tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

瀬戸際外交と人間の知恵

2017年09月11日 12時43分23秒 | 国際関係
瀬戸際外交と人間の知恵
 今日、9月11日(現地時間)国連、安保理で北朝鮮に対する最も厳しい制裁の決議案の採決が求められるようです。

 決議案の中で、北朝鮮にとって最も打撃となるのは石油の禁輸でしょうが、輸送船の臨検が組み込まれ、そのほか、金正恩委員長の海外資産の凍結、北朝鮮労働者の海外派遣の禁止などなど、北朝鮮の経済活動への大打撃を目標とするものでしょう。

 「核大国に上り詰めた」と豪語し、建国記念日は、平穏に国内のお祝いだけにとどめた北朝鮮ですが、これではお祝いしてもいられないという事になるのでしょうか。

 まさにアメリカはそれを狙っての瀬戸際外交でしょう。それに対して、いつも外交は力ずくで押し通すのが慣例のロシアや中国が、今回ばかりは「対話が重要」と柔軟路線を強調しているのが対照的です。

 かつて石油の禁輸で暴発、太平洋戦争に突っ込んだ日本ですが、当時の日本と、今の北朝鮮とどちらがより賢いのでしょうか。
 北朝鮮の暴発をいかにしてくい止め、世界にとってより望ましい結果を得るかどうかが、国連安保理に集まる主要国リーダーの知恵であり、北朝鮮がどこまで自制するかが、北朝鮮の知恵という事でしょう。

 一般市民は何よりも平和が良いことを十分理解しています。しかし、ほとんどの国が民主主義に則ってリーダーを選んでも、国連という望ましい組織を作っても、こうした一触即発といえるような、不安な、あるいは危機的な状態と感じさせる現実が起こりうるのは全く残念なことです。

 今日1日、我々は今この地球上に住む人間の知恵の発揮が試されている状況をつぶさに見ることになるのでしょう。
 平穏な結果を願うばかりです。

自然災害の巨大化に思う

2017年09月10日 12時59分33秒 | 環境
自然災害の巨大化に思う
 アメリカのハリケーンの被害も大変のようですが、世界中自然災害が巨大化しているように感じられます。

 日本でも、これまで経験のないような集中豪雨が発生し、海面温度の上昇によるといった研究が進められているようですが、今後こうした現象がさらに酷くなることが予想され、人類社会自体の在り方が問われている深刻な事態ではないでしょうか。

 今、対応する人類全体としてのアプローチは、気候変動枠組条約・COP21に集約されていますが、アメリカの脱退通告など、人類の「わがまま」の克服は簡単ではありません。

 科学の発達する以前ならば、こんなに巨大ハリケーンが来るのは、COP21脱退の「祟り」だなどと考える謙虚さを持っていた人間も、そんな非合理性は今は簡単に切り捨てます。

 以前「 生命のバランスシートからの発想」や「 里山の知恵」でも書きましたが、人間は、自然からの無償の贈与によって生きているのです。その最大のものは「太陽エネルギー」でしょう。

 ですから、人間は、先ず自然に感謝しなければなりません。そして感謝するだけでなく、出来れば自然に協力などという形で「返礼」をすることが望ましいのです。
 人間のささやかな力で、自然に返礼をすれば、自然はより大きな贈与を人間に与えてくれるのです。

 灌漑や、里山づくり、植林や種々の栽培をやれば、地球環境は益々豊かになり、人類はその恩恵に浴すことが出来るのです。
 日本では古来、森を育てれば海も育つと知り、国土の7割の森林を維持し、自然を大事にし、自然との共生を実践してきました。

 残念ながら欧米の思想は「人類は自然を征服する」という所に原点があるようで、森林は至る所で切り開かれ、ようやく今になって、森の大事さ、自然環境保持の大事さに気が付いたようです。しかしアメリカのような動きもまだあります。

 何百万年もかかって太陽エネルギーによって蓄積された化石燃料を100年やそこいらで使い尽くすような事をしたり、地球上には存在しない 核分裂によるエネルギーを使おうとしたり、本来人間を生かしてくれている自然を破壊するような行動をとり続けることが可能と思う人間の思い上がり、わがままが問われているのでしょう。

