野生生物の調査や執筆、撮影、ガイド等を行っています。

150620 湿性林野鳥観察会

2015-07-20 16:26:40 | 鳥・夏

Photo by Chishima, J.
観察会の様子 2015年6月 北海道帯広市)


 帯広市郊外の湿性林で行われた野鳥観察会(主催:十勝の森とひとを結ぶ会)でガイドを務めさせていただきました。午前7時、集合場所の帯広畜産大学ではご挨拶にくわえ、「野鳥観察会は看板に偽りありで、葉の茂ったこの時期は野鳥を聞くのがメインになる。ただ、目で見るだけではなく、耳で聞くなど五感をフルに活用するのが自然と親しむ近道。」と説明させていただき、数台の車に分乗して目的地の林へ向かいました。

 現地に到着すると早速、数羽のハリオアマツバメが低空を飛んでいます。朝で気温が低く、虫があまり高くまで上がっていなかったせいかもしれませんが、飛翔に高度に適応した鎌型の翼やスピード感あふれる飛翔を全員で堪能しました。


 普段の植物観察会ではヤチダモやハルニレの優占する湿性林内に入り、木々や林床の花を観察するのですが、今日はあえて林の縁での観察に徹しました。林内で囀るセンダイムシクイやキビタキ、ニュウナイスズメ、周辺の農耕地で見られるノビタキやヒバリといった風に環境によって現れる鳥が異なり、多様な環境が多様な鳥を支え、農耕地内に点在する孤立林が森林性の鳥たちにとってオアシスのような場所となっていることを実感してもらうためです。

 2時間近い散策で20種以上の鳥を確認でき、ノゴマ、ベニマシコ、カッコウなどは姿も楽しむことができました。カッコウとツツドリがよく鳴き、前者が托卵するノビタキ、後者が托卵するセンダイムシクイも頻繁に現れたことから、托卵を通じて生物進化の妙についても一同で思いをめぐらせることができました。「カッコウのヒナは、いつ自分がカッコウであることに気付くんだろう?」、「カッコウとしての自我が芽生える時でない?」などと盛り上がり、「自我の芽生え」は本日の流行語となりました。

 後半は気温も上がり、ヒナへの餌運びに忙しいノビタキの雌雄や、最近巣立ったらしいアオジの家族を観察して、繁殖の盛期を実感しました。出発地点に戻り、冷たいお茶を飲みながら鳥や自然談義に花を咲かせた後、適宜解散しました。参加いただいた皆様、お手伝いいただいた皆様、どうもありがとうございました。

確認種:キジバト アオバト ツツドリ カッコウ ハリオアマツバメ トビ ノスリ ハシボソガラス ハシブトガラス ハシブトガラ シジュウカラ ヒバリ ヒヨドリ センダイムシクイ ゴジュウカラ ノゴマ ノビタキ コサメビタキ キビタキ ニュウナイスズメ カワラヒワ ベニマシコ アオジ (23種)


(2015年6月20日   千嶋 淳)

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