tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

成長経済回帰への具体策 その9  提言

2010年06月13日 18時17分51秒 | 経済
成長経済回帰への具体策 その9  提言
 ここまで些か回りくどくなったかもしれませんが、いろいろな面から日本経済の再生のためにやるべきことの検討を重ねてきました。

 世界にその健全な成長の実績を誇っていた日本経済が、一転して20年に亘る苦難の時期を迎えることになってしまったきっかけは、プラザ合意による2年間で2倍の円高($1=¥240→120)という、戦後の世界経済の中では例を見ない、多分、空前絶後のハプニングによるものだったことは、大方の合意を頂けるところでしょう。

 G5(プラザ合意)で日本に円切り上げを強いた国々も、まさかあそこまで円高にしようとは思っていなかったでしょうし、日本も、そこまでの円高は予想していなかったのでしょう。
 しかし、急激に進む円高に対して、各国も日本も放置し、日本は、それを耐え忍んで、何とか日本経済のサバイバルを果たすという努力をやってしまいました

 製造業は、中小企業まで含めてコストの安い海外に展開し、空洞化した国内では、雇用確保のために仕事を分かち合い、賃金を引き下げ、非正規労働力を多用し、十数年をかけて、2倍の円高による2倍のコスト高を克服したのです。

 日本経済はほとんどゼロ・マイナス成長でした。しかし日本人は、家計も企業も収入が減れば支出も減らし、自分できっちり「始末」をつけ、外国から借金するようなことはしませんでした。

 海外から見れば、日本はまだ黒字国だから、何かあれば円を買っておけば、多分怪我は小さいということで、常に円は買われ、今の$1=¥90にまでなったのでしょう。
 それでもまだ日本は黒字国で、今年度の政府経済見通しでも15兆円の経常黒字、円は89円という見通しになっています。問題はこの 悪循環をいかにして断ち切るかです。成長経済回帰への鍵はそこのあります。

 「提言」
 日本経済の、経常黒字→円高(コスト高)による縮小均衡のプロセスを成長循環に転換するために、経常黒字分を、国債発行や増税による政府支出でなく、「国民が自主的に消費に振り向ける」ことで内需を拡大し、先ずその分経済成長率を高め成長循環のきっかけにする。
 経常黒字は消え、「日本も双子の赤字か」ということで、円売りを誘発、円安傾向になり、日本経済のコスト高は緩和する。デフレは止まり、賃金・雇用は改善する。金利も上がり、金融機関の経営は正常に戻る。政府は国債発行が困難になるが、その必要もなくなる。
 問題は、国民にそうした行動をとらせるリーダーシップを誰が取るかでしょう。リーダーシップをとる人がいなければ、日本経済の困難はまだ続きます。


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