 どう考えても人間は自然一部でしかありません。その原点に立ち返って、自然と協力し、自然の無償贈与に心ばかりの返礼をしながら自然と共生する謙虚さが、ますます必要になるのではないでしょうか。

気になる統計数字2つ:四半期GDPと経常収支

2017年09月08日 11時55分29秒 | 経済
気になる統計数字2つ:四半期GDPと経常収支
 今朝ほど、今年度の第1四半期、4-6月期のGDP統計の第2次速報が発表になり、ニュースでは、第1次速報の年率4.0%成長から、0.25%に下方修正されたと報じられています。

 折角経済の上向き方が加速して生きたようなのに、大幅下方修正とは残念、という感じですが、中身を見ますとそれほど心配することはないようです。
 勿論この所の米朝対立の瀬戸際化で、為替、・株式マーケットは勿論、企業も消費者も積極的な活動は控えるといったことになれば、影響は出ましょうが、それは7-9月期です。

  第1次速報の時も指摘しておきましたが、瞬間風速ではなく、対前年同期の動きで見ると1-3月期が実質1.5%の成長、前期が2.0%の成長と堅実な加速程度でした。
 
 では今回の修正で対前年同期比の成長率はどうなったかといいますと2.0%が1.4%に下方修正されたという事になります。
 前記より0.1ポイント下がったのは残念ですが、企業設備投資のマイナスに大きく影響されたものです。

 下方修正の根拠となった企業の設備投資については、財務省の「法人企業統計季報」(資本金1000万円以上の企業の調査)の4-6月期が9月1日に発表されていて、それによりますと設備投資の伸びは対前年同期比で1-3月が4.5%、4-6月が1.5%と減少、主な原因は製造業の設備投資のマイナス7.6%の落ち込みです。

 非製造業は安定して伸びているようですが、全産業の企業規模別で見ますと、資本金10億円以上の大企業の設備投資が一服したことが大きいようです。

 気になっていた、第1次速報で特徴的だった「家計最終消費支出」を見てみましたら、これは1.7%(対前年同期比)の増加で、第1次速報の1.8%とあまり変わっていません。その意味では、家計の消費支出が実質GDPを押し上げる主役だったことは変わりません。

 家計の極端な節約志向に少し変化が起きているのか、これから見守りたいところです。

 同じく今朝発表された「国際収支状況速報」によれば、この7月期の我が国の経常収支は2兆3000億円の黒字だそうです。黒字は37か月連続で、まさに万年黒字、黒字の太宗は第1次所得収支」(海外から受け取る利子配当など)で、最近は貿易収支も黒字の事が多いようです。

 昨年1年の経常黒字はGDPの3.9%に達し、今年は4.2%になりそうとのことです。これだけの大幅黒字で、さらに増加傾向という事になりますと、万年赤字のアメリカの大統領のトランプさんなどは、もっとアメリカらいろいろ買えと言いたくなるでしょうし、国際投機資本は、何かあると危ないドルを売って円を買い円高傾向が強まるのも、当然かもしれません。

 黒字を減らすには、日本人がもっとカネを使わなければならないのですが、鍵は「家計の消費態度」でしょう。
それにしても、北朝鮮問題がこのままでは、まともな経済の議論などはできませんね。

トランプ大統領の真意は?

2017年09月07日 10時48分55秒 | 国際経済
トランプ大統領の真意は?
 米朝対立の様相は、ますますエスカレートするようで、その当事者以外の国々が、それぞれに心配し、極端な結果にならないようにと対話路線、政治的解決の重要性を指摘している状態です。

 この問題についてもトランプ大統領の真意は、些か測りかねるところですが、一線を越えない内に、当事者の双方が真意を示すような機会が欲しいものです。

 もう1つトランプさんの真意を測りかねるのが、経済問題の方で、最近また繰り返されている「保護主義がアメリカを強くする」という発言です。

 国際競争力が落ち、いわゆるラストベルト、錆びついた産業地域の票を集めて当選したと言われるトランプ大統領ですから、支持層を裏切らないためにも、保護主義を旗印にアメリカ経済の再生を図りたいところでしょうが、事は志のようにはいきません。

