tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「生命のバランスシート」からの発想

2016年09月07日 13時49分26秒 | 環境
「生命のバランスシート」からの発想
 前々回、里山の思想の背景にある日本人の本来の自然観を表す「生命のバランスシート」(日本創造経営協会:『日本学宗』より)を紹介させていただきました。
 関心を持たれた方が多かったようで、いつもより多くのアクセスを頂きました。


 矢張り、日本人の考え方の根底には「自然への返礼」という思想があるのではないでしょうか。人間も自然の一部であり、自然が豊かになることで人間も豊かになれるという理解が日本人、日本文化が形成された縄文の昔からあったのでしょう。

 縄文人は山に木を育てれば海も豊かな魚介類を提供してくれることを知っていたといわれます。日本が今でも国土の7割という森林を残していることの原点でしょうか。

 ところで、ここ僅か数十年の間に、人類は急激に地球の自然を収奪してきました。森林の伐採、砂漠化の放置、化石燃料利用の急拡大、核分裂エネルギー利用の加速化などなどです。

 今、世界で自然の回復が言われ、象徴的に生物多様性が注目されていますが、本当に地球人類が、自然の重要性に目覚め、自然を育てること(自然への返礼)に本気になっているかと言えば、必ずしもそうでないようです。

 頻発する国際紛争の背後には、化石燃料資源の争奪があることは明らかですし、森林の消滅、砂漠化は相変わらず進んでいるようです。
 サステイナビリティー、持続可能性という言葉は知られてきましたが、人類がその言葉の本当の意味するところ(地球生命の減衰のプロセスからの脱出のための必須要件)を理解し、そのための行動をとっているかと言えば、いまだイエスとは言いにくいようです。

 地球を収奪する行為は、結局、自分たちの存在の基盤を損なう行為で、必ず自分たちに負の遺産となって戻ってくることをより多くの人々が理解することが、ますます必要になってきているように思われます。