tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2018年4~6月期GDP速報を見る

2018年08月11日 12時54分38秒 | 経済
2018年4~6月期GDP速報を見る
昨日4~6月期のGDP速報が発表になりました。
 物価上昇を除いた実質値で、前期比0.5%の増加、年率換算では1.9%の成長で前期のマイナス.02%から2期ぶりプラスに転じたと報道されています。
 中身は、消費需要が盛り返したといったことのようですが、中身をよく見ますとどうもそう単純に消費回復で経済成長加速と言ってしまっていいかどうかと感じられます。

 このブログでは四半期ごとに前期と比較するのと同時に、もう少し長期的に、1年前と比べてどんな動きになっているかを毎回見て来ていますが、その方が経済のトレンドとしての動きが見えてくるからです。
 今回も前年同期比の動きを見ておきたいと思いますが、それで見ますと、どうも経済減速の傾向が出ているように思われます。

 先ず昨年の4~6月期から今年の4~6月期までの、各四半期の実質GDP の対前年同期比の増加率を見ますと
 1.6% 2.0% 2.0% 1.0% 1.0%
となっていまして、今年の1~3月期と4~6月期は同じ1.0%の伸びで、昨年後半の2%の半分に落ちています。

 落ちている最大の理由は民間最終消費支出、特に家計最終消費支出で、家計最終所費支出の対前年同期比の伸びを四半期別に上と同じ順序で並べますと
 1.7% 0.6% 1.0% 0.1% 0.1%
という事で、今年に入ってからは、僅か0.1%と前年比で殆ど伸びていません。

 加えて、民間住宅建設も、今年に入っての2四半期は、-5.4% -8.9%と振るいません。
 元気なのは民間企業設備で、今年に入っての2四半期は2.9% 4.0%で、この4~6月の4.0%は過去5四半期の中で最大値です。

 しかしGDPの中で過半を占める消費支出が振るいませんから、GDPはなかなか伸びません。

 問題は、消費支出が伸びない理由です。安倍総理流の認識で言えば、「賃金が上がらないからだ」という事になるのでしょうが、このGDP統計の中でも「参考」として表示されています「雇用者報酬(実質値)」の伸び率は上の4半期別の順序で並べますと
 2.0% 1.7% 1.2% 2.0% 3.8%
となっていて、この4~6月期の伸びはこの5四半期の中では最高です。
 
 つまり「収入は伸びても消費は伸びない」という状況が鮮明で、これは、このブログで何時も指摘しています「消費性向の低下」が原因です。この問題については先日の8月7日に取り上げたばかりですが、消費性向低下の原因は、恐らく国民の将来不安を結果的に増幅していしまっている今の政府の社会経済政策にあるのでしょう。

 しかも困ったことに、安倍さんはじめ、閣僚も官僚も、多分その重大性に気が付いていないか、気が付かないふりをしているという事ではないでしょうか。
 統計というものは、よく見るといろいろな事を気付かせてくれます。