 戦後の世界経済は、アメリカ主導の国際化で発展を遂げてきました。主導者のアメリカの企業は、率先して国際化を選択し、世界に覇を唱えてきましたが、 国と企業の利害相反の問題から、アメリカの国内経済の一部は衰退したようです。

 現実に起こったことは、アメリカの技術水準を活用し、賃金の安い海外で生産することで競争力を持ったのですから、アメリカの高い賃金水準で、生産しても、競争力はない分野が増えているのでしょう。
 結果は、国内工場の閉鎖ですが、トランプさんは、国内工場を閉鎖するなと号令をかけ、国内生産を企業に求めたわけです。

 しかし、経済原則は、それは成り立たないことを実証することになります。国際競争力のない工場は、雇用削減に走っているようです。残る手段はドルの大幅切り下げでしょうか。これはアメリカの威信と信用にかかわります。

 「 トランプ大統領のアメリカ:経済政策は矛盾の集積 」でも指摘したところですが、知りたいのは、「保護主義がアメリカを強くする」という言葉を、トランプさんが本当に信じているのかという事です。

 支持層への義理を果たすために、無理と知りつつ、当面それを繰り返すというのなら解らないでもないのですが、本当にそう信じているというのであれば、それこそ、アメリカの衰退は目に見えているという事にもなり、さらには、そういう大統領の選んだアメリカとはいったいどういう国になってしまったのかという事なるのでしょう。

 なんにしても、アメリカは現状、覇権国、基軸通貨国です。大国の責任、このブログで述べている >NGR(nation's global responsibility )の立場から言えば、許されないことでしょう。

 アメリカ人の多くは健全な良識を持っていると信じたいのですが、アメリカ自体のこうした混乱は、アメリカ自体の良識と努力によって、早期に改めていってほしいものです。

伸び悩む月例給与、前年比0.3%、格差は縮小か

2017年09月06日 10時57分58秒 | 労働
伸び悩む月例給与、前年比0.3%、格差は縮小か
 今朝、厚生労働省から「毎月勤労統計」の2017年7月分の速報が発表になりました。微妙な経済情勢の中で、なかなか伸びない日本の賃金ですが、どんな様子なのか、一寸見てみました。

 先ず平均賃金が前年に比べどのくらい伸びているのかですが、調査産業計・一般労働者(パート含まず)平均で、所定内(月例給)は307,827円で前年比0.3%の伸び、所定外(残業代等)26,220円で0.4%の伸びとなっています。

 春の賃上げはもう少しあったはずですが、平均賃金の上がらない理由は、こんなところでしょう。
 賃金の高い高齢者が定年になり、初任給採用の新卒者が入るので、平均はあまり上がりません。高齢者の定年再雇用などでも賃金は下がります。これは年功賃金色の残る日本の賃金制度の結果です。

 一方、パートタイム労働者は所定内が93,770円で、前年比1.1%の増加で、一般労働者より上がっていますが、一方、パートの平均労働時間は前年比1.3%下がっているので、時間当たり給与は前年比2.9%増となっています。

 求人倍率の高さなどを反映して、パートの賃金は上昇傾向がはっきりしていますが、ここでは、賃金を上げて一般労働者との格差を縮めるのがいいという意見と、正規労働者(毎月勤労統計では一般労働者)を増やすべきだという意見とがあるでしょう。
 パートタイム労働者比率は、0.08%ですが前年比で下がっていますから、これは良い傾向でしょう。

 しかし、いずれにしても、賃金の伸びは、そう大きいものではありません。政府は賃金を上げて景気を回復させようとしているようですが、賃金は労使で決めるものですから、経済社会の環境でも大きく変わらなければ、大きな伸びなどは容易ではないでしょう。

 今の大変不安定な内外情勢を考えて見れば、政府も、賃金引き上げ要請ばかりでなく、もう少し違った、世の中を広く見た経済政策、国民が何とか将来に期待を持つような総合政策が必要なように感じる人が少なくないのではないでしょうか。

