tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

金利体系の合理性回復へ?日銀の新方針

2016年09月22日 11時27分29秒 | 経済
金利体系の合理性回復へ?日銀の新方針
 アメリカの中央銀行、FRBが金利引き上げを先延ばしにし、日本銀行が金融緩和についての新方針を出して、結果的に為替が$1=¥102円台から100円とび台と円高になりました。

 FRBは12月に利上げの含みを持たせていますが、内実は様子見でしょう。円高の幅は2円程度、日本にとっては深刻です。一方、アメリカではNYダウは160ドルも上げて、大方の見方は利上げ延伸で、差し当たって安心という所でしょうか。
 そんなこんなで、 アメリカの利上げ (金融正常化)はやはり容易ではないようです。

 ところで日本はどうでしょうか。
 2発の黒田バズーカ以来、2パーセントインフレ目標も掲げて円安一辺倒の政策に邁進してきたような印象を受けますが、すでに神通力(サプライズ)が消えて、円高基調になる中で、日銀の方向転換は当然でしょう。

 マーケットを驚かせて目標を達するのは2回までで、3回目の マイナス金利は、マーケットに先読みされて、逆効果でしたから、今後は次第に正攻法に変え、正論を通すような姿勢が必要かなどと思うところです。

 その意味では、単に金融を緩めるサプライズ政策ではなく、長期金利を上げる方向で、金利体系の正常化を目標に掲げ、国債買い入れをそのための手段に格下げするというのはまともな方向だと思っています。

 今のアメリカ主導の金融市場というのは「自然の侭に放置」するのがいいといった感覚です。市場任せですから、市場を牛耳る力のあるアメリカにはいいかもしれませんが、例えて言えば、川の流れを自然に任せるようなもので、鉄砲水になったり、洪水になって流れを変えたり、カラカラの渇水になったりします。

 日本には「 里山という知恵」があって、水を網の目のように縦横に分水して水の有効利用を図り、ため池を作って水の貯蓄も考え、人間の活動が快適で豊かになるように多様な角度から知恵を出し、結果的に生物多様性なども大いに促進して地域がより良く美しくなるといった発想と行動があります。

 金融、おカネの流れも同じようなもので、往々バブルや金融パニックを起こしますが、合理的に巧く管理してやれば、より安定的に人間生活に役立つようになるはずです。
 そのためには、例えば、合理的な金利体系はこうあるべきという合理的なシステムになるべく近づくように誘導する枠組みが必要でしょう。

 その意味で、今回の長期金利を高めに誘導できるような政策をとるというのは合理的でしょう。マーケット任せでない、まともな金融政策への一歩のようです。
 外海は、マーケット次第の荒海状態で、日銀も大変と思いますが、今回の政策転換が、将来の金融正常化の方向に整合的に進化していくことを願うところです。