tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

これから必要になる経済政策

2010年06月22日 11時45分54秒 | 経済
これから必要になる経済政策
 前々回、アメリカの万年経常赤字の是正に必要なのは「生活スタイルの見直し」ではないかと書きました。 実は、これは経常黒字国も、経常赤字国もともに考えるべき問題です。

 日本は、プラザ合意後、アメリカから「内需拡大」をいわれ、金融の超緩和で、バブル経済を招いて大失敗をしました。必要な経済政策が何か解っていなかった証拠です。

 この状態は、今も続いています。クリーンエネルギーへの補助金、エコカーの補助金や減税 エコポイント の実施など、多少の政策の進歩はありますが、高速道路の無料化や子ども手当が、本当に内需拡大になるのかわからないままに、政策を打ち出し、迷いに迷っている政府の様子が見え見えです。

 国民も何とか現状を抜け出したいと思って真剣です。かつて「これを言い出したら政権が変わる」と信じられていた消費税増税が「与野党から共に」打ち出され、国民も、一部は、日本の財政や経済の健全化のためには「こうなったらやるしかないのか」と納得し始めています。

 しかし、消費税増税は、国民と政府間の経済バランス(国内バランス)は改善しますが、海外とのバランス(国際バランス)の改善とは必ずしも関係がありません。
 消費税率が上がって、国民が一層堅実な生活を考え、消費を切り詰めるようになれば、経常収支黒字は続き、国際バランスは改善しません。日本人の場合、その可能性が大きいでしょう。

 一方、アメリカの経常赤字の改善には「過剰消費」の是正が必要ですが、アメリカの消費が伸び、雇用が改善すれば世界経済にプラスと信じられている今日の状況の中では、アメリカ人のライフスタイルが改善する気配は感じられません。アメリカという巨大なキリギリスは容易に変わらないでしょう。

 では、どうすればいいかですが、世界経済の中で、経常黒字国と経常赤字国が発生することは当然です。問題は「万年黒字国」と「万年赤字国」をなくし、中、長期的には、各国が経常収支をバランスさせることに責任を持つべきだという原則を経済学の基礎知識として、世界中の政府やエコノミストが確認し、国民にも常識として周知することでしょう。もちろん時間はかかります。

 そしてそのためには、為替レートの変更や財政政策ばかりでなく、各国の国民自身に、できるだけ、自国のGDPを基準にして、使い過ぎたり、使い残したりすることを、恒常化させない、という努力(生活スタイルの調整)を、意識してもらうことが必要でしょう。

 「キリギリス」になりっぱなしはもちろん、常に「アリ」というのも、決して良いことではないのです。世界経済の安定には正常なバランス感覚が必要という国民への基礎教育が必要なようです。