北朝鮮問題と日本の役割

2017年09月04日 15時54分47秒 | 国際関係
北朝鮮問題と日本の役割
 為替市場も、証券市場も、北朝鮮問題で揺れ動いているようですが、情報合戦の中では、すでに一触即発のような雰囲気すら見え隠れしています。

 現実には、世界のだれも、本格的な戦闘行為には至らないと思っているので、韓国でも、日本でも、グアム島でも、アメリカ本土でも、多くの人々は平穏な日常生活を送っているのでしょう。

 日本でも、ミサイルが飛んできたらと机の下に入るような模擬訓練をやったりするところもあって、TVの画面でも見たりしますが、とても本気なものとは思われません。

 本当に攻撃、迎撃のミサイルが飛び交ったら、日常生活も、経済活動も、為替や証券市場も現状の継続は全く困難でしょうから、如何に情報合戦がひどくなっても、口先の抗争で、結局は済むのだろうと、皆考えていくのでしょう。

 北朝鮮は、「開発した水爆でアメリカを焼き尽くす」と言い、アメリカは余裕綽々で、「解決のための全ての選択肢はテーブル上にある」、「同盟国は必ず守る」と言い、日本では、北朝鮮の行為は「断じて容認できない」、「国民の安全には万全を期す」と繰り返しています。

 外国の発言は別として、日本の総理、官房長官の何度も繰り返し聞く同じ発言については、言葉ははっきりしているのですが、それで何とか進展があったのかというと、状況は酷くなるばかりです。

 アメリカと相談しつつだから、結局はそんなものでしょうといわれて、そうですかと納得するよりないのでしょうか。我々は、政府とアメリカに頼んで傍観者でいいのでしょうか。それにしても「国民の安全には万全を期す」という発言と、机の下にもぐる練習とは格差がありすぎるようです。

 北朝鮮問題は、相手が相手だけに確かに難しい問題です。しかし太平洋戦争という形で暴発し、かつての浅慮に臍を噛む日本です。何か、世界の世論や北朝鮮に、少しでも役立つようなことが発信できないでしょうか。
 それとも、総理の発言は、拉致問題のように、「私の任期中に」と言いながら、何も進展のないまま・・・、と同様な、単なる願望としての発言なのでしょうか(失礼、未だ任期中でした)。

 太平洋戦争を深く反省する日本だからこそというような、日本としての発言は、日本からは聞かれないのでしょうか。それが日本の過去の行為への反省を世界に理解してもらう事にもなるのではいかと思うのですが。

利益減少、銀行はどうする

2017年09月02日 12時11分48秒 | 経営
利益減少、銀行はどうする


 財務省は9月1日、「法人企業と計年報」の平成16年度分の概要を発表しました。
 報道によれば、内部留保は406兆円と過去最大(日本のGDPは500兆円です)、金融保険を除く全産業の経常利益も75兆円と過去最大になった(上図参照)と報じています。

 解説によれば、収益も上がり、財務状況も改善しながらも、企業には先行き不安が付きまとい、なかなか積極的な経営に踏み出せない姿が見えるといったものが多いようです。

 このブログでは、日本経済は、外部からの異常な影響がな限り、安定成長の基盤が出来て来たと見ていますが、予断を許さない海外情勢、混乱を極める国内政治といった状況を考えますと、企業が臆病になるのも、ある程度頷けるところでしょう。

 折角企業労使の頑張りで、着実な成果を上げながら、積極的な一歩を踏み出せないというのは、企業も、また消費者も同じでしょう(消費不振)。
 今必要なのは、財政政策、金融政策といった「経済政策」ではなくて、国民に、(企業にも消費者にも)将来についての安心感を持ってもらえるような政府の行動を、地道に積み上げていくことしかないのではないでしょうか。

 現状を見ますと、政府は、対外政策ではアメリカ追随で、北朝鮮には対話より圧力、国内問題では国民の不信を頬被りで済まそうといった思惑が見え見えで、国民に将来への安心感を持ってもらうような行動とは程遠いものになっているように感じられます。

 そんなわけで、法人企業統計の数字を見て、私が気になったのは、金融保険を除く全産業の数字はともかく、経済の血流を計ると言われる金融保険業の問題です。

 ご存知の方の多いと思いますが、財務省の法人企業統計では、以前は金融保険業はの調査対象外でした。理由はいろいろあって、金融保険業には売上高がないとか、一般企業の支払金利が金融保険業では収入になるといった統計上の問題があってのことです。
 しかし、利益や設備投資などは、同じベースで計算できるわけで、統計上そうしたものが抜け落ちると困るので、今は、金融保険業を除くを中心に、合計出来る所は金融保険業を含む統計を発表しています。

 という事で、上の図を見て頂けると解りますが、この2年、金融保険業の利益は、金融保険業をを除くの動きと対照的に、減益、減益です・
 明らかにこれは、異次元金融緩和、特にマイナス金利導入の影響でしょう。市中におカネがだぶつき過ぎ、金利がまともに機能しない状況が続いていることの結果でしょう(減益の太宗は銀行、生保による)。

 金利がまともに機能しなければ、金融機関は正常な利益である「インカムゲイン」を稼げません。ならば、ジャブジャブのお金を使って、「キャピタルゲイン」を稼ぐしか無いとなれば、それはバブルへの道です。すでにマンションバブルは指摘され、RIET市場も活発のようです。しかしこれは危険な経済水域への一歩でしょう。

 法人企業統計も、金融正常化の必要を、統計数字によって指摘しているのではないでしょうか。


 

コロンビア発の涼風、その後

2017年09月01日 11時24分03秒 | 国際関係
コロンビア発の涼風、その後
 去る6月「 コロンビア発の涼風」を書きました。コロンビアのサントス大統領の、いわば「粘り勝ち」でしょうか、コロンビア革命軍との和平が成立、革命軍の武器は全て国連に引き渡され、半世紀ぶりにコロンビアに平和が戻ったのです。
 サントス大統領がノーベル平和賞を受賞したのも、誰もが納得でしょう。

 そのサントス大統領が、8月30日、朝日新聞との会見に応じ、その信念を披歴、その内容が今朝の朝日新聞で報道されています。
 
 折しも、北朝鮮が核開発を進め、米朝の威嚇のしあいのような状況になってしまってますが、国内問題とはいえ、長きにわたった国内の武力抗争を、最終的に和平という形での終息にもっていったサントス大統領の指摘は傾聴に値するように思います。

 サントス大統領の発言の要点だけ述べますと、「コロンビアの和平は逆戻りできないもの、和平合意の内容が果たされた分だけコロンビアにとって多くの機会が巡ってくるから」、「双方の意志で対話し、明確な目標を持てば、武力紛争や戦争は終わらせることができる」また、「重大事項を決める手段として、国民投票は適切でない」などとのことです。

 現状、国連の最大の関心事は米朝対立をいかに解決に導くかということでしょう。米朝だけでなく日本をはじめ極東の国々は、この対立に巻き込まれざるを得ません。
 国連安保理では、アメリカ主導で、北朝鮮への圧力強化を中心に解決策を模索していますが、圧力だけで解決できるとは思わない国も多いでしょう。

 アメリカ自身の内部からも、 ティラーソン国務長官の発言のような明確な対話へのメッセージも出されているわけで、相互不信の中での対立から胸襟を開いての対話へ、いかなるプロセスで進みうるかが問題解決のカギになるのでしょう。

 もう1つ、国民投票に対する問題意識も、考えさせられるところです。経営や経済の問題でも痛感するところですが、多くの人々のものの見方が、次第に短期的になり、その分皮相的なものの見方「ポピュリズム」の風潮が高まり、一時的には世論が誤る可能性が無きにしも非ずです。

 サントス大統領には、国民投票で、和平合意が否決された経験があります。和平合意が成立して、コロンビアが新しい一歩を踏み出している中で、「あれは何だったのか?」という思いと、国民投票が万能ではないという意識が胸に畳まれているのでしょう。

 浮薄化する民主主義、ポピュリズムの盛行という状況の中で、民主主義の本質が問われているかもしれない現状への頂門の一針のような気もするところです。